「瞬間部分積分」は正式な数学用語ではないので試験で使ってはいけません(念のため)。
元々はここで紹介したのとは微妙に異なるものを「瞬間部分積分」と呼んだようですが、正式な用語でもないので、どう考えても最強であるこの方法を当サイトでは「瞬間部分積分」と呼ぶことにします。名称が秀逸なので使わせて頂いたわけです。
∫x⁴sinxdx ∫x⁴e^xdx ∫x³2^xdx ∫x³e^(-2x)dx ∫(x³-2x²)cos2xdx ∫(logx)⁴dx ∫(logx)³/x²dx 不定積分\ $∫x⁴sin xdx$\ を求めよ. 瞬間部分積分 $(多項式)(三角関数)$型であるから,\ 部分積分で求めることができる. しかし,\ 多項式が4次の場合は4回部分積分を繰り返す必要があり,\ 恐ろしく面倒である. そこで,\ 部分積分の繰り返しを一般化した公式を作成しよう. わかりやすくするため,\ 次のように当サイト独自の記号を定める. $f(x)をf^0,\ これを1回,\ 2回,\ 微分したものをそれぞれf^{-1},\ f^{-2},と表す.$ また,\ $f^0を1回,\ 2回,\ 積分したものをそれぞれf^{+1},\ f^{+2},と表す.$ ここで,\ 公式\ $∫f(x)g'(x)dx=f(x)g(x)-∫f'(x)g(x)dx$\ を次のように書き変える. → $∫f(x)g(x)dx=f(x)G(x)-∫f'(x)G(x)dx$ 書き変えたのは,\ いちいち一方を微分形とみなすことなく使えるようにするためである. さらに当サイト独自の記号で表すと これを元に実際に部分積分を繰り返すことで,\ 瞬間部分積分の公式が導かれる. 瞬間部分積分の公式(裏技) 同様に部分積分を繰り返して と考えて瞬間部分積分の公式を適用すると,\ 文字通りの瞬殺である. x⁴を繰り返し微分,\ sin xを繰り返し積分することをx⁴が0になるまで行う. このとき,\ {符号が交互に入れ変わる点}を忘れないように注意する. 最後は展開した状態でもよいが,\ ここでは因数分解しておいた. さて,\ 記述式試験において瞬間部分積分の公式を無断使用してよいかは不明である. 個人的には,\ いきなり答えだけ書いて終えるというのは少し乱暴な気がする. 出題者は,\ 学生が普通の部分積分の公式を使いこなせるかの確認を意図していたはずだからである. そこで,\ 1回だけは普通に部分積分する別解のような書き方を紹介しておく. 「省略せずに部分積分を4回繰り返す過程を全て書け.」という採点官はいないと思う(たぶん). f^0=x⁴,\ g^0=e^x\ と考えて瞬間部分積分の公式を適用する. e^xは積分しても変わらないから,\ 最後にe^xをくくり出すことができる. 本問を一般化すると,\ {瞬間部分積分の公式の特殊な場合}が得られる. f^0=x³,\ g^0=2^x\ と考えて瞬間部分積分の公式を適用する. 特に必要はないが,\ 通分して2^xをくくり出しておいてみた f^0=x³,\ g^0=e^{-2x}\ と考えて瞬間部分積分の公式を適用する. 本問を一般化すると,\ {瞬間部分積分の公式の特殊な場合}が得られる. \ と考えて瞬間部分積分の公式を適用する. (多項式)(対数関数)型に対しては,\ 瞬間部分積分の公式が使えない. 次のように,\ 通常はfとgを約分しながら部分積分を繰り返すからである. \ しかし,\ {log x=tと置換すると(多項式)(指数関数)型になり,\ 瞬間部分積分の公式が使える.