部分積分①:(多項式)×(多項式)型

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∫x(x-1)⁵dx ∫(2x-5)(2x+3)⁴dx ∫x(x-2)^6dx ∫(3x-4)²(x-2)⁵dx ∫f(x)g'(x)dx 次の積分を計算せよ. 部分積分法{公式  この部分積分の公式は,\ 積の微分\ ${f(x)g(x)}’=f'(x)g(x)+f(x)g'(x)\ $から導かれる. $f(x)g'(x)={f(x)g(x)}’-f'(x)g(x)\ と変形し,\ 両辺を積分するだけである.$ さて,\ 公式をもとに,\ どういう場合に部分積分が有効かを考える. まず,\ 被積分関数が2つの関数の積でなければ適用できない. また,\ 右辺2項目の積分が元の積分より簡単にならなければ意味がない. この2条件を満たす関数の型は限られ,\ 頻出するのは次の5パターンである. {(多項式)(多項式)型$ & ${x^m}(ax+b)^n$ ${(多項式)(指数関数)型$ & ${x^m}e^{nx,x^m}a^{nx}$ ${(多項式)(三角関数)型$ & ${x^m}sin nx},x^m}cos nx$ ${(多項式)(対数関数)型$ & ${x^m}(log x)^n$ ${(指数関数)(三角関数)型$   & ${e^{mxsin nx},e^{mxcos nx$ まずは,\ の$(多項式)(多項式)$型を扱う. ただし,\ この型は後に別解も含めてより詳しく扱う. ここでは,\ 本質的なことよりも部分積分の手順の確認に重点をおいて解説する. 部分積分は見るだけでは習得が難しいので,\ 必ず実際に自分で手を動かして確認してほしい. \ 部分積分の公式は,\ f(x)g'(x)の形(一方が微分形)でなければ適用できない. 実際には,\ {無理矢理微分形とみなす}ことになる.\ つまり,\ ここでまず一度積分することになる. 本問では,\ {(x-1)⁵\ を微分形とみなす}必要がある. なぜxではなく(x-1)⁵\ のほうを微分形とみなすかはこの後の流れを見ていけばわかる. ∫(x-1)⁵dx=16(x-1)^6+C\ (1次式置換型)\ より,\ (x-1)⁵={16(x-1)^6}’\ とできる. これは暗算で直ちに行い,\ ∫x{16(x-1)^6}’dx\ のように記述する. こうして一方を微分形とみなしてしまえば,\ 後は単に公式を適用するだけである. ただし,\ まぎらわしく適用時にミスしやすい公式なのでよく手順を確認しておく必要がある. まず,\ 最初の項はf(x)g(x)である.\ 本問では\ g(x)=16(x-1)^6\ である.\ (x-1)⁵\ ではない. よって,\ f(x)g(x)=x16(x-1)^6\ となる. 第2項は,\ -∫f'(x)g(x)dx\ である.\ 本問では\ f(x)=x\ より,\ f'(x)=1\ である. よって,\ -∫f'(x)g(x)dx=-∫1 16(x-1)^6dx\ となる. 以上の過程をまとめると となる. 特筆すべきは,\ {第2項でxを微分して1にする以外は式を変えなくてよいということである. 元はといえば,\ ここで式を変えなくて済むように一旦\ ∫x{16(x-1)^6}’dx\ と書き変えたのである. ∫x{16(x-1)^6}’dx\ と書いた結果,\ 逆に微分が必要だと誤解し,\ x(x-1)⁵\ とする{誤り}が多い. 繰り返すが,\ 式を変えなくて済むように\ ∫x{16(x-1)^6}’dx\ と書いたことを理解しておくこと. さて,\ {第2項では最初に微分形とみなさなかった関数を微分する}ことになる. 逆に言えば,\ {後で微分したい関数とは逆の関数を最初に微分形とみなせばよい. 本問の場合,\ 後でxを微分して1となってくれれば簡単な積分に帰着する. そこで,\ xとは逆の\ (x-1)⁵\ の方を微分形とみなしたわけである. {(多項式)(多項式)型では,\ 部分積分すると一方の次数は上がるが,\ 他方の次数は下がる.} これを利用し,\ {一方を1にしてしまえば簡単な積分に帰着する}というわけである. 後は普通に積分するだけである を答えとしてもよいが,\ 因数分解すると簡潔になる. \1次式置換型)を考える. これで\ (2x+3)⁴\ を微分形とみなせる.\ 1次の係数2の逆数12を掛け忘れないよう注意. ( 次数が低い\ (3x-4)²\ を後で微分したいので,\ 次数が高い\ (x-2)⁵\ を微分形とみなす. ただし,\ {(3x-4)²\ は2次式なので,\ 定数にするには部分積分を2回行う必要が生じる.} 手順は変わらないので,\ 一段階ずつ慎重に計算を行うだけである.