三角形の3本の中線は必ず1点で交わる.\
重心は各中線を$2:1}$に内分する.
※\ 中線とは三角形の頂点と対辺の中点を結ぶ直線}のことである.
[1]\ \ AB,\ ACの中点をそれぞれN,\ Mとし,\ 中線BMとCNの交点をG}する(左図).
\ \ \ \ \ 中点連結定理より $NM∥ BC,\ \ NM=12BC}$
\ \ \ \ \ $△ GBC∽ △ GMN}$で,\ 相似比は$2:1$である.
\ \ \ \ \ よって $BG:GM=2:1$
\ \ [2]\ \ BC,\ CAの中点をそれぞれL,\ Mとし,\ 中線ALとBMの交点をG$’$}とする(右図).
\ \ \ \ [1]と同様に考えると $BG’:G’M=2:1$
\ \ [1],\ [2]\,より,\ G,\ G$’$はともに中線BMを$2:1$に内分する点であるから,\ 2点は一致する.
\ \ ゆえに,\ 3本の中線AL,\ BM,\ CNは1点Gで交わる.}
\ \ このとき,\ $AG:GL=BG:GM=CG:GN=2:1$である.
\ \ つまり,\ 点Gは各中線を$2:1}$に内分する.} \\
高校生にとって最も標準的と思われる証明を示した.
中線が1点で交わることと重心で2:1に内分されることを同時に示せるというメリットが大きい.
2組の2本の中線の交点が一致}すれば,\ 3直線が1点で交わるといえる.
中学数学で学習した中点連結定理を利用する.
底辺以外の2辺の中点を結んだ線分(中点連結)は,\ 底辺と平行で,\ 長さは底辺の半分}である.
チェバの定理の逆}より,\ 3直線AL,\ BM,\ CNは1点Gで交わる}
チェバの定理の逆とメネラウスの定理を学習済みならば,\ より自然な証明が可能になる.
平行四辺形ABCDの対角線の交点をO,\ 辺BCの中点をM,\ 線分AMと線分BDの交
点をNとする.\ $△$ANOの面積を$S$とするとき,\ 平行四辺形ABCDの面積を求めよ.
常に問題で『重心』というキーワードが明示されているとは限らない.
本問では自分でN}が中線の交点(重心)であることに気付かなければならない.
平行四辺形の対角線が中点で交わる}ことは中学校で学習済みである.
N}が重心であることに気付けば,\ 2:1の内分比(無断使用可)が利用できる.
その後は各面積を順にSで表していけばよい.}$△$ABCの辺BC,\ CA,\ ABの中点をそれぞれD,\ E,\ Fとする.
$△$ABCの重心と$△$DEFの重心が一致することを示せ. \\
\\[-.8zh]
\hline
\end{tabular} \\
$BD=DC,\ CE=EA}$\ より $ED∥ AF}$
$BD=DC,\ AF=FB}$\ より $DF∥ EA}$
2組の対辺が平行であるから,\ 四角形AFDEは平行四辺形}である.
ADとFEの交点をPとする.
平行四辺形の対角線はそれぞれの中点で交わる}から $FP=PE}$
よって,\ $△$ABCの中線ADはFEの中点を通る.}
同様にして,\ $△$ABCの中線BE,\ CFはそれぞれFE,\ DEの中点を通る.}
ゆえに,\ $△}$ABCの重心と$△}$DEFの重心は一致する.}
△ABC}の中線が△ DEF}の中線でもあることを示せばよい.\ 中点連結定理を利用すると簡潔に済む.
ちなみに,\ ベクトル学習後は工夫なしの単純計算だけで示せるようになる.