結局,\ 複素数の積・商は,\ 次のように拡大・縮小と回転の図形的意味をもつ. $ {wを掛ける zは{原点からの距離がr倍,\ {反時計回りに\ α\ 回転した点に移動. {wで割る zは{原点からの距離が1r倍,\ {時計回りに\ α\ 回転した点に移動. 当然,\ zwはwを原点からの距離1倍で反時計回りに60°回転させた点と考えることもできる. 複素数は,\ {自身が点を表すだけでなく,\ 相手を移動させることもできる}わけである. 例えば,\ 複素数\ {1}+{√3}=2({60°})\ は次のような役割を果たすことができる. 点(1,\ 3)を表す. 他の複素数zに足して,\ zを(1,\ 3)平行移動できる. [3]他の複素数zに掛けて,\ zを原点中心に2倍拡大して反時計回りに60° 回転できる. 特に,\ r=1の複素数は回転移動のみできる. また,\ iは90°回転に対応する複素数である.\ i={(90°)}\ だからである. }]$ 複素数平面上の点$β({5}+{3})$を,\ 点$α({3}+{1})$を中心として反時計回りに${π}{3}$回転移動し た点を表す複素数$z$を求めよ. [-.8zh] { 原点以外の点を中心とする回転移動 $α$を中心として$β$を反時計回りに$θ$回転移動させた点$γ$は 要するに,\ 原点中心の回転移動になるように一旦平行移動して求める. ${β}$を${-α}$平行移動する.\ $β$は$β-α$に,\ $α$は原点に移る. ${β-α}$を原点中心に反時計回りに${θ}$回転移動する. [3]${+α}$平行移動して元に戻す. 以上の3段階をまとめると上の式になるわけである. この方法により,\ あらゆる回転移動を自在に行えるようになる. $[l} β-αに{π}{3}の回転移動に対応する複素数を掛けた後,\ +α\ すればよい. 座標平面上に原点O,\ 点A(2,\ 3),\ 点Bがある.\ $$OABが直角二等辺三角形となるとき,\ 点Bの座標を求めよ. [-.8zh] 点Bを表す複素数を$z$とする. 本問に限らず,\ {正三角形や正方形等の対称性の高い図形は,\ 複素数平面上の回転を利用}して扱える. 本問は,\ {どの角が直角になるかで場合分け}する必要がある. ∠O}=90°のときは原点を中心にA}を90° 回転した点がB}である. よって,\ {(90°)}=iを掛けるだけで済む. ∠A}=90°のとき,\ どの点を中心に回転するかで2つの解法が考えられる. {直角となる角を中心に回転}する方法は計算が楽になることが多い. まず,\ (2,\ 3)が原点となるように(0,\ 0)を平行移動すると,\ 0-({2}+{3})\ である. これを90°回転した後,\ {2}+{3}\ を足して元に戻せばよい. γ=({θ})(β-α)+α\ を公式として覚えておき,\ 単純に代入するのが結局は速い. {原点を中心に回転}する方法はわかりやすい.\ 本問は計算も楽である. 点A}を{45°回転し,\ かつ原点からの距離を2倍}した点がB}である. よって,\ これに対応する複素数[{]{(45°)}\ を掛ければよい. ∠B}=90°のときも2つの解法を示した. 直角となる点B}を中心に回転させたいわけだが,\ その点B}がわからない. よって,\ 点B}を表す複素数をzとして公式\ γ=({θ})(β-α)+α\ にあてはめる. {Bを中心として90°回転すると原点が点Aに移動する}と考えたわけである. 原点中心に考えるならば,\ {距離は{1}{2}倍,\ 角度は45°回転}である.