次のように正八面体を塗り分ける方法は何通りあるか.
回転させて一致する塗り方は同じ塗り方とみなす.
(1)\ \ 6つの頂点を異なる6色をすべて使って塗り分ける.
(2)\ \ 6つの頂点を異なる2色をすべて使って塗り分ける.
(3)\ \ 8つの面を異なる8色をすべて使って塗り分ける.
(4)\ \ 8つの面を異なる2色をすべて使って塗り分ける. 正八面体の色の塗り分けと立方体との双対性}下の頂点の色を固定する}と,\ 上の頂点}の塗り方は
残りの4つの頂点の塗り方は,\ 異なる4色の円順列}である.
立方体の6つの面を2色①,\ ②をすべて使って塗ることに等しい.}
(1)\ \ 正八面体の6頂点は対等}なので,\ 1つを固定すると残りの5つの頂点の塗り分けに帰着する.}
\ \ 勘のいい学生は気付いただろうが,\ 解答は立方体の面の塗り分け(前項)と全く同じである.
\ \ それもそのはず,\ 実は正八面体を立方体に埋め込む}ことができる(右図).
\ \ 言い換えると,\ 立方体の各面の重心を結ぶと正八面体ができる.}
\ \ この事実は,\ 場合の数の問題に限らず,\ 正八面体を考察するときに利用できる.
\ \ 結局,\ 正八面体の6つの頂点を塗ることと立方体の6つの面を塗ることは等しい}わけである.
(2)\ \ 条件が複雑になると,\ 正八面体のままで回転対称性を考慮することが難しくなる.
\ \ 立方体へ埋め込んでしまえば,\ 前項の立方体の2色での塗り分け問題となる.
\ \ 本解答は,\ 前項の解答を丸写ししただけである.
立方体の6つの頂点を異なる8色をすべて使って塗ることに等しい.}
3頂点B,\ D,\ E}の塗り方は,\ 異なる3色の円順列}なので $C63×(3-1)!}=40\ (通り)$ $7×40=280$通りのいずれに対しても,\ 3頂点C,\ F,\ H}の塗り方は$3!}=6\ 通り$ある.
正八面体のままで回転対称性を考慮して塗り分けることは難しい.
実は,\ 先程までとは逆に,\ 立方体を正八面体に埋め込む}こともできる(上左図).
言い換えると,\ 正八面体の各面(正三角形)の重心を結ぶと立方体ができる.}
このような関係を立方体(正六面体)と正八面体の双対性}という.
双対性により,\ 正八面体の8つの面を塗ることと立方体の8つの頂点を塗ることは等しい}といえる.
立方体の8頂点は対等なので,\ 1つを固定すると残りの7つの頂点の塗り分けに帰着する.
ここで,\ 立方体の頂点は,\ ある頂点から何本の辺をたどって行けるかによって3つに分類できる.
Aが出発点ならば,\ B,\ D,\ Eまでは辺1本,\ C,\ F,\ Hまでは辺2本,\,頂点Gまでは辺3本で行ける.}
まず,\ 対角線の両端となる頂点A,\ G}を塗る.
次に3頂点B,\ D,\ E}だが,\ 対角線AG}を軸とする回転対称性に注意すると円順列の扱い}となる.
6色から選んだ3色を円形に並べることになる.
異なる3色でB,\ D,\ E}を塗ると,\ 残りの3頂点C,\ F,\ H}の回転対称性がなくなる}ことに注意する.
仮に,\ Bに色①,\ Dに色②,\ Eに色③}を塗ったとしよう.
このとき,\ Cに④を塗るのとFに④を塗るのとHに④を塗る}のはすべて異なる塗り方となる.
それゆえ,\ 3頂点C,\ F,\ Hの塗り方は,\ 円順列ではなく単なる順列の扱い}となるわけである.
実は,\ 正多面体(4面,\ 6面,\ 8面,\ 12面,\ 20面のみ存在)の塗り分けには公式がある(裏技).
正m角形からなる正n面体のすべての面を異なる色で塗る塗り方}は (n-1)!}{m}\ (通り)}
lll}
正四面体 3!}{3}=2\ (通り) & 正十二面体 11!}{5}=7983360\ (通り)
正六面体 5!}{4}=30\ (通り) & 正二十面体 19!}{3}=40548366802944000\ (通り)
正八面体 7!}{3}=1680\ (通り)
立方体の8つの頂点を2色①,\ ②をすべて使って塗ることに等しい.}
簡単な計算方法はないので,\ 2色を何頂点ずつ塗るかで場合分けしてしらみつぶしする.
このような問題を早々に諦めてはならない.\ 実際に書き出してみると,\ その場合の数は意外と少ない.
また,\ 完答できなくても,\ いくつかの場合が求まっていたならば部分点の対象になりうる.
厄介なのは[4]である.\ 1つの面に同色の頂点が最大何個あるか}を基準にして数えるとよい.
1つの面に同色の頂点が4個になる塗り方は当然1通りである(上段左).
1つの面に同色の頂点が3個になる塗り方は4通りある(下段).
まず,\ 上面の3頂点に①を塗るとき,\ その塗り方は1通りしかない.
このとき,\ 底面の1頂点に①を塗る塗り方は4通りある.
1つの面に同色の頂点が最大2個になる塗り方は,\ 2通りある(上段中右).
まず,\ 上面の2頂点に①を塗るとき,\ その塗り方は2通りある(2頂点を結ぶ線分が辺か対角線か).
そのいずれに対しても,\ 底面の2頂点に①を塗る塗り方は1通りである.
上段中図において,\ これ以外の底面の頂点の塗り方をすると,\ 左側面の3頂点が同色になってしまう.
上段右図において,\ 底面の辺の両端の2頂点を塗ると,\ 1つの側面の3頂点が同色になってしまう.
また,\ もう一方の対角線の両端の2頂点を塗ると,\ 上段中図の場合と重複する.