正多角形内の三角形の個数(二等辺三角形・正三角形・直角三角形・鈍角三角形・鋭角三角形他)

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正12角形\mathRM{A_1A_2\cdots\cdots A_{12}}$\,の異なる3個の頂点を結んでできる以下の三角形の個数を \\[.2zh] \hspace{.5zw}求めよ. \\[1zh] \hspace{.5zw} (1)\ \ 正12角形と辺を共有しない三角形 \\[.8zh] \hspace{.5zw} (2)\ \ 二等辺三角形 \\[.8zh] \hspace{.5zw} (3)\ \ 直角三角形      (4)\ \ 鈍角三角形      (5)\ \ 鋭角三角形 \\[.8zh] \hspace{.5zw} (6)\ \ 互いに合同でない三角形(回転や裏返して一致するものは同一のものとみなす) \\ 正多角形内の三角形の個数 正12角形を正確に手書きするのは意外と難しいので,\ \bm{円を12等分する}とよい. \\[1zh] 辺を共有しない三角形の個数は,\ \bm{総数から辺を共有する三角形の個数を引いて求める.} \\[.2zh] ただし,\ 2辺を共有する三角形と1辺を共有する三角形があるので,\ それぞれ引く必要がある. \\[1zh] 頂角が\mathRM{A_1}\,の2辺を共有する二等辺三角形には,\ \mathRM{A_1A_2A_{12}}\ (左図)\ がある(1個). \\[.2zh] 頂角は\mathRM{A_1,\ A_2,\ \cdots,\ A_{12}}\ の12通りあるから,\ 2辺を共有する三角形は全部で12個ある. \\[1zh] 1辺を共有する三角形は,\ \bm{共有する1辺を固定}して考える(右図). \\[.2zh] \mathRM{A_1A_2\,を固定し,\ 残りの1個の頂点の取り方を考える.} \\[.2zh] \mathRM{A_1,\ A_2\,とそれに隣接する頂点A_3,\ A_{12}\,を除く,\ A_4,\ A_5,\ \cdots,\ A_{11}}\,の8通りがある. \\[.2zh] \mathRM{A_1A_2}\,以外の辺に対しても8通りずつあるから,\ 全部で8\times12個ある. \\[1zh] 容易に一般化できるので,\ 正n角形(n\geqq6)の場合を示しておく. \\[.5zh] \kumiawase n3-n-(n-4)\times n=\bunsuu16n(n-1)(n-2)-n-n(n-4)=\bunsuu16n\{(n-1)(n-2)-6-6(n-4)\} \\[.8zh] \phantom{\kumiawase n3-n-n\times(n-4)}=\bunsuu16n(n^2-9n+20)=\bunsuu16n(n-4)(n-5) 頂角\mathRM{A_1}\,の二等辺三角形}は \textcolor{cyan}{5}\ (個)$ \\[.5zh] \phantom{ (2)}\ \ $\textcolor{red}{正三角形}は \textcolor{red}{\bunsuu{12}{3}}=4\ (個)$ \\[1zh] \centerline{$\therefore 二等辺三角形の個数は \textcolor{cyan}{5\times12}-\textcolor{red}{4\times2}=\bm{52\ (個)}$} \\\\ 一般に,\ \bm{「正三角形」も「二等辺三角形」に含まれる}ことに注意する. \\[1zh] まず,\ 頂角を\mathRM{A_1}\,に固定したときの二等辺三角形の個数を数える. \\[.2zh] \bm{対称性を考慮する}と5個の二等辺三角形があるとわかる(左図). \\[.2zh] 頂点は12個あるからこの5個を12倍すると総数が求まりそうだが,\ そう単純にはいかない. \\[.2zh] この方法では,\ \bm{正三角形を重複して数えてしまう}のである. \\[.2zh] 例えば,\ \mathRM{頂角A_1\,のA_5A_9\,と頂角A_5\,のA_1A_9\,と頂角A_9\,のA_1A_5}\ は同一の正三角形である. \\[.2zh] 結局,\ \bm{12倍したものから余分に数えた正三角形の個数を引く}必要が生じる. \\[1zh] 正三角形の個数は,\ \bm{頂点の個数を3で割る}とわかる. \\[.2zh] 具体的には,\ ,\mathRM{A_1A_5A_9,\ \ A_2A_6A_{10},\ \ A_3A_7A_{11},\ \ A_4A_8A_{12}}\ の4個である(右図). \\[.2zh] 5\times12では1個の正三角形を3個と数えてしまうから,\ 余分に数えた2個分を引けばよい. \\[1zh] 二等辺三角形の個数を数えるとき,\ \bm{頂角の特殊性に着目}して数えるのは自然である. \\[.2zh] しかし,\ 二等辺三角形の中で\bm{正三角形になるときだけはどの角も対等になる}ため,\ 重複が生じる. \\[.2zh] このように,\ 特殊性に着目して数えるとき,\ \bm{その特殊性が常に成立するかに注意する}必要がある. \\[1zh] 正n角形(n\geqq3)への一般化は面倒である. \\[.2zh] まず,\ \bm{nが偶数か奇数かで対称性に違いが生じるので場合分けする}必要がある. \\[.2zh] さらに,\ \bm{nが3の倍数か否かで正三角形ができるか否かが変わるので場合分けする}必要がある. \\\\ nが偶数のとき,\ \text A_n\,の対角が\text A_{\frac n2}\,となる(右上図). \\[.4zh] よって,\ \text A_1\,の対角は\text A_{\frac n2+1}\,である. \\[.4zh] ゆえに,\ \text A_1\,が頂角の二等辺三角形は\text A_2,\ \cdots,\ \text A_{\frac n2}\,の\,\bunsuu n2-1個ある. \\[1zh] nが奇数のとき,\ \text A_1\,の向かい側は\text A_{\frac{n+1}{2}}\,と\text A_{\frac{n+3}{2}}\,の中央となる(右下図). \\[.4zh] ゆえに,\ \text A_1\,が頂角の二等辺三角形は\text A_2,\ \cdots,\ \text A_{\frac{n+1}{2}}\,の\,\bunsuu{n-1}{2}\,個ある. \\\\ \text{[1]}\ \ nが偶数であり3の倍数ではないとき \\[.5zh]    \left(\bunsuu n2-1\right)\times n=\bm{\bunsuu12n(n-2)\ (個)} \\\\ \text{[2]}\ \ nが偶数かつ3の倍数のとき,\ 正三角形が\,\bunsuu n3\,個あるから \\[.8zh]    \bunsuu12n(n-2)-\bunsuu n3\times2=\bm{\bunsuu16n(3n-10)\ (個)} \\\\ \text{[3]}\ \ nが奇数であり3の倍数ではないとき \\[.5zh]    \left(\bunsuu{n-1}{2}\right)\times n=\bm{\bunsuu12n(n-1)\ (個)} \\\\ \text{[4]}\ \ nが奇数かつ3の倍数のとき,\ 正三角形が\,\bunsuu n3\,個あるから \\[.8zh]    \bunsuu12n(n-1)-\bunsuu n3\times2=\bm{\bunsuu16n(3n-7)\ (個)} 直径\mathRM{A_1A_7}\,を1辺とする直角三角形のもう1つの頂点}の選び方は \textcolor{red}{10}\ (通り)$ \\[1zh] 直径の選び方は6通り}あるから \textcolor{red}{10}\times\textcolor{purple}{6}=\bm{60\ (個)}$} \\\\ \bm{外接円の直径に対する円周角が直角である}ことを利用する. \\[.2zh] \bm{外接円の直径を1つ固定}すると,\ 残りの頂点の選び方は図のように10通りある. \\[.2zh] 直径は\ \mathRM{A_1A_7,\ A_2A_8,\ A_3A_9,\ A_4A_{10},\ A_5A_{11},\ A_6A_{12}}\ の6本あるから,\ 6倍する. \\\\ 正n角形(n\geqq3)への一般化は容易である. \\[1zh] \text{[1]}\ \ nが偶数のとき,\ 直径が\,\bunsuu n2\,本,\ 残りの頂点はn-2個なので\ \ \bunsuu n2\cdot(n-2)=\bm{\bunsuu12n(n-2)\ (個)} \\[1zh] \text{[2]}\ \ nが奇数のとき,\ 直径の両端となる頂点が存在しないから \bm{0個} 鈍角の頂点を$\mathRM{A_1}$}とする. \\[.5zh] \bm{鈍角の特殊性}に着目して場合分けする.\ まず,\ \mathRM{A_1}\,が鈍角となる三角形の個数を全て数える. \\[.2zh] 2個目の頂点を\mathRM{A_{12}}\,に固定すると,\ 残りの頂点は4通りの選び方がある(左図). \\[.2zh] 直径となる\mathRM{A_{12}A_6}\,までいくと,\ \mathRM{A_1}\,が直角になる. \\[.2zh] 2個目の頂点が\mathRM{A_{11}(右図),\ A_{10},\ A_9}\,の場合も同様に数えればよい. \\[.2zh] 2個目の頂点が反時計回りに\mathRM{A_8}\,より先に進むと,\ 3個目の頂点が何であれ\mathRM{A_1}\,は鈍角ではなくなる. 鋭角の頂点の一方を$\mathRM{A_1}$}に固定する. \\[.2zh] \phantom{ (1)}\ \ 残りの頂点は,\ $\textcolor{red}{\mathRM{A_2\,~\,A_6\,から2個,\ あるいは\,A_8\,~\,A_{12}\,から2個}選べばよい.}$ \\[.2zh] \phantom{ (1)}\ \ その選び方は $\textcolor{red}{\kumiawase52\times2}=20\ (通り)$ \\[1zh] \phantom{ (1)}\ \ 12個の頂点のいずれに対しても20通りの選び方があると考えると, \\[.2zh] \phantom{ (1)}\ \ すべての鈍角三角形を2回重複して数えることになる. \\[1zh] 実は,\ \bm{鋭角を固定し,\ 後で重複度を考慮する}ほうが楽である. \\[.2zh] 直径\mathRM{A_1A_7}\,で分割された円周の一方の側から残りの2個の頂点を選ぶと鈍角三角形ができる. \\[.2zh] 鋭角は2つあるから,\ 単純に12倍すると同じ三角形を2回数えてしまうことに注意する. \\[.2zh] 例えば,\ \mathRM{A_1\,固定のA_3A_6\,とA_6\,固定のA_1A_3\,は同一の三角形である.} \\[1zh] この考え方ならば,\ 容易に正n角形(n\geqq5)に一般化できる. \\[.2zh] (2)の場合と同様,\ nが偶数のときと奇数のときで場合分けする必要がある. \\[1zh] {\bunsuu18n(n-2)(n-4)\ (個)}\bunsuu18n(n-1)(n-3)\ (個){\mathRM{A_1}\,を鈍角の頂点}とし,\ 他の2個の頂点を\mathRM{A_x,\ A_y}とする.$ \ 上級者は,\ \bm{図形の条件を数式条件に変換して考える}方法も習得しておいてほしい. \\[.2zh] 鈍角の頂点を固定すると,\ \bm{残りの2つの頂点x,\ yが満たすべき条件を連立不等式で表せる.} \\[.2zh] \bm{鈍角三角形の個数は,\ この連立不等式を満たす自然数(x,\ y)の組数に等しい}わけである. \\[1zh] \mathRM{A_1}\,が鈍角のとき,\ 2頂点\mathRM{A_x,\ A_y}\,は円の右半分(2\leqq x\leqq6)と左半分(8\leqq y\leqq12)にある. \\[.2zh] さらに,\ \mathRM{A_x\,とA_y\,}が円周の半分よりも離れていなければならず,\ 数式で表すとy-x>6である. \\[.2zh] 2\leqq y-6\leqq6も考慮すると1つの不等式にまとまる. \\[.2zh] \ また,\ \bm{(x,\ y)と(x,\ y’)は1対1で対応}する. \\[.2zh] よって,\ 自然数(x,\ y’)の組数を求めればよく,\ 2,\ 3,\ 4,\ 5,\ 6の5個から2個選ぶことになる. \\[1zh] \bm{2変数連立不等式が条件であるとき,\ 領域を図示して考える}ことも重要である(数\text{I\hspace{-.1em}I}:図形と方程式). \\[.2zh] 整数(x,\ y)の組数は,\ 図形的には\bm{格子点(x,\ y座標が共に整数である点)の個数}である(右図). 鈍角三角形は,\ 鈍角の特殊性に着目して考えることができた. \\[.2zh] しかし,\ 鋭角三角形は3つの角がいずれも鋭角で対等であるから直接的に考えにくい. \\[.2zh] \bm{先に直角三角形と鈍角三角形を求め,\ 総数から除く}のが結局は楽である. \\[1zh] 正n角形(n\geqq5)の場合は,\ (3),\ (4)より以下のようになる.\ \ \kumiawase n3=\bunsuu16n(n-1)(n-2)\ である. \\\\ \text{[1]}\ \ nが偶数のとき \bunsuu16n(n-1)(n-2)-\bunsuu12n(n-2)-\bunsuu18n(n-2)(n-4) \\[.8zh]            =\bunsuu{1}{24}n(n-2)\{4(n-1)-12-3(n-4)\}=\bm{\bunsuu{1}{24}n(n-2)(n-4)\ (個)} \\[2zh] \text{[2]}\ \ nが奇数のとき \bunsuu16n(n-1)(n-2)-0-\bunsuu18n(n-1)(n-3) \\[.8zh]            =\bunsuu{1}{24}n(n-1)\{4(n-2)-3(n-3)\}=\bm{\bunsuu{1}{24}n(n-1)(n+1)\ (個  (6)\ \ 三角形の1個の頂点を$\mathRM{A_1}$\,に固定しても一般性を失わない. \\[.2zh] \phantom{ (1)}\ \ 三角形の3つの頂点の間にある正12角形の辺の数を$x,\ y,\ z$とする. \\[1zh] \phantom{ (1)}\ \ 互いに合同でない三角形の個数は,\ 以下を満たす自然数$(x,\ y,\ z)$の組数に等しい. \\[.5zh] 三角形の合同条件の1つは,\ 3辺の長さが等しいことである. \\[.2zh] 本問では,\ \bm{三角形の3辺の長さが正12角形の頂点の間隔と対応する.} \\[.2zh] つまり,\ \bm{正12角形の頂点の間隔が異なる三角形が何種類あるか}を求めればよいわけである. \\[1zh] これは,\ \bm{数式条件に変換して考える}とわかりやすい. \\[.2zh] 要するに,\ \bm{x+y+z=12の自然数解の組数を数えればよい}わけである. \\[.2zh] ただし,\ (3,\ 4,\ 5)とそれを並び替えた(4,\ 5,\ 3)や(3,\ 5,\ 4)などは互いに合同である. \\[.2zh] \bm{条件x\leqq y\leqq zを加えて数える}と,\ これらを重複して数えずに済む. \\[.2zh] 結局,\ 区別できない12個の玉を区別できない3組に分ける組分け問題に帰着する. \\[.2zh] このタイプの組分け問題では,\ すべて書き出して数えるのが手っ取り早いのであった.