大小2個のサイコロを投げるとき,\ 目の和が10以下になる場合は何通りか.$
$(2)\ \ 大中小3個のサイコロを投げるとき,\ 目の積が偶数になる場合は何通りか.$
$(3)\ \ 大中小3個のサイコロを投げるとき,\ 目の積が4の倍数になる場合は何通りか.$ \\
補集合の利用 \\
直接的に求めることが面倒な場合の数は,\ 総数から起こらない場合(補集合)を引く.
$(Aである)=(全体)-(Aでない)$
実際には,\ 「~でない」の場合の数を求めるときに補集合を利用することが多い.
$(Aでない)=(全体)-(Aである)$
また,\ 「少なくとも1つ~」の場合の数では特に有効である.
$(少なくとも1つはA)=(全体)-(すべてAでない)$
(1)\ \ $出る目の総数は 6×6=36\ (通り)$
$目の和が11}になる場合の数は (5,\ 6),\ (6,\ 5)の2通り}$
$目の和が12}になる場合の数は (6,\ 6)の1通り}$ \\
目の和の最小は1+1=2,\ 最大は6+6=12である.
和が2,\ 3,\ ・・・,\ 12になる場合はいずれも同時には起こらないから,\ 互いに排反}である.
つまり,\ (全体)=(和2)+(和3)+・・・+(和12)が成り立つ(和の法則}).
ここで,\ 和が2,\ 3,\ ・・・,\ 10になる場合の数より,\ 11,\ 12になる場合の数を数えるほうが楽である.
よって,\ 積の法則で求まる全体から,\ 目の和が11,\ 12になる場合を引けば済む.}
(2)\ \ 目の積が偶数になるのは,\ 少なくとも1つの目が偶数}になる場合である.
$出る目の総数は 6×6×6=216\ (通り)$
$すべて奇数}の目が出る場合の数は 3×3×3=27}\ (通り)$
[\,直接的に求める}\,]
目の積が偶数になるのは,\ 3つのサイコロ(大,\ 中,\ 小)の偶奇の組が次の場合である.
これらの偶奇の組7通りのいずれも,\ その目の出方は$3×3×3=27$\,(通り)である. \\
「3つの目の積が偶数」は,\ 「少なくとも1つの目が偶数」}に言い換えることができる.
よって,\ 総数から「すべてが奇数」の場合を引いて求める}ほうが楽である.
実際,\ 区別できる3つのサイコロの偶奇の組(大,\ 中,\ 小)は,\ 次の8通りが考えられる.
(偶,\ 偶,\ 偶),\ \ (偶,\ 偶,\ 奇),\ \ (偶,\ 奇,\ 偶),\ \ (偶,\ 奇,\ 奇)
(奇,\ 偶,\ 偶),\ \ (奇,\ 偶,\ 奇),\ \ (奇,\ 奇,\ 偶),\ \ (奇,\ 奇,\ 奇)
すべて奇数の(奇,\ 奇,\ 奇)以外は積が偶数}であり,\ 明らかに全体から引いたほうが速い.
1つのサイコロにつき,\ 奇数の目は1,\ 3,\ 5の3通りがある.
大サイコロ3通りのいずれに対しても,\ 中サイコロは3通りである.
よって,\ 3×3=9通りで,\ さらにその9通りのいずれに対しても小サイコロは3通りである.
ゆえに,\ すべて奇数の目が出る場合の数は,\ 3×3×3=27通り(積の法則)である.
普段の演習では,\ 楽な方法だけでなく,\ 直接的に泥臭く求めてみることも重要である(別解).
正攻法の優位性を改めて確認することにより,\ 理解を深めることができる.
また,\ 他の問題ではこれが正攻法になるかもしれない.
時間的な余裕があれば,\ 実戦でも別解を考えてみることで,\ 検算することができる.
本問の場合,\ 偶数も奇数も3通りずつなので,\ 偶奇の組合わせによらず27通りずつになる.}
それゆえ,\ 積の法則により案外楽に求められる.
\ $出る目の総数は 6×6×6=216\ (通り)$
(.13zw}i.13zw})\ \ $すべての目が奇数}の場合の数は 3×3×3}=27\ (通り)$
(ii)\ \ $2つの目が奇数で,\ 1つの目が2か6}の場合の数は (3×3×2)×3}=54\ (通り)$
よって,\ 出る目の積が4の倍数にならない場合の数は $27+54=81$\ (通り)
解答の記述は簡潔だが,\ ここまでに至る思考過程は容易ではない.
まず,\ 目の積が4の倍数となる条件を考える.
少なくとも1つの目が4}であれば,\ 目の積が4の倍数となる.
また,\ 少なくとも2つの目が偶数}の場合も,\ 目の積が4の倍数となる.
「少なくとも~」であるから,\ 補集合の利用}が思い浮かぶ.
目の積が4の倍数にならない場合の数}を求める.
「少なくとも1つの目が4\,」の否定は,\ 「すべての目が4でない」}である.
「少なくとも2つの目が偶数」の否定は,\ 「偶数の目が0個または1個」}である.
ここで注意すべきは,\ この2つの場合が互いに排反ではない}ことである.
例えば,\ (2,\ 3,\ 5)は「すべての目が4でない」かつ「偶数の目が0個または1個」である.
それゆえ,\ 単純にこの2つの場合の数の和を総数から引いて求めることはできない.
重複分を考慮して求めることも可能だが,\ やはり排反な場合分けをするのが原則}である.
場合の数では,\ 条件が強いものや特殊なものに着目して場合を分ける}とよいことが多い.
また,\ 条件が複雑で一度に場合分けするのが難しいならば,\ 何段階かに分けて場合分けする.}
本問は,\ まず4の目に着目して場合分けするとよい.
つまり,\ 4の目を含む場合と含まない場合に分ける.}\ これは互いに排反な場合分けである.
4の目を含まない場合でも,\ 4以外の偶数2,\ 6が2つ以上あれば4の倍数になる.}
よって,\ 偶数2,\ 6がいくつあるかでさらに場合分けをする.}\ これも互いに排反な場合分けである.
結局,\ 全体を以下の4通りの排反な場合に分けることができる.
4の目を1つ以上含む & (目の積が4の倍数である)
4の目を1つも含まない\ \ かつ &
2,\ 6の目がない & (目の積が4の倍数でない)}
2,\ 6の目が1つ & (目の積が4の倍数でない)}
2,\ 6の目が2つ以上 & (目の積が4の倍数である)
全体から4の倍数でない2つの場合を引けば,\ 4の倍数になる場合の数を求めることができる.
「\,4の目を含まない\ かつ\ 2,\ 6の目を含まない」は,\ 要は「すべて奇数の目」}である.
「\,4の目を含まない\ かつ\ 2,\ 6の目が1つ」は,\ 要は「\,奇数の目が2つ,\ 2か6の目が1つ\,」}である.
これだけ思考してようやく計算に入ることができる.\ (奇,\ 奇,\ 奇)は27通りである.
「\,奇数の目が2つ,\ 2か6の目が1つ\,」のときの場合の数を考える.
(大,\ 中,\ 小)=(奇,\ 奇,\ 2か6)となる場合の数は,\ 3×3×2=18通りである.
(奇,\ 2か6,\ 奇),\ (2か6,\ 奇,\ 奇)\ の場合も同様であるから,\ これを3倍して54通りと求められる.
\,直接的に求める(4の個数で場合分け)\,]
}\ \ (.13zw}i.13zw})\ \ $すべての目が4}の場合の数は 2つの目が4で,\ 1つの目が4以外}の場合の数は color{red}1つの目が4で,\ 2つの目が4以外}の場合の数はすべての目が2か6}の場合の数は 2つの目が2か6で,\ 1つが奇数}の場合の数は
本解の解説にある「\,4の目が1つ以上」「\,4を含まず,\ 2,\ 6の目が2つ以上」を直接求めてみる.
補集合を利用せずに求める場合も,\ とにかく排反な場合分けを心掛ける.}
「\,4の目が1つ以上」は,\ 4の目がいくつあるかで場合分け}すると排反な場合分けになる.
これが(.13zw}i.13zw})\ ~\ (\scalebox{0.7}[1]{iii})}である.\ ただし,\ これらは補集合を利用するとまとめて求められる.
つまり,\ (全体)-(4の目を含まない)=6^3-5^3=91\ (=1+15+75)と求められる.
「\,4を含まず,\ 2,\ 6の目が2つ以上」は,\ 2,\ 6の目がいくつあるかでさらに場合分け}する.
これも排反な場合分けである.
結局,\ 目の積が4の倍数になる場合は,\ 以下の5通りの排反な場合に分けられる.
[\,直接的に求める(偶数の個数で場合分け)\,]
}\ \ (.13zw}i.13zw})\ \ $すべての目が偶数}の場合の数は {2つの目が偶数で,\ 1つの目が奇数}の場合の数は color{red}$1つの目が4で,\ 2つの目が奇数}の場合の数は
実は,\ 偶数の目がいくつあるかで場合分けすると簡潔に済む.}
偶数の目が3つまたは偶数の目が2つ(奇数の目が1つ)の場合,\ 目の積が4の倍数になる.
また,\ 偶数の目が1つであっても,\ その1つの目が4のときは目の積が4の倍数になる.
この3つの場合は互いに排反}であるから,\ それぞれの場合を求めて足せばよい.
偶数の目が2つ(奇数の目が1つ)の場合 (大,\ 中,\ 小)=(偶,\ 偶,\ 奇),\ (偶,\ 奇,\ 偶),\ (奇,\ 偶,\ 偶)\
1つの目が4で2つの目が奇数の場合 \ \ \,(大,\ 中,\ 小)=(4,\ 奇,\ 奇),\ (奇,\ 4,\ 奇),\ (奇,\ 奇,\ 4)