ベクトルの不等式の証明(コーシー・シュワルツの不等式、三角形の成立条件)

スポンサーリンク

次の不等式を証明せよ.
内積の定義と\ ab=a}b}cosθ\ と-1cosθ1を考慮するとほぼ自明の不等式である.
ただし,\ のときはなす角が定義できないので場合分けして示すことになる.
ab=a}b}\ の等号は,\ a=0\ または\ b=0\ または\ cosθ=1のときに成り立つ.
cosθ=1は\ θ=0°,\ 180°を意味するから,\ a∥b\ ということである.
(ab)²a}²b}²\ において\ a=(a,\ b),\ b=(x,\ y)\ とする.
すると{コーシー・シュワルツの不等式(ax+by)²(a²+b²)(x²+y²)}が導かれる(数II}).
a∥b,\ つまりa:b=x:yのとき等号が成立する.
数II}でa}-b}a+b} a+ b\ (a,\ b:実数)の証明があったが,\ 全く同様である.
まず,\ 右側の不等式を証明する.\ 不等式の証明の基本は,\ {(大)-(小)0を示す}ことであった.
ただし,\ ベクトルの大きさはそのまま差をとっても行き詰まるので,\ {2乗の差をとる.}
次のように,\ {両辺正の場合に限って2乗しても同値}なので,\ これを断った上で2乗をはずす.
 A0,\ B0のとき\ A BA² B²
左側の不等式は,\ 既に示した{右側の不等式を利用する}と簡潔に証明できる.
a}-b}0である保証はないので,\ 単純に2乗の差をとる方法は使えない.
もっとも,\ 次のように場合分けして示せばよいだけである.
右側の不等式は,\ {三角不等式}である.
下図のように,\ {三角形の2辺の長さの和が他の1辺の長さよりも大きい}ことを意味している.
の拡張である.\ aをa+b,\ bをcに置き換え,\ の右側の不等式を2段階で利用する.
数II}で\ a²+b²+c² ab+bc+ca\ の証明があったが,\ 全く同様である.
1文字で整理して平方完成という汎用性の高い解法もあるが,\ {対称性を生かす}と簡潔に済む.
やや技巧的だが,\ 割とよく登場する不等式なので,\ この簡潔な解法を習得しておいてほしい.
等号成立条件は,\ a²+b²+c²=0a=b=c=0\ であることを利用して求められる.
左辺を展開するとが利用できる.
の不等式を利用しているので,\ 等号成立条件もと一致する.