
半径R=1.00 mmの球形の雨滴に、太陽光が互いに平行な光線として入射する場合を考える。空気の絶対屈折率を1、水の絶対屈折率をn=4/3とする。雨滴の中心をOとし、入射光線をそのまま直進させた直線とOとの最短距離をb(衝突径数)とする。
光線は雨滴表面で屈折して雨滴内に入り、雨滴内で1回反射した後、再び屈折して空気中へ出るものとする。最初に雨滴へ入射するときの入射角をi、屈折角をrとする。
また、観測者から見て太陽のある方向と正反対にあたる方向を反太陽方向とし、反太陽方向と観測者に届く光とのなす角をθとする。
(1) 衝突径数bをR、iを用いて表せ。
(2) sin rをb、R、nを用いて表せ。
(3) 反太陽方向と観測者に届く光とのなす角θをi、rを用いて表せ。
(4) 衝突径数bを変化させたときのbとθの関係は下図のようになった。グラフから、θが最大となるときのbとθをそれぞれ読み取れ。
(5) グラフから、θ=40°となる衝突径数bをすべて読み取れ。また、この結果から、観測者から見て40°の方向に届く光線は、雨滴への異なる入射位置から何本生じるか。
(6) 一次の虹は、どの角度θの方向に最も明るく見えるか。(4)の結果を用いて答えよ。
(7) (4)のグラフでは、θが最大となる付近でbが変化してもθはあまり変化しない。このことに着目して、一次の虹がその方向で明るく見える理由を説明せよ。
(8) 可視光では、波長が長いほど水の屈折率は小さい。
(1)、(2)、(3)の結果から、一次の虹では、赤色と紫色のどちらが外側に見えるか。
虹の原理
雨滴への入射点をA、雨滴内での反射点をB、出射点をC、Oから入射光の直線に下ろした垂線の足をH、入射光と出射光の延長線の交点をXとする。
(1) 直角三角形OAHに着目すると
sin i = OH/OA = b/R
∴ b=R sin i
入射角iは、入射光と境界面(雨滴の円の接線)に対する法線とのなす角である。
この法線は中心Oと入射点Aを通る直線であり、入射角iの対頂角であるから、∠OAH=iである。
(2) 空気から雨滴へ入射するときの屈折の法則より
sin i = n sin r
(1)よりsin i=b/Rであるから
sin r = b/(nR)
(3) △OAB、△OBCは二等辺三角形であるから
∠AOB=∠BOC=180°-2r
四角形AOCXの内角の和より
∠OAX+∠AOB+∠BOC+∠OCX+∠AXC
= i+(180°-2r)+(180°-2r)+i+θ
= 360°
よって
θ=4r-2i
入射光と出射光を交わるまで延長し、そのなす角を求めるのが初等幾何的で簡潔である。
この角は、出射光と反太陽方向のなす角θに等しい。
雨滴内の光路は直線OBに関して対称であり、入射・出射時の屈折も対称である。
よって、交点Xは直線OB上にあり、△OAXと△OCXは合同である。
(4) θが最大となるのはb≈0.86 mmのときであり、その最大値は
θ≈42°
(5) グラフとθ=40°の水平線との交点を読み取ると
b≈0.76 mm、0.93 mm
よって、異なる入射位置からθ=40°の方向へ進む光線は2本。
(6) (4)より、θの最大値は約42°であるから、一次の虹が最も明るく見える方向は、
反太陽方向からθ≈42°の方向
である。
(7) θが最大となる付近では、衝突径数bが変化してもθはほとんど変化しない。
そのため、雨滴のさまざまな位置に入射した多数の光がほぼ同じ方向へ出射する。
よって、約42°の方向に光が集中するため、その方向が明るく見えて虹となる。
(8) 赤色光は紫色光より波長が長いから、赤色光の方が水の屈折率nは小さい。
(2)の
sin r = b/(nR)
より、同じ衝突径数bでは赤色光の方が屈折角rは大きくなる。
(1)より同じbではiも同じなので、(3)の
θ=4r-2i
より、同じbに対して常に赤色光の方がθは大きい。
よって、θの最大値も赤色光の方が大きい。
反太陽方向からより離れた位置に現れるから、赤色光が外側に見える。
虹は、太陽光が雨粒の中で屈折・反射・分散を経て生じる自然のスペクトルである。
太陽光が地上面に平行な場合、赤色光は仰角θr=42.4°、紫色光は仰角θp=40.6°で最も強く現れる。
したがって、地上面から見上げる角度は赤色光の方が大きく、赤が外側、紫が内側に見える。
同じ1個の雨粒から出た赤色光と紫色光を同じ観測者が同時に見ているわけではない点が重要である。
ある観測者が見る赤色光と紫色光の雨粒は別々であり、異なる位置の雨粒から届く光が重なり虹となる。
