順列の基本(積の法則、nPr、階乗)

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異なる$\bm{n}$個のものの中から$\bm{r}$個を取り出して1列に並べる順列の総数}}は(5から大きい順に3つの連続する整数を掛けたもの) (5から1までのすべての整数を掛けたもの) \\[1zh] なぜこのような計算で順列の総数が求まるか(数式の意味)は,\ 具体的な問題で確認してほしい. \\[.2zh] 「\,\kaizyou\,」は「階乗」と読む.\ \ \bm{5\kaizyou=120,\ 6\kaizyou=720,\ 7\kaizyou=5040}\ あたりを覚えておくと計算で楽できる. \\[1zh] \bm{\zyunretu nr\,を階乗で表す変形}が後に必要になる.\ 具体例で理解するとわかりやすいだろう. \\7人から3人選んで1列に並べるときの並び方は何通りあるか. \\[.8zh] \hspace{.5zw}(2)\ \ 7人全員を1列に並べるときの並び方は何通りあるか. \\ 「\,3人選んで並べる」は,\ \ \fbox{左}\ \fbox{中}\ \fbox{右}\ \ に1人ずつ入れていくと考えることができる. \\[.5zh] どちらからでもよいが,\ 左から入れていくとする. \\[.2zh] \fbox{左}\ には,\ 7人から1人選んで入れるから,\ 7通りの入れ方がある. \\[.5zh] \text{\scalebox{.99}[1]{7人のうち誰が\ \fbox{左}\ に入っても\ \fbox{中}\ には残り6人から1人選んで入れるから,\,6通りの入れ方がある.}} \\[.5zh] つまり,\ \bm{\fbox{左}\ の入れ方の7通りのいずれに対しても,\ \fbox{中}\ の入れ方は6通り}である. \\[.5zh] よって,\ \fbox{左}\ と\ \fbox{中}\ の入れ方は\bm{7\times6=42通り}である(\bm{積の法則}). \\[.5zh] \fbox{右}\ には,\ 残りの5人から1人選んで入れるから,\ 5通りの入れ方がある. \\[1zh] さらに,\ 7人のうち誰が\ \fbox{左}\ と\ \fbox{中}\ に入っても,\ \fbox{右}\ には残り5人から1人を選んで入れる他ない. \\[.5zh] \bm{42通りのいずれに対しても\ \fbox{右}\ の入れ方は5通り}であり,\ \bm{42\times5=210通り}となる(\bm{積の法則}). \\[1zh] (2)も全く同様である.\ なお,\ 7\kaizyou=5040を覚えていると瞬殺できる. \\\\ 以上の説明でわかるように,\ \bm{\zyunretu nr\,やn\kaizyou\,の正体は「積の法則」}である. \\[.2zh] つまり,\ 積の法則さえ理解していれば,\ 別に\,\zyunretu nr\,やn\kaizyou\,を持ち出さずとも答えを求めることができる. \\[.2zh] 毎回7\cdot6\cdot5などと式を書くのは面倒なので,\ これを\,\zyunretu73\,と表そうと決めただけの話である. \\[.2zh] \zyunretu73\,という表現はどうでもいい.\ \ \bm{7\cdot6\cdot5\ の意味合いを理解できているか}が重要なのである. \\[1zh] 場合の数の初学者の多くは,\ 「並べる場合は\,\zyunretu nr\,だ」のような丸暗記に近い認識しかもっていない. \\[.2zh] 公式を習うことで,\ 次のような\bm{とんでもない勘違い}をしてしまうのである. \\[.5zh] \ 「全て書き出さずとも,\ 今後は場合の数は公式に当てはめるだけで答えが求まるんだ.\ 高校数学最高.」 \\[.5zh] 今のうちに断っておくが,\ \bm{何も考えず公式使って即終了といった問題は試験にはほとんど出ない.} \\[.2zh] \bm{必死に頭を使って思考して手を使って試行錯誤した結果として,\ 答えが計算で求まるだけ}である. \\[.2zh] \bm{自分の認識の甘さを以下の応用問題で思い知ることが場合の数の学習の第一歩}である. \\[1zh] なお,\ 特に断りがなくても,\ \bm{人は区別できる}と考えるのが慣例である. \\[.2zh] 順列\,\zyunretu nr\,は,\ \bm{\underline{異なる}\,n個}のものからr個を取り出して並べる場合の数である. \\[.2zh] 区別できないものを含む場合には単純に\,\zyunretu nr\,にはならない.\ 同じものを含む順列は後に取り扱う. \\[1zh] また,\ 後に異なるn個のものからr個を選ぶときの組合せが\,\kumiawase nr\,であることを学習する. \\[.2zh] すると,\ 「\,3人選んで」という表現を見て安易に\,\kumiawase73\,と答えてしまう学生が少なくない. \\[.2zh] \bm{\zyunretu nr\,も\,\kumiawase nr\,も「\underline{異なる}\,n個からr個選ぶ」ことに変わりはない.} \\[.4zh] 違うのは,\ 選んだ後\bm{並べるか否か(順序を考慮するか否か)}である. 10人から校長,\ 教頭,\ 担任を1人ずつ決める場合の数は何通りあるか(兼任不可). \\[1zh] \hspace{.5zw}(2)\ \ 3人の生徒がそれぞれA,\ B,\ C,\ D,\ E,\ F席のいずれかに座るときの場合の数は \\[.2zh] \hspace{.5zw}\phantom{(1)}\ \ 何通りあるか. \\[1zh] \hspace{.5zw}(3)\ \ A,\ B, C, Dと書かれた玉を8人に配る(1人1個)ときの場合の数は何通りあるか. \\ (1)\ \ 初学者は,\ 並べていないのにもかかわらず\,\zyunretu{10}{3}\,という解答を見て驚くことだろう. \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ 実は,\ 並べていなくても\,\zyunretu nr\,が適用できる場合は多い.\ \ \bm{\zyunretu nr\,の正体は積の法則}だからである. \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ 以下のように考えると,\ 本問と前問が本質的に同じであることがわかる. \\[1zh] \phantom{(1)}\ \ \fbox{校長}\ \ \fbox{教頭}\ \ \fbox{担任}\ \ に1人ずつ入れていくと考える. \\[.5zh] \phantom{(1)}\ \ 校長から入れるとすると,\,校長の選び方は10通り,\,残り9人なので教頭の選び方は9通りである. \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ 残り8人なので担任の選び方は8通りで,\ 総数は10\cdot9\cdot8で求められる(積の法則). \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ そして,\ この10\cdot9\cdot8が\,\zyunretu{10}{3}\,と表すこともできるので,\ 格好をつけて書いておいただけである. \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ つまり,\ あえて\,\zyunretu{10}{3}\,などと書く必要は一切ないので,\ 別に\,\zyunretu nr\,を知らなくとも答えられる. \\\\ 以上から,\ \bm{積の法則により連続整数の積が現れるとき,\ 並べずとも\,\zyunretu nr\,が使える}とわかる. \\[.2zh] では,\ 主にどのような場合に積の法則で連続整数の積が現れるのだろうか. \\[.2zh] \text{\scalebox{.99}[1]{$それは,\bm{異なるn個のものからr個を選び,\,他の異なるr個のものと1対1で対応させる場合}である.$}} \\[.2zh] \maru1\ \maru2\ \cdots\ \maru nからr個を選んで\ \fbox{1}\ \fbox{2}\ \cdots\ \fbox{\vphantom1r}\ に入れる(1対1で対応させる)とする(r\leqq n). \\[.5zh] \fbox{1}\ への入れ方はn通り,\ \fbox{2}\ への入れ方はn-1通り,\ \cdots\cdots,\ \fbox{\vphantom1r}\ への入れ方はn-r+1通り. \\[.5zh] 積の法則を用いると,\ nからr個分の整数の積,\ すなわち\,\zyunretu nr\,が現れる. \\[.2zh] 「異なるn個のものからr個選んで並べる」はこれの特殊な場合にすぎないというわけである. \\[1zh] 1対1対応の視点でとらえると,\ (1),\ (2),\ (3)を\,\zyunretu nr\,で求められることが明確に理解できる. \\[.5zh]  (1)\ \ 10人から3人を選び,\ 異なる3つの役職と1対1で対応させるときの場合の数. \\[.2zh]  (2)\ \ 異なる6個の席から3個を選び,\ 3人と1対1で対応させるときの場合の数. \\[.2zh]  (3)\ \ 8人から4人を選び,\ 異なる4個の玉と1対1で対応させるときの場合の数. \\[1zh] (2)\ \ 選ぶのが人の方であるとは限らない.\ 数が多い座席の方を選ぶことになる. 男子5人と女子2人を1列に並べるとき,\ 次の並び方は何通りあるか. \\[.8zh] \hspace{.5zw} (1)\ \ 少なくとも一方の端に女子が並ぶ \\[.8zh] \hspace{.5zw} (2)\ \ 左から奇数番目に男子が並ぶ \\ 7人全員の並び方は $7\kaizyou=5040\ (通り)$ \\[.5zh] \phantom{ (1)}\ \ $\textcolor{red}{両端に男子}がくる並び方は  \betu\ \ [1]\ \ \textcolor{red}{左端に女子,\ 右端に男子}がくる並び方は \phantom{ (1)}\ \ [2]\ \ \textcolor{red}{左端に男子,\ 右端に女子}がくる並び方は \phantom{ (1)}\ \ [3]\ \ \textcolor{red}{両端に女子}がくる並び方は  \centerline{$\therefore [1],\ [2],\ [3]\,は互いに排反であるから 1200+1200+240=\bm{2640\ (通り)}$} 左から1,\ 3,\ 5,\ 7番目の男子4人}の並び方は 残りの3人を左から偶数番目に並べる}ときの並び方は $\textcolor{red}{3\kaizyou}=3\cdot2\cdot1=6\ (通り)$ \\[1zh] (1)\ \ 「少なくとも1つ~」の場合の数では,\ \bm{補集合の利用}が有効なのであった. \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ 「少なくとも一方の端に女子が並ぶ」の否定は\bm{「両端に男子が並ぶ」}である. \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ 条件がある場合,\ \bm{より強い条件を先に処理する}のが基本である. \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ \maru{男}○○○○○\maru{男}\ となればよいから,\ 先に両端に男子を並べる. \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ 男子5人から2人選んで両端に並べるときの並び方は\,\zyunretu52=20通りである. \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ 後は残りの5人(男子3人,\ 女子2人)を間に並べればよく,\ その並び方は5\kaizyou=120\,通りである. \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ \bm{両端の並び20通りのいずれに対しても中央の並びは120通りある}から,\ 積の法則を適用する. \\[1zh] \phantom{(1)}\ \ 補集合を利用せず直接的に求める別解も示した. \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ \bm{互いに排反になるように場合分けする}ことを心掛ける. \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ 例えば,\ [1]\ 左端が女子,\ [2]\ 右端が女子,\ [3]\ 両端が女子\ は排反ではないので不適切である. \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ この場合分けでは,\ \maru{女}○○○○○\maru{女}\ のような場合を重複して数えてしまうことになる. \\[1zh] \phantom{(1)}\ \ [1]\ \ 左端は女子2人から1人を選んで並べるから,\ \zyunretu21=2通りである. \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ \phantom{[1]}\ \ 右端は男子5人から1人を選んで並べるから,\ \zyunretu51=5通りである. \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ \phantom{[1]}\ \ 後は残りの5人を間に並べればよい. \\[1zh] (2)\ \ \maru{男}○\maru{男}○\maru{男}○\maru{男}\ となればよいから,\ 先に奇数番目に男子を並べる. \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ 男子5人から4人選んで並べることになるから,\ その並び方は\,\zyunretu54\,通りである. \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ 後は残りの3人(男子1人,\ 女子2人)を○の位置に並べればよい. 7個の数字1,\ 1,\ 2,\ 2,\ 3,\ 3,\ 4がある.\ 左右どちらから読んでも同じ順番となるように \\[.2zh] \hspace{.5zw}並べるときの場合の数は何通りあるか. \\ 中央に4}を並べ,\ \textcolor{cyan}{4の左側に3個の数字1,\ 2,\ 3}を並べる. \\[.2zh]   左側の並びのそれぞれに対して,\ \textcolor{cyan}{右側は左側と対称な並びの1通り}である. \\[.2zh]   よって,\ 求める場合の数は,\ \textcolor{red}{3個の数字1,\ 2,\ 3の並び方}に等しい. \\[1zh] \bm{1個しかない4の特殊性に着目する}のがポイントである. \\[.2zh] 左右対称になるためには,\ 1個しかない4が中央に並ぶ必要がある. \\[.2zh] ○○○4△△△ \\[.2zh] また,\ 1,\ 2,\ 3は2個ずつしかないから,\ 同じ数字が同じ側に並ぶことはない. \\[.2zh] つまり,\ 左の3個の○の中には,\ 1,\ 2,\ 3のいずれかが入る. \\[.2zh] また,\ \bm{○の部分が決まれば,\ △の部分の並びは自動的に定まる.} \\[.2zh] 例えば,\ 左側が231と決まれば,\ 右側は132の1通りである. \\[.2zh] 結局,\ ○の部分に入れる1,\ 2,\ 3の並び方が何通りかを求めればよい. \\[.2zh] 7個の数字の並びだが,\ 与えられた条件を考慮すると,\ 左3つの並び方に帰着するわけである. \\[.2zh] 正確にいえば,\ 1\times3\kaizyou\times1=6\ として求めたことになる. \\[.2zh] 最初の1は,\ 中央に入る数が4の1通りであることを意味する. \\[.2zh] 3\kaizyou=6 は左側の並び,\ そしてその6通りのいずれに対しても,\ 右側は1通りである.