複利計算と等比数列の和

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年利率が10\%の1年ごとの複利法による預金を考える.  100万円を預金したとき,\ 4年後の元利合計を求めよ.  毎年の初めに10万円ずつ預金するとき,\ $n$年後に預金した時点での元利合計 { }$S_n$を求めよ.  100万円を預金したときの$n$年後の元利合計を$T_n$とする.\ $S_n$が$T_n$より大きく { }なる最小の$n$を求めよ.\ ただし,\ $log_{10}1.1=0.0414$とする.    \ [立教大] \{複利計算}$ {複利法  元金によって生じた利息を次期の元金に繰り入れる方法. つまり,{元金だけでなく利息にも次期の利息がつく. まず,\ 複利法がどんなものかを一般常識として知っておく必要がある. 実際の試験でも複利法について十分な説明がなされる保証がないからである. 複利法を知らない人のために具体的に考えてみる. 年利率10\%とは,\ {1年後に元金(最初のお金)の10\%の利息がつく}ということである. 最初に100万円預金すると,\ その10\%である1000.1=10万円の利息がつく. よって,\ 1年後の元利合計(元金と利息の合計)は,\ 100+10=110万円になる. 見方を変えると100+1000.1=100(1+0.1)=1001.1であり,\ {預金が1.1倍になる}. さて,\ 複利法では,\ 元金100万円だけでなく{利息も含めた110万円に次期の利息がつく.} 110の10\%である11万円の利息がつくので,\ 2年後の元利合計は110+11=121万円である. 見方を変えると110+1100.1=110(1+0.1)=1101.1である. 結局,\ 年利率10\%の複利法では{1年経過するたびに元利合計が1+0.1=1.1倍になっていく.} 一般化すると,\ 元金a,\ 年利率rのときのn年後の元利合計は{a(1+r)^n}で表される. 本問はa=100(万円),\ r=0.1であるから,\ 4年後の元利合計は100(1+0.1)⁴万円となる. 1001.11.11.11.1ということである. 具体的には,\ 3年後121の1.1倍の133.1万円,\ 4年後133.1の1.1倍の146.41万円である. なお,\ 桁数が多くなると鬱陶しいので,\ {万単位で計算する}とよい. 複利法に対して単利法もあり,\ こちらは元金100万円のみに利息がつく方法である. つまり,\ 毎年元金の10\%である10万円のみが利息としてつくから,\ 2年後は120万円である. 複利法121万円と差を感じないが,\ 単利法4年後は140万円で,\ 時間経過とともに差が広がる. 元金10万円,\ 年利率0.1のとき,\ 最初に預金した10万円はn年後に10(1.1)^n万円になる. 2年目に預金した10万円は,\ n-1年経過した最初からn年後には10(1.1)^{n-1}万円になる. 3年目に預金した10万円は,\ n-2年経過した最初からn年後には10(1.1)^{n-2}万円になる. n-2年目に預金した10万円は,\ 2年経過した最初からn年後には10(1.1)²万円になる. n-1年目に預金した10万円は,\ 1年経過した最初からn年後には10(1.1)万円になる. n年目に預金した10万円は,\ 最初からn年後には10万円のままである. n年後に預金した時点での元利合計はこれらの合計である. つまり10(1.1)^n+10(1.1)^{n-1}++10(1.1)+10であり,\ 公比が{1}{1.1}の等比数列の和である. このまま計算してもよいが,\ 公比が分数なので計算が面倒になる. 逆に並び替えて考えると,\ {初項10,\ 公比1.1の等比数列の和}となるので計算が楽になる. 初項a,\ 公比r,\ 項数nの等比数列の和の公式は a(r^n-1)}{r-1 10+10(1.1)^1++10(1.1)^{n-1}+10(1.1)^nの{項数はn+1個}であることに注意して求める. T_nはすぐに求まるので不等式を計算するだけだが,\ 指数計算に慣れていないと戸惑う. 両辺を100で割ると(1.1)^{n+1}-1>(1.1)^n    移項すると(1.1)^{n+1}-(1.1)^n>1 (1.1)^nをくくり出すと(1.1)^n(1.1-1)>1より(1.1)^n0.1>1   よって(1.1)^n>10 底10>1よりlog_{10}1.1>log_{10}1=0である. よって,\ nlog_{10}1.1>1の両辺をlog_{10}1.1で割っても不等号の向きは変わらない. 年利率10\%で最初に100万円預金して放置した場合の元利合計を超えるまでに, 25年間毎年10万円ずつ合計250万円を預金する必要があるとわかったわけである.年利率10\%の複利で100万円を借り,\ 毎年の年末に一定額を返済していくとする. 10年で返済し終えるために必要な毎年の返済額を求めよ.\ ただし,\ $1.1^{10}=2.6$とする. 返済の総額は $100(1.1)^{10}=260}$万円 毎年の年末に$a$万円を年利率10\%の複利で預金するときの10年後の元利合計}は $毎年の返済額は{16万2500円}$} $[l} 年利率10\%で100万円借りたとき,\ 1年後には1001.1万円の借金になる. ただし,\ 年末にa万円返済したならば,\ 2年目開始時点での借金は1001.1-a万円である. 2年目終了時にはこれに利息がつき,\ さらに年末にa万円返済する. すると3年目開始時点での借金は(1001.1-a)1.1-a=100(1.1)²-a(1.1)-a万円となる. 以下,\ 同様に考えていく. 4年目開始時点での借金は {100(1.1)²-a(1.1)-a}1.1-a=100(1.1)³-a(1.1)²-a(1.1)-a 11年目開始時点での借金は 100(1.1)^{10}-a(1.1)^9-a(1.1)^8–a(1.1)²-a(1.1)-a 10年で返済完了ということは,\ {11年目開始時点での借金が0}ということである. よって,\ {100(1.1)^{10}-a(1.1)^9-a(1.1)^8–a(1.1)²-a(1.1)-a0}を解けばよい. これは,\ 100(1.1)^{10}-{a+a(1.1)+a(1.1)²++a(1.1)^8+a(1.1)^9}0と変形できる. すると,\ 中括弧内は{初項a,\ 公比1.1,\ 項数10の等比数列の和}となり,\ 公式を用いて計算できる. ところで,\ 100(1.1)^{10} a(1.1)^9+a(1.1)^8++a(1.1)²+a(1.1)+aと変形することもできる. 右辺は,\ {毎年の年末にa万円を年利率10\%の複利で預金するときの10年後の元利合計}とみなせる. つまり,\ {(返済の総額)(年末にa万円ずつ預金したときの10年後の元利合計)}と立式してもよい. 上で示した解答はこの考え方を用いて立式したものである. 本問の条件ならば,\ 10年で計162万5000円返済して初めて借金をなくせることがわかる.
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