直線と平面の垂直, 三垂線の定理の証明

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平面α上に直線$ℓ$,\ 直線$ℓ$上に点B,\ 直線$ℓ$上にない平面α上に点O, 平面α上にない点Aがあるとき,\ 以下が成り立つことを証明せよ.  (1)\ \ $AB⊥ℓ,\ OB⊥ℓ,\ OA⊥ OB\ \ ならば\ \ OA⊥α}$  (2)\ \ $OA⊥α,\ OB⊥ℓ\ \ ならば\ \ AB⊥ℓ}$  (3)\ \ $OA⊥α,\ AB⊥ℓ\ \ ならば\ \ OB⊥ℓ}$ \\[-10zh] 直線と平面の垂直,\ 三垂線の定理の証明 \\  (1)\,~\,(3)は三垂線の定理}と呼ばれる. 受験数学において最も存在価値のない定理である.  記述試験で無断使用してもよいが,\ 複雑で覚えにくい上,\ 汎用性が非常に低い.  ただし,\ その証明に用いられる考え方は,\ 空間の垂直に関連する問題で重要になる.  要するに,\ 定理を丸暗記しても意味がなく,\ 証明できるようにしておく必要がある.  証明の根幹は,\ $条件「(直線)⊥(直線)」と条件「(直線)⊥(平面)」の相互関係$にある.  [1]\ \ $直線Lと平面P上の交わる2直線の垂直を示すと,\ (直線L)⊥(平面P)がいえる.$}  [2]\ \ $(直線L)⊥(平面P)を示すと,\ (直線L)⊥(平面P上のすべての直線)がいえる.$   (1)\ \ $AB⊥ℓ,\ OB⊥ℓ$より $(平面OAB)⊥ℓ$ \ \ よって $OA}⊥ℓ}$ \ \ ゆえに $OA⊥ OB},\ OA⊥ℓ$より $OA⊥α$ \\[-5zh]   (2)\ \ $OA⊥α$より $OA⊥ℓ$ \ \ よって $OA⊥ℓ},\ OB⊥ℓ$より $(平面OAB)⊥ℓ$ \ \ ゆえに $AB⊥ℓ$ \\[-5zh]   (3)\ \ $OA⊥α$より $OA⊥ℓ$ \ \ よって $OA⊥ℓ},\ AB⊥ℓ$より $(平面OAB)⊥ℓ$ \ \ ゆえに $OB⊥ℓ$ \\[-5zh] 仮定から結論を導こうとするのではなく,\ 結論を導くには何を必要かを遡って考えていく}とよい. (1)\ \ 最終的に(直線OA)⊥(平面\,α)}\,を示したい. \ \ そのためには,\ 直線OA}と平面\,α\,上の交わる2直線OB},\ ℓ\,が垂直である}ことを示せばよい. \ \ 仮定よりOA⊥ OB}なので,\ 後はOA⊥ℓ\,}を示せばよい. \ \ しかし,\ OA}とℓ\,はねじれの位置にあるので,\ 直接(直線OA)⊥(直線ℓ)}\,を示すことができない. \ \ このような場合,\ 直線と直線の垂直条件を直線と平面の垂直条件に変換する. \ \ 直線OA}を含む平面OAB}と\,ℓ\,の垂直を示せば,\ OA⊥ℓ}\,が示されたことになる.} \ \ 理論的にはOA⊥α}\,を示してもOA⊥ℓ}\,が示されるが,\ それでは振り出しに戻ってしまう. \ \ (平面OAB})⊥ℓ\,を示すには,\ 平面OAB}上の交わる2直線と\,ℓ\,の垂直を示せばよい.} \ \ AB⊥ℓ,\ OB⊥ℓ}\,が仮定なので,\ これで結論から仮定まで遡れたことになる. \ \ 解答は以上の思考を逆に記述したものである. (2)\ \ AB⊥ℓ\,を示すには,\ (平面OAB)⊥ℓ\,を示せばよい.} \ \ 仮定よりOB⊥ℓ\,なので,\ 後はOA⊥ℓ\,を示せばよい.} \ \ ℓ\,は平面\,α\,上の直線なので,\ 仮定OA⊥α}\,より直ちにOA⊥ℓ}\,が導かれる. (3)\ \ OB⊥ℓ\,を示すには,\ (平面OAB)⊥ℓ\,を示せばよい.} \ \ 仮定よりAB⊥ℓ\,なので,\ 後はOA⊥ℓ\,を示せばよい.} \ \ ℓ\,は平面\,α\,上の直線なので,\ 仮定OA⊥α}\,より直ちにOA⊥ℓ}\,が導かれる. 立方体$ABCD-EFGH}$において,\ 対角線AGと平面BDEが垂直であることを示せ. \\   正方形の対角線は直交するから $BD⊥ AC$   $BC⊥ CG,\ DC⊥ CG$より $(平面BCD)⊥ CG$   よって $BD⊥ CG$   $BD⊥ AC},\ BD⊥ CG$より $BD⊥ (平面ACG)$   よって $BD⊥ AG$   同様に $BE⊥ AG}$   $BD⊥ AG,\ BE⊥ AG}$より $(平面BDE)⊥ AG$ \\[-14zh] (平面BDE)⊥ AGを示すには,\ 平面BDE上の交わる2直線BD,\ BEとAGの垂直を示せばよい.} ただし,\ 立方体の対称性を考慮すると,\ BD⊥ AGさえ示せばBE⊥ AGを新たに示す必要はない.} BD⊥ AGを示すには,\ 直線BDと平面ACG\,(直線AGを含む)の垂直を示せばよい.} $BD⊥ (平面ACG)を示すには,\ 直線BDと平面ACG上の交わる2直線AC,\ CGの垂直を示せばよい.}$} BD⊥ CGを示すには,\ 平面BCD\,(直線BDを含む)と直線CGの垂直を示せばよい.} $(平面BCD)⊥ CGを示すには,\ 平面BCD上の交わる2直線BC,\ DCと直線CGの垂直を示せばよい.}$}