2直線\ $y=m_1x+n_1,\ \ y=m_2x+n_2}$\ (基本形)}の位置関係 平行条件 $m_1=m_2$ (一致する場合も含む) 垂直条件 $m_1m_2=-\,1$ {一致条件 $m_1=m_2\ \ かつ\ \ n_1=n_2$ 2直線\ $a_1x+b_1y+c_1=0,\ a_2x+b_2y+c_2=0}$\ (一般形)}の位置関係 {a_1b_2-a_2b_1=0$ (一致する場合も含む{a_1a_2+b_1b_2=0}{a_1:b_1:c_1=a_2:b_2:c_2$ 点(x_1,\ y_1)を通り,\ ax+by+c=0に平行・垂直な直線の方程式$ a(x-x_1)+b(y-y_1)=0$ b(x-x_1)-a(y-y_1)=0$2直線\ $a_1x+b_1y+c_1=0,\ a_2x+b_2y+c_2=0}$\ の位置関係と連立方程式の解}2直線が1点で交わる {ただ1組の解}a_1b_2-a_2b_1≠0}2直線が平行で一致しない 解なし2直線が一致する{無数の解がある
[1]}\ \ 平行条件はすぐにわかるので,\ 垂直条件m_1m_2=-\,1が重要}である.
\ \ 垂直条件の証明は本項の最後に示しておく.
\ \ b_1=0のとき,\ a_1≠0である(a_1=b_1=0のときa_1x+b_1y+c=0は直線を表さない).
\ \ このときx=-c_1}{a_1}\,より,\ a_1x+b_1y+c_1=0はy軸に平行な直線となる.
\ \ a_2x+b_2y+c_2=0もy軸に平行な直線となる条件はb_2=0である.
\ \ よって,\ 平行条件a_1b_2-a_2b_1=0はb_1=0のときにも成り立つ.\ b_2=0のときも同様である.
\ \ b_1=0のとき,\ a_2x+b_2y+c_2=0がy軸と垂直な直線となる条件はa_2=0である.
\ \ よって,\ 垂直条件a_1a_2+b_1b_2=0はb_1=0のときにも成り立つ.\ b_2=0のときも同様である.
\ \ 一般形における条件は,\ ベクトル学習者ならばベクトル的観点}でとらえるのが本質的である.
\ \ 直線ax+by+c=0の法線ベクトルは,\ →n=(a,\ b)であった.
\ \ a_1x+b_1y+c_1=0,\ a_2x+b_2y+c_2=0の法線ベクトルは →{n_1}=(a_1,\ b_1),\ →{n_2}=(a_2,\ b_2)}
\ \ 直線が平行ならば,\ 法線ベクトルも平行になるはずである.
\ \ よって,\ →{n_1}∥→{n_2}\ ⇔\ a_1:b_1=a_2:b_2}\ ⇔\ a_1b_2-b_1a_2=0}\ となる.
\ \ 直線が垂直ならば,\ 法線ベクトルも垂直になるはずである.
\ \ よって,\ →{n_1}⊥→{n_2}\ ⇔\ (a_1,\ b_1)・(a_2,\ b_2)=0}\ ⇔\ a_1a_2+b_1b_2=0}\ となる.
\ \ ところで,\ ベクトル分野では,\ 垂直条件を「\,a_1b_1+a_2b_2=0\,」と学習する.
\ \ 一見違って見えるのは,\ 初期設定が違うからである.
\ \ ベクトル分野の公式は,\ →a=(a_1,\ a_2),\ →b=(b_1,\ b_2)\ の垂直条件}である.
\ \ 公式を適用する際はこの2つを混同しないように注意}する必要がある.
\ \ 一致条件は,\ 「\,a_1=b_1\ かつ\ a_2=b_2\ かつ\ a_3=b_3\,」ではない}ことに注意してほしい.
\ \ 例えば,\ x+2y-3=0と2x+4y-6=0は同じ直線を表す.
[3]}\ \ 直線ax+by+c=0を原点(0,\ 0)を通るように平行移動すると ax+by=0}
\ \ これが点(x_1,\ y_1)を通るよう平行移動すると a(x-x_1)+b(y-y_1)=0}
\ \ また,\ 法線ベクトル(a,\ b)に垂直なベクトルは(b,\ -\,a)}である.\ \ (\,\because\ a・ b+b・(-\,a)=0\,)
\ \ よって,\ 原点を通りax+by=0に垂直な直線の方程式は bx-ay=0}
\ \ これが点(x_1,\ y_1)を通るよう平行移動すると b(x-x_1)-a(y-y_1)=0}
\ \ 基本形y=mx+nにして考えれば,\ [2]や[3]の公式は必要ないと感じるかもしれない.
\ \ [2]や[3]が特に役立つのは,\ 2x+ay+1=0のようにyの係数に文字を含む直線の場合である.
\ \ この場合,\ 安易にy=- 2ax-1a\,とはできず,\ a=0とa≠0で場合分けをする必要が生じる.
\ \ [2]や[3]を用いて一般形のまま求めると,\ 場合分けをする必要がなくなる.
[4]}\ \ 2直線の位置関係は3通りに分類される.
\ \ これに対応して,\ 連立1次方程式の解も3通りに分類できる.
点$(2,\ 1)$を通り,\ 直線$2x-y+6=0$に平行な直線と垂直な直線の方程式を求めよ.
公式a(x-x_1)+b(y-y_1)=0,\ b(x-x_1)-a(y-y_1)=0により,\ 基本形を経由せずに求められる.
しかし,\ この公式は利用機会が少なく,\ 使い慣れていない学生がほとんどである.
そもそも習っていないという学生も多いだろう.
その場合には,\ 基本形に直してから求めればよい.\ 場合分けする必要もない.
1点(x_1,\ y_1)を通る傾きmの直線の方程式は y-y_1=m(x-x_1)}
2直線\ $ax+2y+3=0,\ \ 3x+(a-1)y+a=0$\ が次の条件を満たすとき, 定数$a$の値
を求めよ.
(1)\ \ 2直線が垂直
(2)\ \ 2直線が平行(一致はしない)
(3)\ \ 2直線が一致この2直線は一致しないから,\ 条件を満たす.} 2直線は\ 3x+2y+3=0,\ \ 3x+2y+3=0$ この2直線は一致するから,\ 条件を満たさない.
yの係数に文字が含まれるため,\ 基本形を経由せずに求めることが推奨される.
垂直条件は,\ 公式a_1a_2+b_1b_2=0}を適用するだけである.
平行条件と一致条件は,\ まず平行条件(一致も含む)の公式a_1b_2-a_2b_1=0を適用する.}
その後,\ 求まった値を元の方程式に代入し,\ 一致するか否かを確認する.}
以下に基本形を経由して解答する場合の概要を示しておく.
垂直条件$m_1m_2=-\,1}$の証明{三平方の定理を利用\,]
まず, 2直線$y=m_1x+n_1,\ y=m_2x+n_2$の交点が原点となるように平行移動する.
次に,\ 2直線$y=m_1x,\ y=m_2x$上に点A$(1,\ m_1)$,\ B$(1,\ m_2)$}をとる.
$OA^2+OB^2=AB^2$\ より $(1+{m_1}^2)+(1+{m_2}^2)=(m_1-m_2)^2$
∴\ \ m_1m_2=-\,1}$ベクトル(内積0)を利用\,]
[1]\,と同様に,\ 2直線$y=m_1x,\ y=m_2x$上に点A$(1,\ m_1)$,\ B$(1,\ m_2)$}をとる.
$→OA}・→OB}=0}$\ より $(1,\ m_1)・(1,\ m_2)=0$
よって $1+m_1m_2=0$\ より $m_1m_2=-\,1}三角形の相似を利用\,]
[1]\,と同様に,\ 2直線$y=m_1x,\ y=m_2x$上に点A$(1,\ m_1)$,\ B$(1,\ m_2)$}をとる.
H(1,\ 0)とすると $△OAH}∽△BOH$ よって\ \ $OH:AH=BH:OH}$
∴\ \ 1:m_1=-\,m_2:1}\ より三角形の合同を利用\,]
$y=m_1x$上に点A$(1,\ m_1)$},\ $y=m_2x$上にB$(-\,m_1,\ 1)$}をとる.
H(1,\ 0),\ I(0,\ 1)とすると $△ OAH≡ △ OBI$ \
[1]\ \ 教科書や参考書では,\ 三平方の定理を利用していることが多い.
\ \ 直角三角形であることと三平方の定理が成り立つことは同値である.
\ \ 2点(x_1,\ y_1),\ (x_2,\ y_2)間の距離\ √{(x_2-x_1)^2+(y_2-y_1)^2}\ を利用して立式する.
[2]\ \ ベクトル既習者ならば,\ 垂直に強いベクトルの利用を考えるのは自然である.
\ \ →a=(a_1,\ a_2),\ →b=(b_1,\ b_2)が垂直をなす条件は,\ →a・→b=a_1b_1+a_2b_2=0である.
[3]\ \ ∠ AOH+∠ BOH=90°,\ \ ∠ AOH+∠ OAH=90° より,\ ∠ BOH=∠ OAH}
\ \ ∠ OHA=∠ OHB=90°\ より,\ 2組の角が等しいから,\ △ OAHと△ BOHは相似である.}
\ \ 点 Bの座標が(1,\ m_2)\,のとき,\ H(1,\ 0)より線分BH}の長さは0-m_2=-\,m_2\,となる.
[4]\ \ △OAH}を原点を中心として反時計回りに90° 回転させる.
\ \ このとき,\ 点 H(1,\ 0)は点 I(0,\ 1)に,\ 点 A(1,\ m_1)は点 B(-\,m_1,\ 1)に移る.
\ \ 原点 O(0,\ 0)と点 B(-\,m_1,\ 1)を通る直線の傾きは 1-0}{-\,m_1-0}=-1}{m_1}