曲線xa+yb=1の面積とベータ関数B(p,q)

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m,\ nを自然数とする.\ 第1象限内の曲線\ x^{1m}+y^{1n}=1\ とx軸,\ y軸で囲まれる部分の$ $面積をA(m,\ n)とする.$  $A(m,\ 1)を求めよ.$  $A(m,\ n+1)={n+1}{m+1}A(m+1,\ n)であることを示せ.$  $A(m,\ n)を求めよ.$                    [東京工業大] 曲線${x^{a}+y^{b}=1}$の面積とベータ関数 y=(1-x^{1m})^nは単調に減少}する.$  $また,\ 2点(0,\ 1),\ (1,\ 0)を通る}ことを考慮すると,\ 求める面積は下図となる.$ まずは求める面積を確認するために陽関数表示に変形する. 上図はm=n=2の場合だが,\ 単調減少と通る2点がおさえてあればそれ以上の正確さは必要ない. 後とは単純にn=1の場合の面積を求めるだけである. 多くの積分漸化式のパターンと同様に{部分積分}する方法が考えられる. しかし,\ y=(1-x^{1m})^n\ のまま部分積分しようとしてもうまくいかない. x^{1m}=t\ と{置換}することがポイントである.\ すると,\ 後で述べるように{ベータ関数もどき}になる. あらかじめA(m,\ n)を置換しておく.\ 後の部分積分に備え,\ mをインテグラルの外には出さない. を元にA(m,\ n+1)を部分積分で計算し,\ A(m+1,\ n)を整理したものと比較すればよい. の漸化式を繰り返し適用すると,\ mが1ずつ増えていく代わりにnが1ずつ減っていく. これをn=1になるまで繰り返せば,\ のA(m,\ 1)を利用できる. A(m,\ 1)={1}{m+1}\ であるから,\ A(m+n-1,\ 1)={1}{m+n}\ である. m,\ nは自然数であるから,\ 次のように階乗でまとめておく.  本問の関連事項・背景を以下に示す代表的な曲線\ x^{a}+y^{b}=1\ のグラフ}$ 以上の4つのグラフは常識としておこう. 絶対値をつけることでx→-x,y→-y\ としても式が変わらなくなる. 図形的にはx軸とy軸に関して対称なグラフになる. 左下のグラフ\ x+ y=1\が{放物線の一部}であることも重要である. 図ではわかりにくいが,\ アステロイドよりも放物線のほうがへこみが大きい. 大まかには,\ 指数が大きくなるほどふくらみ,\ 小さくなるほどへこむ傾向がある. ベータ関数   ベータ関数とは,\ $B}(p,\ q)=∫x^{p-1}(1-x)^{q-1}dx}$\ のことである(積分漸化式で学習済み).   特に$m,\ nが自然数のとき,\ B}(m,\ n)={(m-1)!(n-1)!}{(m+n-1)!$\ と表すことができる.   さて,\ 置換後の$A(m,\ n)=m∫(1-t)^nt^{m-1}dt}$\ はベータ関数と酷似している.   つまり,\ 定積分の部分は,\ ベータ関数において\ $p=m,\ q=n+1}$\ としたものである.   よって,\ $A(m,\ n)=mB}(m,\ n+1)}$\ と表せることがわかる. \   以上のようにして,\ ベータ関数を利用して$A(m,\ n)$を求めることができる.   $x^{1m}=t$\ と置換したのには,\ このような背景があったわけである.  ${組合せ記号\ C {m+n}{n}\ の実数への一般化}$   $場合の数分野$で学習した組合せ記号Cは自然数$m,\ n$に対して定義されている.   $C {m+n}{n}={(m+n)!}{m! n!\ であることを考慮すると,C {m+n}{n}={1}{A(m,\ n)\ と表せる.$   $さて,\ 本問ではm,\ nが自然数の場合の面積A(m,\ n)を求めた.$   $しかし,\ 同様にして実数p,\ qに対する\ x^{1p}+y^{1q}=1\ の面積}を考えることができる.$   $この面積をA(p,\ q)}と表すことにする.$   $このとき,\ 実数p,\ qに対して\ {Cp+q}{q}={1}{A(p,\ q)}\ と定義するのが合理的である.$   $このようにして,\ 組合せ記号C}が実数にまで拡張できる.$   $例として\ p=q=12}\ の場合を考える.$   $円\ x²+y²=1\ (第1象限)の面積}となるから,\   $これは,\ C1}{1/2}={1}{A(12,\ 12)}={4}{π\ であることを意味している.$   $もはや,\ 1個から12個を選ぶ組合せが{4}{π}通りのような場合の数的な意味合いはない.$