マイケルソン干渉計

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マイケルソン干渉計に波長λの単色光を入射させる。光は半透鏡Gで2つに分けられ、互いに垂直な方向に進んで平面鏡M₁、M₂で反射した後、再びGに戻って重なり合う。 GからM₁、M₂までの距離をそれぞれl₁、l₂(l₁≧l₂)とする。l₁=l₂のとき観測点では2つの光が強め合うものとする。空気の屈折率を1とする。 (1) 2つの光が強め合う条件と弱め合う条件をl₁、l₂、λ、0以上の整数mを用いて表せ。 (2) M₁を光軸に沿ってGから遠ざかる向きに距離xだけ移動させたところ、観測点において、強め合う状態から次の強め合う状態への変化がN回起こった。 x、N、λの間に成り立つ関係を求めよ。また、M₁を0.150 mm移動させたところ、この変化が500回起こった。光の波長λ[nm]を求めよ。 (3) M₁側の光路に、屈折率n、厚さdの透明な平行平面板を光に垂直に挿入する。 透明板を挿入する前と比べて光路差がどれだけ増加するかをn、dを用いて表せ。 このとき観測点における光の明暗がN周期変化したとして、Nをn、d、λを用いて表せ。波長600 nmの光を用い、厚さ0.120 mmの透明板を挿入したところ、200周期変化した。透明板の屈折率nを求めよ。 (4) l₁=l₂の状態から、M₂を微小角αだけ傾けると、M₁側から戻る光とM₂側から戻る光の進行方向は約2αだけ異なり、等間隔の直線状の干渉縞が現れる。 隣り合う明線の間隔をΔxとするとき、α≪1として、sin 2α≒2αの近似を用い、Δxをλ、αを用いて表せ。 λ=600 nmのとき、Δx=1.50 mmであった。α[rad]を求めよ。 (5) 波長がわずかに異なる2つの単色光λ₁、λ₂(λ₁≒λ₂)を同時に入射させる。 2つの光路の光路差をδとするとき、波長λ₁、λ₂の光について、光路差δによって生じる位相差φ₁、φ₂を求めよ。また、2つの干渉縞の位相のずれ Δφ=|φ₁-φ₂| をδ、λ₁、λ₂を用いて表せ。 M₁をゆっくり移動させると、2つの干渉縞が重なるため、干渉縞の鮮明さが周期的に大きくなったり小さくなったりする。鮮明さが極大となるM₁の位置のうち、隣り合う位置の間隔をΔlとする。λ₁、λ₂を用いてΔlを表せ。 さらに、λ₁≒λ₂≒λとして、2つの波長の差Δλ=|λ₁-λ₂|をλ、Δlを用いて近似的に表せ。 λ=600 nm、Δl=0.300 mmのとき、Δλ[nm]を求めよ。 【解答】 (1) M₁側の光はGとM₁の間を往復するから光路長は2l₁、M₂側では2l₂である。 よって、l₁≧l₂より、2つの光の光路差は 2(l₁-l₂) である。 l₁=l₂のとき2つの光は強め合うから、 強め合う条件 2(l₁-l₂)=mλ (m=0, 1, 2, …) 弱め合う条件 2(l₁-l₂)=(m+1/2)λ (m=0, 1, 2, …) [補足] 2つの光はそれぞれM₁、M₂で反射し、さらに半透鏡Gで反射または透過しているため、厳密には、強め合い・弱め合いの条件を考える際に、これらによる位相変化も考慮する必要がある。 しかし本問では、l₁=l₂のとき2つの光が強め合うという条件が与えられている。 これは、光路差が0のとき、反射・透過によって生じる位相差まで含めた2つの光の位相差が2πの整数倍になっていることを意味している。 このように、反射・透過による個々の位相変化が明記されていない場合でも、強め合う基準状態(本問ではl₁=l₂)が与えられていれば、そこからの光路差の変化で新たに生じる位相差のみ考えればよい。 (2) M₁を距離x遠ざけると、光はM₁までを往復するため、光路差は2x増加する。 光路差がλ増加するごとに、観測点では明暗が1周期変化する。 よって、明暗がN周期変化するとき、 2x=Nλ よって、 x=Nλ/2 また、 λ=2x/N =(2×0.150×10⁻³)/500 =6.00×10⁻⁷ m =600 nm [補足] 強め合う条件は、 2(l₁-l₂)=0, λ, 2λ, 3λ, … である。 弱め合う条件は、 2(l₁-l₂)=λ/2, 3λ/2, 5λ/2, … である。 よって、光路差2(l₁-l₂)がλ増えるごとに、観測点では明暗が1周期変化する。 (3) 透明板を挿入すると、厚さdの部分の光路長はdからndに増加する。 光は透明板を往復して2回通過するから、光路差の増加量は 2(nd-d)=2(n-1)d である。 光路差がλ増加するごとに、観測点では明暗が1周期変化する。 よって、明暗がN周期変化するとき、 2(n-1)d=Nλ より、 N=2(n-1)d/λ また、 n=1+Nλ/(2d) =1+(200×600×10⁻⁹)/(2×0.120×10⁻³) =1.50 (4) 検出器上の隣り合う明線の位置をP、Qとすると、 PQ=Δx である。 Qを通るM₂側の光線にPから垂線PHを下ろすと、 ∠QPH=2α であるから、直角三角形PHQより、 HQ=Δx sin 2α 隣り合う明線では光路差がλだけ異なるから、 Δx sin 2α=λ sin 2α≒2αより、 Δx=λ/(sin 2α)≒λ/(2α) よって、 α≒λ/(2Δx) =(600×10⁻⁹)/(2×1.50×10⁻³) =2.00×10⁻⁴ rad [補足] M₂をα傾けると、その法線もα傾く。 反射角は入射角に等しいから、M₂からの反射光の進行方向は、傾ける前に比べて2αだけ変化する。 よって、M₁側とM₂側から戻る2つの光の進行方向は2αだけ異なり、進行方向がわずかに異なる2つの平面波の干渉として考えることができる。 M₁で反射してP、Qに届く光は、検出器にほぼ垂直に届くため、P、Qに届く2本の光の光路長の差はほぼ0である。 一方、M₂で反射してP、Qに届く光では、Qに届く光の方がPに届く光よりも、 QH=Δx sin 2α だけ光路長が長い。 (5) 光路差δに対応する波長λ₁、λ₂の光の位相差はそれぞれ、 φ₁=2πδ/λ₁ φ₂=2πδ/λ₂ よって、2つの干渉縞の位相のずれは、 Δφ=|φ₁-φ₂| =2πδ|1/λ₁-1/λ₂| 鮮明さが極大となる隣り合う状態では、この位相のずれが2πだけ変化する。 また、M₁をΔl移動させると光路差は2Δlだけ変化するから、 2π・2Δl|1/λ₁-1/λ₂|=2π したがって、 Δl=1/{2|1/λ₁-1/λ₂|} =λ₁λ₂/{2|λ₁-λ₂|} λ₁≒λ₂≒λ、Δλ=|λ₁-λ₂|より、 Δl≒λ²/(2Δλ) したがって、 Δλ≒λ²/(2Δl) 数値を代入すると、 Δλ≒(600×10⁻⁹)²/(2×0.300×10⁻³) =6.00×10⁻¹⁰ m =0.600 nm [補足] 光の干渉の明暗を直接決めるのは、2つの光が重なるときの位相差である。 通常は位相差を光路差が波長の何倍かで表して考えるが、本問のように位相差を直接扱うこともある。 光路差が1波長λ増えることは、位相差では2π増えることに対応する。 光路差δに対応する位相差をφとすると、 λ:2π=δ:φ より、 φ=2πδ/λ 例えば、光路差が0, λ, 2λ, …のとき、位相差は0, 2π, 4π, …となり、いずれも強め合う。 よって、隣り合う強め合う状態では、光路差はλ、位相差は2πだけ異なる。

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