
 整数$m,\ n$について,\ $m²+n²$が奇数ならば, $m$が偶数または$n$が偶数であること  を示せ.  整数$n$について,\ $n²$が3の倍数ならば,\ $n$が3の倍数であることを示せ.  正の実数$x$が無理数ならば,\ $ x$も無理数であることを示せ.  実数$x,\ y$について,\ $x,\ y$がともに無理数ならば,\ $x+y$と$x-y$の少なくとも一方  が無理数であることを示せ.  {対偶を利用した証明  元の命題の真偽と,\ その対偶の真偽は一致するのであった.  よって,\ 命題${p q}$の証明問題では,\ 代わりに対偶命題${ q p}$を証明してもよい.  特に,\ 元の命題の結論${q}$に「~でない」「または」「少なくとも1つの~」があるとき役立つ.  対偶をとると,\ 「~である」「かつ」「すべての~」となって扱いやすくなる.  対偶「$m$が奇数かつ$n$が奇数ならば,\ $m²+n²$が偶数」}を証明する.  { }$m=2k+1,\ n=2l+1\ (k,\ l:整数)}$とおける.  { }$m²+n²=(2k+1)²+(2l+1)²=(4k²+4k+1)+(4l²+4l+1)$  { }${m²+n²}=2(2k²+2k+2l²+2l+1)}$  { }$k,\ l$は整数より$2k²+2k+2l²+2l+1$は整数であるから,\ $m²+n²$は偶数}である.  { }よって,\ 対偶が真であるから,\ 元の命題も真である.}   $[l} 「mが偶数またはnが偶数」は,\ (m,\ n)=(偶数,\ 偶数),\ (偶数,\ 奇数),\ (奇数,\ 偶数)が考えられる.  直接証明しようとすると,\ この3つの場合をすべて考慮する必要があり,\ 面倒である.  そこで,\ 対偶を証明する.\ (m,\ n)=(奇数,\ 奇数)の場合のみの考慮で済む.  記述式試験では,\ {最初に対偶を証明することを宣言しておく}ことが重要である.  仮に証明を完遂できなかったとしても,\ 方針が正しければ採点の対象になる.  整数に関する命題の証明では,\ まずは{倍数や余りの条件を数式(文字式)で表現する}必要がある.  偶数(2の倍数)ならば2k\ (k:整数),\ 奇数(2で割ると1余る数)ならば2k+1\ (k:整数)と表せる.  奇数は2k-1や2k+3などと表すこともできるが,\ 計算が複雑になるだけである.  mとnが同じ奇数であるとは限らないので,\ m=2k+1,\ n=2k+1と設定してはならない.  {2(整数)の形}に変形できれば,\ m²+n²が偶数であることが示されたことになる.  最終目標を明確に意識した上で式変形していくことが重要である.  最後,\ {2k²+2k+2l²+2l+1が整数であることをしっかり断る}必要がある.  2( )の形になっていても,\ ( )内が整数でなければ\ 213\ などとなる可能性が残るからである. }]$  対偶「$n$が3の倍数でないならば,\ $n²$が3の倍数でない」}を証明する.  { }$n=3k+1,\ 3k+2\ (k:整数)}$とおける.  { }$n=3k+1$のとき $n²=(3k+1)²=9k²+6k+1=3(3k²+2k)+1}$  { }$n=3k+2$のとき $n²=(3k+2)²=9k²+12k+4=3(3k²+4k+1)+1}$  { }$k$は整数より$3k²+2k,\ 3k²+4k+1$は整数であるから,\ $n²$は3の倍数ではない.  { }よって,\ 対偶が真であるから,\ 元の命題も真である.}   $[l} 展開より因数分解が難しいように,\ 数学では計算・思考が容易な向きと困難な向きがある.  本問の場合,\ n²からnが困難な向き,\ nからn²が容易な向きである.  本問は,\ 「でない」になってしまったとしても,\ {対偶をとって思考の方向を逆にする}のが有効である.  nが3の倍数でない場合とは,\ {nが3で割ると1余る数または3で割ると2余る数}の場合である.  {3(整数)+(余り)の形}に変形できれば,\ n²が3の倍数でないことが示されたことになる.  3で割った余りは0,\ 1,\ 2のいずれかであるから,\ 3( )+4ではなく4=3+1とみて3でくくる. {対偶「$ x$が有理数ならば,\ $x$が有理数」}を証明する.  { }$ x= pq$\ ($p,\ q$:整数,\ $q0$)}とおくと $x={p²}{q²}=(有理数)}$  { }よって,\ 対偶が真であるから,\ 元の命題も真である.}   $[l} {無理数の定義は「有理数で}な}い}」}であるから,\ 対偶をとることが有効である.  有理数とは,\ {整数}{整数}\ (分母0)で表せる数のことであった.   x\ が有理数であるという条件を文字で表現してxを求めると,\ xも\ {整数}{整数}\ で表せることがわかる. }]$  .95}{対偶「$x+y$と$x-y$がともに有理数ならば,\ $x,\ y$の少なくとも一方が有理数」}を証明する.}  { }$x+y= pq,x-y= rs\ (p,\ q,\ r,\ s:整数,\ q0,\ s0)}$とおくと  { } $x={ps+qr}{2qs}=(有理数),y={ps-qr}{2qs}=(有理数)}$  { }よって,\ 対偶が真であるから,\ 元の命題も真である.}   $[l} x+yとx-yが有理数であるという条件を文字で設定してx,\ yを求める.  単にxとyの連立方程式とみて解けばよい.  すると,\ xとyがいずれも\ {整数}{整数}\ となるから有理数であることがわかる.  xが有理数かつyが有理数は,\ x,\ yの少なくとも一方が有理数を満たしている. 
 
  
  
  
  