ベクトル方程式が表す点Pの軌跡(後編)

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平面上の$$ABCに対し,\ 動点Pが$PA}PB}=2PA}PC}$を満たすとき,\ 点Pが描く
軌跡を求めよ.
ベクトル方程式が表す点Pの軌跡(後編)点Pは,\ 点Aと辺BCを2:1に外分する点を直径とする円を描く.$
基本方針については前編で説明したので,\ 後編では簡単な解説に留める.
両辺に同じPA}があるので,\ 因数分解により内積0,\ つまり\ {(p-a)(p-b)=0}\ の形を目指す.
この式は,\ 始点を OとしたときのA(a)とB(b)を直径とする円を表す}のであった.
本解のように Aを始点とした場合,\ {P(p),\ A(0),\ B(b),\ C(c)}となることに注意する.
つまり,\ 0=AA}ということであるから,\ 直径の一端は点 Aである.
-b+2c={-b+2c}{2-1}とみなせるから,\ 直径のもう一端は辺{BC}を2:1に外分する点である.
{ベクトルの和・差の図形的意味は,無理矢理分点の位置ベクトルの公式の形にするとわかる}のである.
座標平面の問題として解くこともできるが,\ 式から図形的意味を読み取ることが難しくなる(別解).
やはりベクトルのまま扱うのが本質的ということであるが,\ 一応示しておいた.
なお,\ 内積の計算は,\ ab=(a₁,\ a₂)(b₁,\ b₂)=a₁b₁+a₂b₂であった.
中心の座標は,\ ({-b+2c}{2},\ d)=12({-b+2c}{2-1},\ {-10+2d}{2-1})}と変形できる.
下線部は,\ 2点{B(b,\ 0),\ C(c,\ d)}を2:1に外分する点( Dとおく)の座標である.
その12であるから,\ 円の中心の座標は,\ 原点 Aと Dの中点である.
また,\ \maru{ A}は(x,\ y)=(0,\ 0)のとき成り立つから原点 Aを通る.
以上から,\ 軌跡はAD}を直径とする円となる.
面上の異なる2点A,\ Bに対し,\ 動点Pが$AP=2BP$を満たすとき,\ 点Pが描く軌跡を求めよ.
{ベクトルの大きさは2乗して扱う}のが基本であった.
展開して整理した後因数分解すると,\ 直径の両端がわかる.
軌跡は大体円だろうと予想していれば,\ 因数分解できるはずという予想もたつ.
本問は座標平面の問題として解くことも難しくない.
中心は(43b,\ 0)となる.\ {A(0,\ 0),\ B(b,\ 0)}より,\ 中心は線分AB}を4:1に外分する点である.
半径は23bである.\ これは,\ 線分AB}の長さの23である.
AP:BP=2:1と変形すると,\ {Pは2点A,\ B}からの距離の比が2:1となる点とわかる.
一般に,\ 以下を知識としてもっておくと問題の見通しがよくなる.
2定点A,\ Bからの距離の比がm:n\ (m>0,\ n>0)である点の軌跡
m n 線分ABをm:nに内分する点と外分する点を直径の両端とする円
m=n 線分AB}の垂直二等分線
の円を{アポロニウスの円}という.\ アポロニウスの円は,\ 他の分野でもたびたび登場する.
まず,\ 条件の図形的意味を把握できるかが重要である.
OA}=a,\ OB}=b\ とすると,\ OA=5,\ OB=6,\ AB=7}の三角形}があると考えられる.
念のため確認しておくと,\ a-b}=OA}-OB=BA=7\ である.
右辺にpがないので,\ 与式は既に中心 C(c),\ 半径rの円のベクトル方程式p-c}=rの形である.
中心の位置ベクトルがa+bであることはすぐにわかるので,\ 後は半径を求めればよい.
やはり,\ ベクトルの大きさ2a-b}は2乗して扱う.\ このとき,\ 内積abの値が必要になる.
三角形の3辺から内積の値を求めるには,\ 余弦定理のベクトル表示を利用するのであった.
実際には,\ a-b}=7の両辺を2乗するだけである.