絶対値のはずし方の基本

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絶対値  数直線上で原点Oから点${a}$までの距離を実数$a$の絶対値といい,\ ${ a$で表す.  $ \ 3}=3 & (3の原点からの距離=3) \ -3}=3  & (-3の原点からの距離=3) $ さて,\ 絶対値に関する問題は,\ とにかくまず絶対値をはずすのが原則である. 絶対値をみるだけで拒否反応を示す学生が多いが,\ 最低限の理解があれば容易にはずせる. 上の例を元に,\ 絶対値がどのようにはずせるかを考えてみてほしい. 絶対値の中身が正ならばそのまま,\ 負ならば正にしてはずすだけであるとわかる. 絶対値の意味は原点からの距離だからである.\ たったこれだけのことなのである. ところが,\ ここで1つ「どのように負を正にするか」という問題が生じる. $-3}$ならば,\ $-$をとれば正になるから,\ 単純に$-3}=3$とできた. では,\ $a}\ (a<0)$はどうすればよいのだろうか.\ $a$は負だが,\ 見かけ上$-$がついていない. 見かけ上$-$がついていないものを正にするには,\ 逆に$-$をつければよい.} つまり,\ $ a=-a$となる.\ $a<0$のとき$-a>0$より,\ これで正にしてはずしたことになる. 結局,\ ${「負ならば正にしてはずす}」}は,\ {「-をつけてはずす}」}$ということなのである. $-3}=3$は,\ 正確には\ $-3}=-}(-3)=3$\ だったのである. 以上から,\ 絶対値のはずし方が次のようにまとめられる. $ {a.07em}.07em}0\ のとき  { a=a & -{(中身が正ならばそのままはずす})} {a<0\ のとき  { a=-a & -{(中身が負ならば-をつけてはずす})} $}  これに従いさえすれば,\ ほとんどの絶対値の問題は恐るるに足らない. |} [-.8zh] 次の式の絶対値をはずせ. 37と8の大小比較が問題になる.\ このとき,\ 近似値で考えるのは危険である. 3732.64=7.92だが,\ 実際には7=2.64575で,\ 8との大小はかなり微妙である. このような場合に近似値を用いると,\ 記述式試験では減点される恐れがある. 37と8をどちらも{○}の形に変形して比較するのが正解である. 両方とも正の値ならば,\ (37)²=63,\ 8²=64\ のように2乗して比較することも可能である. 結局\ 37-8<0\ であるから,\ -をつけて絶対値をはずすことになる. π3.14より\ π-4<0,\ 3-π<0\ であるから,\ いずれの絶対値も-をつけてはずす. xの値が何であれ,\ x²0なのでx²+1は常に正である.\ 絶対値はそのままはずす. xの値によって中身が正にも負にもなりうるので,\ 場合分けして答える必要が生じる. このとき,\ x0とx<0に場合分けしてしまう間違いが多いので注意する. {絶対値の中身が0以上と0未満に場合分け}するのである. 2つの絶対値をそれぞれ場合分けしてはずさなければならない. さらにこの2つをまとめて考える必要がある. 丁寧にやるとこのようになるわけだが,\ 実際の試験でいちいちこれをやるのは厳しい. x}+x-1}+x-2}\ のように絶対値が3つ以上になると地獄絵図になる. {複数の絶対値がある場合,\ (絶対値の中身)=0となるxで数直線を分割する}のが簡潔である. (絶対値の中身)=0となるxが,\ 常に場合分けの境目になるはずだからである. 本問の場合,\ 1-x=0,\ x+3=0となるx=1,\ -3が場合分けの境目になる. ここで数直線を分割すると\ x<-3,\ -3 x1,\ 10より,\ 10,\ x+3=0+3=3>0である. よって,\ -3 x1のとき\ 1-x}=1-x,\ x+3}=x+3\ となる. さらに,\ x=-4とすると1-x=1-(-4)=5>0,\ x+3=-4+3=-1<0である. よって,\ x<-3のとき1-x}=1-x,\ x+3}=-x-3\ となる. このような思考で素早く完成させたのが上で示した解答である. ちなみに,\ {場合分けのときの=はどちらにつけてもよいし,\ 両方につけても間違いではない.} 実際,\ 1-x}=1-xまたは1-x}=x-1だが,\ x=1のときはどちらにしても0である. 当然ながら,\ どちらにも=をつけないのは間違いである.\ 1を境に場合分けする例を示す.