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座標平面上の図形は,\ 数学的には\textbf{\textcolor{purple}{「点の集合」}}である. \\[.2zh] よって,\ \textbf{\textcolor{red}{図形をベクトルで扱うには「点」をベクトルで扱う}}必要がある. \\[.2zh] \textbf{\textcolor{blue}{位置ベクトル}}という概念により,\ 点をベクトルで扱うことが可能になる. \\
直交座標平面では,\ A(1,\ 2)のように点を表してきた. \\[.2zh] \textbf{\textcolor[named]{ForestGreen}{原点(0,\ 0)を基準とした\.{絶}\.{対}\.{的}な位置(座標)を示すもの}}である. \\[.2zh] 座標は家の住所のようなもので,\ どの位置から見ても変わらない. \\
これに対し,\ \textbf{\textcolor{red}{点をある点からの\.{相}\.{対}\.{的}な位置としてとらえる}}こともできる. \\[.2zh] たとえば,\ 家の位置ならば「○駅から東に200m」などといった表現ができる. \\[.2zh] つまり,\ \textbf{\textcolor{magenta}{基準点からの方向と距離で位置を表す}}のである. \\[.2zh] ここで,\ ベクトルは\textbf{\textcolor{purple}{「方向と距離を合わせもつ量」}}であった. \\[.2zh] ゆえに,\ \textbf{\textcolor{magenta}{ある基準点からの相対的な位置に表すのにベクトルが最適}}なのである. \\[.2zh] なお,\ 絶対的な位置と相対的な位置のどちらの表現が適切かは場合による. \\\\
実際に点をどのようにベクトルで表すかを説明する. \\[.2zh] まず,\ \textbf{\textcolor{cyan}{基準となる点Oを\underline{自由に}定める.}} \\[.4zh] このとき,\ 点Aまでのベクトル$\bekutoru*a$は一意に定まる. \\[.2zh] 逆に,\ $\bekutoru*a$が与えられたとき,\ それに対応する点Aが一意に定まる. \\[.2zh] これは,\ \textbf{\textcolor{red}{点Aと$\bm{\bekutoru*a}$が1対1に対応し,\ ほぼ同一視できる}}ことを意味している. \\[.2zh] このとき,\ 点AをA$(\bekutoru*a)$と表記し,\ $\bekutoru*a$を点Oに対する点Aの\textbf{\textcolor{blue}{位置ベクトル}}という. \\\\\\\\
\textbf{\textcolor{blue}{内分点の位置ベクトル}} \\[.5zh] 2点A($\bekutoru*{a}$), B($\bekutoru*{b}$)を結ぶ線分ABを$m:n$に内分する点をP($\bekutoru*{p}$)とすると \\[.5zh] 「点\,\bekutoru*a\,と点\,\bekutoru*b\,の内分点が点\,\bekutoru*p」という\bm{深刻な誤解}をしている学生が非常に多い. \\[.2zh] 位置ベクトルはあくまでもベクトル(向きと大きさを合わせもつ量)であり,\ 点になるわけではない. \\[.2zh] 正しくは,\ 「点\text Aと点\text Bの内分点が\text P」である.\ この関係を何とかしてベクトルで表現したい. \\[.2zh] そのために,\ \bm{どこかに基準となる点\textbf Oをとり,\ そこからのベクトルを考える.} \\[.2zh] これを踏まえて初めて,\ 内分点の位置ベクトルの公式の真の意味合いが次であると理解できる. \\[.2zh] \mathRM{OからA,\,Bまでのベクトル\,\bekutoru*a,\ \bekutoru*b\,を用いて,\,OからPまでのベクトルが\,\bekutoru*p=\bunsuu{n\bekutoru*a+m\bekutoru*b}{m+n}\,と表せる.} \\[.6zh] 要は,\ \bm{\bekutoru{OP}=\bunsuu{n\bekutoru{OA}+m\bekutoru{OB}}{m+n}}\ ということである. \\[.6zh] 内分\dot{点}の公式ではなく,\ 内分点の\dot{位}\dot{置}\dot{ベ}\dot{ク}\dot{ト}\dot{ル}\ (\text Oから\text Pまでのベクトルを求める)公式なのである. \\[1zh] \bekutoru{OA}\,と\,\bekutoru{OB}\,を用いて\,\bekutoru{OP}\,を表すと考えると,\ 証明も容易である. \\[.2zh] \mathRM{OからPまでAを経由して行くとすると,\ \bekutoru{OP}=\bekutoru{OA}+\bekutoru{AP}\ となる.} \\[.2zh] また,\ \mathRM{AP:PB=m:n}より,\ \bekutoru{AP}=\bunsuu{m}{m+n}\bekutoru{AB}\ である.\ 仮に3:2ならば,\ \bekutoru{AP}=\bunsuu35\bekutoru{AB}\ である. \\[.8zh] 後は,\ \bekutoru{AB}=\bekutoru{OB}-\bekutoru{OA}=\bekutoru*b-\bekutoru*a\ として整理すると公式が導かれる. \\[.4zh] この証明から,\ \bm{基準点\textbf{O}をどこに設定したとしても\ \bekutoru*p=\bunsuu{n\bekutoru*a+m\bekutoru*b}{m+n}\,が成り立つ}ことがわかる. \\[.8zh] 自分の都合の良い点を基準にできることは,\ 図形をベクトルで扱う際の大きなメリットである. \\[1zh] \bekutoru*p=\bunsuu{n}{m+n}\bekutoru*a+\bunsuu{m}{m+n}\bekutoru*b\ より,\ 常に係数の和\,\bm{\bunsuu{n}{m+n}+\bunsuu{m}{m+n}=1}であることも重要である. \\[.8zh] よって,\ \bunsuu{m}{m+n}=t\ とおくと,\ \bm{\bekutoru*p=(1-t)\bekutoru*a+t\bekutoru*b}\ と書き換えることができる. \\[.8zh] %\mathRM{0<t<1のとき内分点,\ t=0のときP=A,\ t=1のときP=B,\ t<0,\ 1<tのとき外分点となる.} \\[1zh] さらに,\ \bm{\bekutoru*p=s\bekutoru*a+t\bekutoru*b\ (s+t=1)}\ と書き換えることもできる. \\[.2zh] 問題で扱うまでは実感できないが,\ この書き換えた式はベクトル分野の最重要事項の1つである. \\[1zh] 位置ベクトルの公式は,\ 基準点の場所次第で式の形や意味合いが変わることにも注意が必要である. \\[.2zh] \bekutoru{OP}=\bunsuu{n\bekutoru{OA}+m\bekutoru{OB}}{m+n}\,は,\ \bm{基準点\textbf Oを直線\mathRM{AB}上以外のところにとった場合の表現}である. \\[.8zh] もし,\ 基準点を\mathRM{O=A}とした場合,\ \bekutoru{AP}=\bunsuu{n\bekutoru{AA}+m\bekutoru{AB}}{m+n}=\bunsuu{m}{m+n}\bekutoru{AB}\ となる. \\[.8zh] これは,\ すぐ後に学習する共線条件(3点\text{A,\ P,\ B}が同一直線上にある条件)である.
}{重心の位置ベクトル
点\,\bekutoru*g\,を求める公式ではないことに注意する.\ そもそも,\ \bekutoru*g\,は点ではなくベクトルである. \\[.2zh] 位置ベクトル\,\bekutoru*g\,の公式は,\ \bm{基準点\textbf Oから重心\textbf Gまでのベクトル\,\bekutoru{OG}\,を求める公式}である. \\[.2zh] さらに正確に言えば,\ \bekutoru{OG}\,を\text{OからA,\ B,\ C}までの位置ベクトル\,\bekutoru{OA},\ \bekutoru{OB},\ \bekutoru{OC}\,で表す公式である. \\[.2zh] \mathRM{点Gは点Aと点Mを2:1に内分する点なので,\ 内分点の位置ベクトルの公式を適用する.} \\[.2zh] さらに,\ \mathRM{点Mは点Bと点Cの中点なので,\ 中点の位置ベクトルを適用すればよい.} \\[.2zh] 結局,\ \bm{3つの位置ベクトルを足して3で割ると,\ 重心の位置ベクトルが求まる}ことがわかる. \\[.2zh] 位置ベクトルの理解が不足したまま「足して3で割る」とだけ適当に覚えている学生が少なくない. \\[.2zh] 実に多くの学生が,\ 次が重大な誤りであることに気付かずに受験当日を迎えているのが現実である. \\[.2zh] \textbf{{\large \textcolor{red}{×}}} \bekutoru{OG}=\bunsuu{\bekutoru{AB}+\bekutoru{BC}+\bekutoru{CA}}{3}  これだと\ \bekutoru{AB}+\bekutoru{BC}+\bekutoru{CA}=\bekutoru{AC}+\bekutoru{CA}=\bekutoru{AA}=\bekutoru*0\ となる. \\[.8zh] \bekutoru*a,\ \bekutoru*b,\ \bekutoru*c,\ \bekutoru*g\,は,\ どこでもよいが,\ どこかにとった同じ基準点\text Oからのベクトルなのである. \\[1zh] \bm{基準点を頂点\mathRM{A=O}にすると \bekutoru*g=\bekutoru{AG}=\bunsuu{\bekutoru{AA}+\bekutoru{AB}+\bekutoru{AC}}{3}=\bunsuu{\bekutoru{AB}+\bekutoru{AC}}{3}=\bunsuu{\bekutoru*b+\bekutoru*c}{3}} \\[.8zh] 位置ベクトルの理解が不足していると,\ このような場合に対応ができなくなる. \\[1zh] とにかく,\ 初学者がベクトルでつまずきやすいのがこの位置ベクトルである. \\[.2zh] そして,\ 多くの学生は自分がつまずいていることにすら気付かないまま突き進み訳がわからなくなる. \\[.2zh] 内分点・外分点と重心の位置ベクトルの公式は,\ 形は単純だが意味合いは単純ではない. \\[.2zh] 数式の丸暗記ではなく,\ 意味合いまで入念に確認した上で学習を進めてほしい.
\mathRM{重心Gの位置を求めるには,\ P,\ Q,\ Rの位置が必要である.} \\[.2zh] 与えられた位置ベクトルを用いて,\ \mathRM{P,\ Q,\ R}の位置から順番に求めていけばよい. \\[.2zh] 位置ベクトルを公式にあてはめるだけで済むが,\ 次の根幹を理解しておきたい. \\[.2zh] 基準点\mathRM{O}がどこかにあり,\ \bekutoru{OA},\ \bekutoru{OB},\ \bekutoru{OC}\ が与えられている. \\[.4zh] ここから\ \bekutoru{OP},\ \bekutoru{OQ},\ \bekutoru{OR},\ さらに\ \bekutoru{OG}=\bunsuu{\bekutoru{OP}+\bekutoru{OQ}+\bekutoru{OR}}{3}\ を求める. \\[.6zh] 重心\mathRM{G}は,\ 基準点\mathRM{O}からみて\,\bekutoru*g\,の位置にあることが求まったわけである.