半径1,\ 高さ2の直円柱を底面の直径を含み,\ 底面と45$°$の角をなす平面で切断すると き,\ 平面より下方にある立体の体積$V$を求めよ. $上図のように座標軸をとり,\ 立体を平面y=tで切断}する.$ $さらに,\ 切り口の三角形の頂点を{P,\ Q,\ R}とし,\ 面積をS(t)とする.$ {面積(正確には微小体積)を無限に足し合わせる(積分する)}のが体積の基本的な考え方である. よって,\ すべての体積の問題は,\ まずその{立体の断面積を求める}ところから始めることになる. この「断面積→積分」という処理をするためには,\ 座標軸が設定されていなければならない. もし問題で座標軸が設定されていない場合,\ 自分で適切にとる必要がある. 本問では,\ 対称性を考慮すると座標軸のとり方は図の1択だろう. さて,\ 断面積は{x軸,\ y軸,\ z軸のいずれかに垂直な平面で切断}して求める. このとき,\ どの軸に垂直な平面で切断するかが体積問題の最大のポイントである. 難度や計算量が大きく異なり,\ 最悪求められない可能性もある. {単純な図形であり,\ かつ途中で切り口が変化しない}ような平面を選択しよう. なす角45°の本問では,\ {y軸に垂直な平面}(xz平面と平行)で切ると{直角二等辺三角形}ができる. 直角二等辺三角形であるから,\ 円柱の底面上にある1辺{PQ}の長さを求めればS(t)がわかる. y=tで切断したときの{PQ}の長さは,\ 真上から見た図(上右図)を考慮すると求まる. {OP}= t\ より,\ {OPQ}に三平方の定理を適用すると\ {PQ}={1- t²}={1-t²}\ となる. 後は面積S(t)を求め,\ さらに区間[-1,\ 1]で積分すればよい. 1-t²が偶関数であることを考慮すると区間[0,\ 1]の2倍になる. 図形的な対称性を考慮しても当然であろう. }]$ [${z軸に垂直な平面で切断(解答としては面倒だが演習には最適)$] $立体を平面z=tで切断}し,\ 点(0,\ 0,\ t)を{P}とする.$ $また,\ {切断面の線分の両端をQ,\ R,\ 線分QRの中点をM,\ ∠ QPM=θ\ とする.}$ z軸に垂直な平面で切断すると,\ 切り口が{円の一部}となる. 切り口が直線でない場合は難易度が一気に上がるので通常はこの方針を選択すべきではない. しかし,\ 難しい問題では最も簡単な切り口が直線図形でない場合もありうる. そのような場合に備えて,\ z軸に垂直な平面で切断する方針で演習しておくことも重要である. この方針で最も厄介なのは,\ 断面積がtで表せないことである. 自分で{中心角θを設定}して,\ 扇形の面積から直角三角形{PQM}の面積を引くことになる. なお,\ 半径r,\ 中心角θである扇形の面積は\ 12r²θ\ である. 積分計算に備え,\ 2倍角の公式\ sin2θ=2sinθcosθ\ を逆に適用しておく. さらに,\ OPM}が直角二等辺三角形}であることに着目して{tとθの関係}を導く. 後は{断面積S(θ)を0 t1で積分}すれば体積が求まる. しかし,\ tで積分しようにもS(θ)をtで表すことができない. そこで逆に積分変数をtからθに変換({dt→dθ})する.\ 要は{置換積分}である. dθにするのと同時に{積分区間が変化}するので注意. 積分計算のよい練習にもなる.θsinθは{部分積分}する. sin2θsinθは積和の公式\ sinαsinβ=-12{cos(α+β)-cos(α-β)}\ を適用する. y軸と垂直な平面,\ z軸と垂直な平面で切断ときたらx軸と垂直な平面で切断した場合が気になる. これは本問ではなく,\ 必然的にx軸と垂直な平面で切断することになる次の問題で確認する. 半径1,\ 高さ2の直円柱を$32$の高さから底面に向かって底面と$45°$の角をなす平面 で切断するとき,\ 平面より下方にある立体の体積$V$を求めよ. $上図のように座標軸をとり,\ 円柱の切断面とx軸との交点を{A}とする.$ $立体を平面x=tで切断}し,\ 切り口の長方形の頂点を{P,\ Q,\ R,\ S},\ 面積をS(t)とする.$ $また,\ {線分PQの中点をM,\ 線分RSの中点をN\ とする.}$ 右図の色塗り部分の面積と等しい.$ [-4zh] 一見すると前問と同様にy軸に垂直な平面で切断する方針が速いように思える. しかし,\ 本問でこの方針をとると場合分けが必要になる. tの値によっては{切り口が直角二等辺三角形でなくなる}からである(下図). 結局,\ x軸に垂直な平面で切断する方針が最も楽である. 切り口の{長方形の底辺は{OPM}に三平方の定理を適用}して求める. また,\ {高さは{AMN}が直角二等辺三角形}であることからわかる. ∫t{1-t²}dt\ は,\ (1-t²)’=2tより{微分形接触型}とみて定積分する. 定積分\ ∫{a²-x²}dx\ は円の一部とみて求める型である.