重心と内心が一致する三角形は正三角形であることを示せ.
(2)\ \ 重心と外心が一致する三角形は正三角形であることを示せ.
(3)\ \ 重心と垂心が一致する三角形は正三角形であることを示せ.
(4)\ \ 内心と外心が一致する三角形は正三角形であることを示せ.
(5)\ \ 内心と垂心が一致する三角形は正三角形であることを示せ.
(6)\ \ 外心と垂心が一致する三角形は正三角形であることを示せ. \\
重心・内心・外心・垂心と正三角形 \\
正三角形ならば,\ 明らかに重心・内心・外心・垂心が一致する.
本項では,\ この逆を証明する.
つまり,\ 「重心・内心・外心・垂心のうち,\ 2つが一致する三角形は正三角形」を証明する. \\
(1)\ \ $△$ABCの重心と内心が点Pで一致するとする.
頂点Aから辺BCへの中線と$∠$Aの二等分線は2点A,\ Pを通るから,\ 同一直線}である.
直線APと辺BCの交点をDとする.
ADは中線であるから $BD=DC\ \ ・・・・・・\,①$
ADは$∠$Aの二等分線であるから $AB:AC=BD:DC\ \ ・・・・・・\,②$
①,\ ②より $AB=AC}$ 同様にして,\ $BA=BC}$も成立する.
$AB=BC=CA$より,\ $△}$ABCは正三角形}である.
正三角形であることの証明なので,\ AB=BC=CAまたは\ ∠ A=∠ B=∠ C}を示すことを目指す.
四心が以下のような点であることを用いてこれを示すことになる.
重心 「中線(頂点と対辺の中点を結ぶ線分)の交点」「中線を頂点から2:1に内分する点」}
内心 「角の二等分線の交点」「\,3辺から等距離の点」}
外心 「辺の垂直二等分線の交点」「\,3頂点から等距離の点」}
垂心 「垂線の交点」}
D}が中点であることと角の二等分線と辺の比の関係}を利用すると,\ 容易にAB=AC}が導かれる.
直線BPと辺ACの交点をEとして同様に考えると,\ BA=BCも導かれる.}
$△$ABCの重心と外心が点Pで一致するとし,\ 辺BCの中点をMとする.
頂点Aから辺BCへの中線と辺BCの垂直二等分線は,\ 2点M,\ Pを通る.}
よって,\ この2直線は同一直線}である.
$BM=MC$,\ \ $∠ AMB=∠ AMC=90°$,\ \ AM共通より $△ AMB≡△ AMC$
よって $AB=AC \ \ 同様にして,\ BA=BCも成立する.}$
$AB=BC=CA$より,\ $△}$ABCは正三角形}である.
(2),\ (3),\ (5),\ (6)は,\ 直角を利用して三角形の合同を証明するとよい.
2辺とその間の角がそれぞれ等しいから,\ △ AMBと△ AMC}は合同である.
\end{array\right]$ \\
(3)\ \ $△$ABCの重心と垂心が点Pで一致するとする.
頂点Aから辺BCへの中線と垂線は2点A,\ Pを通るから,\ 同一直線}である.
直線APと辺BCの交点をDとする.
ADは中線であるから $BD=DC\ \ ・・・・・・\,①$
ADは垂線であるから $∠ BDA=∠ CDA=90°\ \ ・・・・・・\,②$
①,\ ②,\ AD共通より \ \ $△ ADB≡△ ADC$ $[\,2辺とその間の角がそれぞれ等しい}\,]$}
よって $AB=AC 同様にして,\ BA=BCも成立する.}$
$AB=BC=CA$より,\ $△}$ABCは正三角形}である.
(4)\ \ $△$ABCの内心と外心が点Pで一致するとする.
点Pは外心であるから $∠ PBC=∠ PCB$ $(\,\because\ \ PB=PC}\,)$
点Pは内心であるから $∠ PBC=12∠ B,\ \ ∠ PCB=12∠ C$
よって $∠ B=∠ C}$ \ \ 同様にして,\ $∠ A=∠ B}$も成立する.
$∠ A=∠ B=∠ C$より,\ $△}$ABCは正三角形}である.
∠ Aの二等分線と辺BCの垂直二等分線に共通する点は,\ Pの1点のみである.}
この場合,\ 2直線AP,\ PM}が一致する保証がなく,\ 右図のようになる可能性が捨てきれない.
三角形の合同を示そうとすると回りくどくなるので,\ 角に着目して証明する}とよい.
外心は3頂点からの距離が等しい点であるから,\ △PBC}は二等辺三角形}である.
内心が∠ Bと∠ Cの二等分線の交点であることも利用すると,\ ∠ B=∠ Cを示すことができる.}
(5)\ \ $△$ABCの内心と垂心が点Pで一致するとする.
$∠$Aの二等分線と頂点Aから辺BCに下ろした垂線は2点A,\ Pを通る.}
よって,\ この2直線は同一直線}である.\ 直線APと辺BCの交点をDとする.
ADは$∠$Aの二等分線であるから $∠ BAD=∠ CAD\ \ ・・・・・・\,①$
ADは垂線であるから $∠ ADB=∠ ADC=90°\ ・・・・・・\,②$
①,\ ②,\ AD共通より \ \ $△ ADB≡△ ADC$ $[\,1辺とその両端の角がそれぞれ等しい}\,]$}
よって $AB=AC 同様にして,\ BA=BCも成立する.}$
$AB=BC=CA$より,\ $△}$ABCは正三角形}である.
(6)\ \ $△$ABCの外心と垂心が点Pで一致するとし,\ 辺BCの中点をMとする.
辺BCの垂直二等分線と頂点Aから辺BCに下ろした垂線は,\ 平行で1点Pを通る.}
よって,\ この2直線は同一直線}である.
$BM=MC$,\ \ $∠ AMB=∠ AMC=90°$,\ \ AM共通より $△ AMB≡△ AMC$
よって $AB=AC \ \ 同様にして,\ BA=BCも成立する.}$
$AB=BC=CA$より,\ $△}$ABCは正三角形}である.