
以下はアポロニウスの円のGeoGebra作図です。スライダーを動かしてみてください。自動再生も可能です。
2点$\mathRM{A(-\,2,\ 0),\ B(4,\ 0)}からの距離の比が2:1である点の軌跡を求めよ.$ \\ {軌跡の基本(アポロニウスの円)}}}} \\\\[.5zh] \textbf{軌跡を含む座標平面上のすべての図形は,\ 数学的には「\textcolor{red}{条件を満たす点の集合}」である.} \\[.2zh] よって,\ 軌跡とはいっても所詮は点の集まりであり,\ 点に着目して考えれば済む. \\[.2zh] 実際には,\ \textbf{\textcolor{red}{求める軌跡上の点を$\bm{(x,\ y)}$とし,\ その点が満たす条件を立式}}すればよい. \\\\\\ [1]\ \ 2点A,\ Bからの距離の比が$2:1$である点を\textcolor{red}{P$(x,\ y)$}とおく. \\[1zh] ゆえに,\ 条件を満たす点Pは\maru1上にある. \\[2zh] [2]\ \ 逆に,\ $(x-6)^2+y^2=4^2$上の任意の点を\textcolor{red}{P$(x,\ y)$}とする. \\[1zh] {両辺が正ならば2乗をはずしてもよい}\,求める軌跡は\ \textbf{中心(6,\ 0),\ 半径4の円}\ である. 点(x,\ y)が満たす条件を立式すればよいことさえわかっていれば,\ やることは単純である. \\[.2zh] \mathRM{AP:BP=2:1}を変形していき,\ x,\ yの関係式を導けばよい. \\[1zh] 2点(x_1,\ y_1),\ (x_2,\ y_2)の距離は \bm{\ruizyoukon{(x_2-x_1)^2+(y_2-y_1)^2}} \\[.2zh] 根号が鬱陶しいので,\ あらかじめ2乗してから利用するとよい. \\[1zh] 整理すると円の一般形x^2+y^2+lx+my+n=0となり,\ この時点で軌跡が円であるとわかる. \\[.2zh] 軌跡の問題では,\ \bm{数式だけでなくどのような図形かも答える}必要がある. \\[.2zh] よって,\ 円の場合は\bm{基本形に変形}し,\ 中心と半径も合わせて答えることになる. \\[.2zh] あるいは,\ 「\,円(x-6)^2+y^2=4^2\,」のように答えることもできる. \\[.2zh] なお,\ 数\text{I\hspace{-.1em}I}の範囲では,\ 軌跡として現れる図形はほぼ直線か円か放物線である. \\[1zh] さて,\ \bm{軌跡は過不足なく答える}必要があり,\ このことが問題をかなり複雑化する. \\[.2zh] 例えば,\ (x-1)(x-2)=0の解をx=1と答えてはならないし,\ x=1,\ 2,\ 3と答えてもならない. \\[.2zh] x=1,\ 2という過不足のない解答でなければ正解とはいえないのと同様である. \\[1zh] つまり,\ 一般に図形\mathRM{F}が軌跡であるためには,\ 以下の2つをいずれも満たさなければならない. \\[.5zh] \maru1\ \ \bm{条件を満たす\underline{すべて}の点(x,\ y)が図形\mathRM{F}上にある(必要条件).} (図形\mathRM{F}が不足するとダメ) \\[.5zh] \maru2\ \ \bm{図形\mathRM{F}上の\underline{すべて}の点(x,\ y)は条件を満たす(十分条件).} (図形\mathRM{F}が過剰でもダメ) \\[.5zh] 要は,\ \bm{答える軌跡は必要十分条件でなければならない}ということである. \\[1zh] [1]で示したのは,\ \mathRM{AP:BP=2:1}\ \Longrightarrow\ (x-6)^2+y^2=4^2\ である. \\[.2zh] \bm{\mathRM{AP:BP=2:1}を満たすすべての点\mathRM{P}が(x-6)^2+y^2=4^2\,上にある}ことが示された. \\[.2zh] 一方で,\ (x-6)^2+y^2=4^2\,上のすべての点が\mathRM{AP:BP=2:1}を満たす保証はない. \\[.2zh] \mathRM{AP:BP=2:1}を満たす点があるのは,\ (x-6)^2+y^2=4^2\,の一部分にすぎないかもしれない. \\[.2zh] もし\bm{\mathRM{AP:BP=2:1}を満たさない部分がある場合は,\ その部分を除外して答えなければならない.} \\[1zh] [1]の逆,\ (x-6)^2+y^2=4^2\ \Longrightarrow\ \mathRM{AP:BP=2:1}\ が成り立つか否かを確認しているのが[2]である. \\[.2zh] (x-6)^2+y^2=4^2\,から[1]の過程を逆にたどっていくことで,\ \mathRM{AP:BP=2:1}が導かれる. \\[.2zh] [2]だけを見ると難しい変形だが,\ 実際には[1]を逆に記述したにすぎない. \\[.2zh] こうして,\ \bm{\mathRM{(x-6)^2+y^2=4^2\,上のすべての点がAP:BP=2:1を満たす}}ことが示される. \\[1zh] 一般に,\ 軌跡が以下のような図形になることを覚えておくとよい. \\[.5zh] \bm{\textcolor{blue}{2点\mathRM{A,\ B}からの距離の比がm:n\ (m>0,\ n>0)\ である点の軌跡}} \\[.5zh] \text{[\,I\,]}\ \ \bm{\textcolor{blue}{m\neqq n} \textcolor{red}{線分\mathRM{AB}をm:nに内分する点と外分する点を直径の両端とする円}} \\[.5zh] \text{[I\hspace{-.05em}I]}\ \ \bm{\textcolor{blue}{m=n} \textcolor{red}{線分\mathRM{AB}の垂直二等分線}} \\[.8zh] \text{[I]}の円を\bm{\textcolor{blue}{アポロニウスの円}}という. \\[1zh] 本問の場合,\ 点\mathRM{A}のx座標-2と点\mathRM{B}のy座標4の内分点と外分点を求めると \\[.2zh] 内分点\ \bunsuu{1\cdot(-\,2)+2\cdot4}{2+1}=2,\ \ 外分点\ \bunsuu{-\,1\cdot(-\,2)+2\cdot4}{2-1}=10 (y座標はいずれも0) \\[.8zh] よって,\ 点\mathRM{P}(x,\ y)は,\ \bm{2点(2,\ 0),\ (10,\ 0)を直径とする円}を描く.\ 中心(6,\ 0),\ 半径4となる. \\[1zh] ところで,\ 上で示した解答を面倒で冗長に感じた人も多いだろう. \\[.2zh] 多くの教科書や問題集にはこれを簡略化した解答が掲載されているので,\ 以下で示す. \betu\ \ 2点A,\ Bからの距離の比が$2:1$である点を\textcolor{red}{P$(x,\ y)$}とおく. \\[1zh] \phantom{ \betu}\ \ $\mathRM{\textcolor{magenta}{AP:BP=2:1}\ より AP=2BP}$ \\[1zh] ゆえに,\ 条件を満たす点Pは\maru1上にある. {この過程を逆にたどると$\mathRM{AP:BP=2:1}$となるから,\ \maru1上のすべての点は条件を満たす.}}} \\\\ \centerline{$\therefore$ 求める軌跡は\ \textbf{中心(6,\ 0),\ 半径4の円}\ である. } \\\\\\ \betu\ \ \textcolor{red}{座標平面上の点Pの座標を$(x,\ y)$}とする. 別解1は,\ 逆の確認を一言で済ませるという教科書や問題集に最も多い記述方法である. \\[.2zh] 実際の試験でもこれだけで十分である. \\[1zh] 本解や別解1では,\ 先に\ \mathRM{AP:BP=2:1}\ \Longrightarrow\ (x-6)^2+y^2=4^2\ を示すことを目指した. \\[.2zh] しかし,\ よくよく考えると,\ すべての変形において\,\Longleftarrow\,も成り立っている. \\[.2zh] \bm{同値記号\,\Longleftrightarrow\,で各変形が必要十分であることを明示する}と,\ 逆の確認自体必要なくなる(別解2). \\[1zh] 本解や別解1では,\ \mathRM{AP:BP=2:1}\,から(x-6)^2+y^2=4^2\,を示すため,\ \mathRM{2:1}の点を\text Pとした. \\[.2zh] 別解2のように逆も同時に考える場合,\ 点\text P(x,\ y)は単に座標平面上の点として考える. \\[1zh] \bm{A=B\ \Longleftrightarrow\ A^2=B^2\,は,\ A\geqq0,\ B\geqq0という前提条件の下で成り立つ.} \\[.2zh] よって,\ AP\geqq0,\ BP\geqq0であることを併記しておくべきである. 2点A$(1,\ 5)$,\ B$(6,\ 2)$を結ぶ線分の垂直二等分線の方程式を求めよ. \\ 垂直二等分線の方程式}}}{2点からの距離が等しい点(距離の比が$\bm{1:1}$)の軌跡}}として求められる. 座標平面上の点Pの座標を$(x,\ y)$とする. この分野の序盤で,\ \bm{「\mathRM{線分ABの中点を通り,\ 直線ABと垂直な直線}」}として求める方法を学習した. \\[.2zh] ここで示したように,\ 垂直二等分線の方程式は,\ 軌跡の考え方を用いて求めることもできる.