2と9の間にあって,\ 5を分母とする既約分数の和Sを求めよ.$ {既約分数の和}$}{既約分数} 互いに素な自然数${m,\ nを用いて,\ mn\ (n1)\ と表される数}$ 要は,{それ以上約分できない最も簡単な分数である(既に約されている分数). いきなり$S$を求めようとしても難しいので,\ まずは具体的に考えてみる. $2={10}{5},9={45}{5}$に注意して2から9までの分母5の分数を書き出すと,\ 次のようになる. これは,\ $初項\ {10}{5},\ 公差\ 15\ の等差数列}である.$ ただし,\ この中には既約分数でないもの(整数)}も含まれる. {(既約分数の和)}=(全ての分数の和)}-(整数)$}\ として求められる. 2以上9以下で5を分母とする数は $ これは,\ $初項2,\ 末項9,\ 項数45-10+1=36,\ 公差\ 15\ の等差数列}である.$ これは,\ $初項2,\ 末項9,\ 項数9-2+1=8,\ 公差1の等差数列}である.$ \ 項数を45-10=35個としないように注意する. 45-10だけでは10も除かれてしまう.\ 10を含めて45までに何項あるかなので,\ +1が必要である. なお,\ 2と9を最初から除き,\ ({11}{5}から{44}{5}までの和)-(3から8までの和)としてもよい. \$pは素数,\ m,\ nは正の整数でmnとする.\ mとnの間にあって,\ pを分母とする$ $既約分数の総和Sを求めよ. [同志社大]$ $m以上n以下でpを分母とする数は$ これは,\ $初項m,\ 末項n,\ 項数pn-pm+1,\ 公差\ 1p\ の等差数列}である.$ \ これは,\ $初項m,\ 末項n,\ 項数n-m+1,\ 公差1の等差数列}である.$ \ 先の問題を一般化した問題である. 非常に抽象的なので,\ 先の具体的な問題のイメージがなければ,\ 難易度はかなり高い. 逆に,\ 一旦先の問題を経験・理解していれば,\ 文字であっても{完全に同じ要領}で解答できる. Sは{因数分解する方向で計算する}と綺麗な形になる. pn-pm-n+m=p(n-m)-(n-m)=(n-m)(p-1) m=2,\ n=9,\ p=5の場合が先の問題である. 実際,\ Sに代入してみると,\ 12(2+9)(9-2)(5-1)=154となり一致する. 先の問題と実質同じなのは,\ {「pは素数」}という条件があるからこそである. この条件があれば,\ {分子がpの倍数のときのみ約分できる}ことが保証される. 例えば,\ 分母が5の場合,\ {10}{5}(=2),\ {15}{5}(=3),だけが約分できる. よって,\ {既約でない分数は必ず整数になる}といえ,\ 後から整数を引けば済む. しかし,\ もし分母が素数でない場合,\ この考え方は通用しなくなる. 例えば,\ 分母が6の場合,\ 約分できるのは\ {12}{6}(=2),\ {18}{6}(=3),だけではない. 実際,\ {14}{6},\ {15}{6},\ {16}{6}\ などが約分できてしまう. 6=23より,\ 分子が2の倍数と3の倍数の場合が全て既約ではなくなるのである.