偶関数と奇関数の定積分とその公式の証明

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∫(e^x+e^(-x))dx ∫cosx(sinx-x+1)dx ∫x/√(3-|x|)dx f(-x)=f(x) f(-x)=-f(x) すべてのxに対してf(-x)=f(x)が成り立つとする.$ $このとき,\ ∫-a}{a}f(x)dx=2∫0}{a}f(x)dx\ が成り立つことを示せ.$ $すべてのxに対してf(-x)=-f(x)が成り立つとする.$ $このとき,\ ∫-a}{a}f(x)dx=0\ が成り立つことを示せ.$ 偶関数・奇関数の定積分 }ここで,\ 下線部の積分において$x=-t}$とおくと 本問の結果は暗記しておき,\ 定積分計算において積極的に利用しなければならない.}{偶関数(y軸対称{奇関数(原点対称)\ 証明では,\ まず{積分区間を[-a,\ 0]と[0,\ a]に分割する.} 条件式\ f(-x)=f(x)を利用することを見越し,\ {x=-tと置換する.}\ 当然,\ 積分区間が変わる. 次に,\ f(-x)=f(x)\ および定積分の性質\ ∫a}{b}f(x)dx=-∫b}{a}f(x)dx\ を適用する. さらに,\ 定積分の結果は積分変数によらないから,\ 積分変数をtからxに変えることができる. これをに代入することで与式が証明される.\ も同様である. 一般に,\ {f(-x)=f(x)を満たす関数を偶関数},{f(-x)=-f(x)を満たす関数を奇関数}という. f(-x)=f(x)は,\ 図形的にはxにおけるy座標と-xにおけるy座標が等しいことを意味する. つまり,\ y軸対称である.\ 代表的な偶関数には,\ x²,\ x⁴などのx^{(偶数)}やcos xがある. f(-x)=-f(x)は,\ xにおけるy座標と-xにおけるy座標の正負が逆であることを意味する. つまり,\ 原点対称である.\ 代表的な奇関数には,\ x,\ x³などのx^{(奇数)}やsin x,\ tan xがある. 定積分は図形的には面積である.\ 図を見れば,\ 公式はほぼ自明であろう. y軸対称関数の[-a,\ a]の面積を求めたければ,\ [0,\ a]の面積を2倍すればよい. 原点対称関数の[-a,\ a]の面積は,\ [-a,\ 0]の面積と[0,\ a]の面積が打ち消し合って必ず0になる. まず,\ cos xが偶関数(y軸対称),\ x,\ sin xが奇関数(原点対称)であることは常識である. これに加え,\ 次の知識~を用いて関数の偶奇を判別できる. これらは,\ 偶関数・奇関数の定義を用いて容易に証明できる.\ 以下,\ h(x)=f(x)g(x)とする. f(x),\ g(x)が偶関数のとき,\ f(-x)=f(x),\ g(-x)=g(x)が成り立つ. h(-x)=f(-x)g(-x)=f(x)g(x)=h(x)  h(x)は偶関数 f(x)が偶関数,\ g(x)が奇関数のとき,\ f(-x)=f(x),\ g(-x)=-g(x)が成り立つ. h(-x)=f(-x)g(-x)=f(x){-g(x)}=-f(x)g(x)=-h(x)  h(x)は奇関数 f(x)が奇関数,\ g(x)が奇関数のとき,\ f(-x)=-f(x),\ g(-x)=-g(x)が成り立つ. h(-x)=f(-x)g(-x)={-f(x)}{-g(x)}=f(x)g(x)=h(x)  h(x)は偶関数 本問は,\ 展開すると3つの関数に分割できる. cos xは偶関数,\ sin xは奇関数であるから,\ その積cos xsin xは奇関数である(xcos xも同様). 奇関数の項は定積分すると0となるから無視してよい. 結局,\ 偶関数であるcos xを半分の区間で定積分して2倍すればよい. まともに計算するとそこそこ面倒な定積分だが,\ 偶関数・奇関数の性質を利用すると直ちに完了する. とにかく,\ {積分区間が対称な定積分では偶関数・奇関数を常に意識することが重要である. x^nやsin xなどの基本的な関数やその積でない場合,\ 定義に従って関数の偶奇性を調べる. 要は,{f(-x)を計算(xに-xを代入)してf(x)になれば偶関数,\ -f(x)になれば奇関数}である. 本問では,\ 一般に\ -X}=X}\ であることなども考慮し,\ 奇関数であることがわかる. では,\ 分割すると各関数が偶関数・奇関数となったが,\ 全体としては偶関数でも奇関数でもない. 逆に,\ {個々の関数が偶関数・奇関数でなくても,\ 全体として偶関数・奇関数になる場合もある.} 本問もその場合の1つであり,\ e^x+e^{-x}を1つの関数とみなして考えるのが正解である. 実は,\ 以下の事実があるので知っておくとよい. {g(x)が何であれ,\ h(x)=g(x)+g(-x)は偶関数}になる. {g(x)が何であれ,\ h(x)=g(x)-g(-x)は奇関数}になる. [ この事実を利用すると,\ 偶関数・奇関数はいくらでも作り出すことができる. ∫-1}{1}(e^x-e^{-x})dx=0\ となることも容易に予想できるだろう.