無限集合の相等A=Bの証明

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次の集合$A,\ B$において,\ $A=B$であることを示せ.  $A={4n+3|nは整数},B={4n-1|nは整数}$  $A={2x+5y|x,\ yは整数},B={3x-4y|x,\ yは整数}$ 集合の相等の証明 ${A=B}A B\ かつ\ A B$ $x\in A$とすると,\ $x=4n+3\ (n:整数)$}とおける. { }このとき $x=4n+3=4(n+1)-1$ { }$n+1$は整数であるから $4(n+1)-1\in B}$ { }$x\in Aならばx\in B$}が成り立つから   $A B$ { }$x\in B$とすると,\ $x=4n-1\ (n:整数)$}とおける. { }このとき $x=4n-1=4(n-1)+3$ { }$n-1$は整数であるから $4(n-1)+3\in A}$ { }$x\in Bならばx\in A$}が成り立つから   $A B$ $,\ より {A=B}$} $[l} 集合の相等(A=B)を示すには,\ A B\ かつ\ A B\ を示すのが基本となる. 高校数学では使う機会が限られる証明方法だが,\ 大学数学では頻繁に利用する. A Bを示すには,\ {「x\in A\ ならば常に\ x\in B」を示せばよい}のであった. つまり,\ x=4n+3=4○-1\ (○:整数)と表すことができれば,\ x\in Bが示されたことになる. A Bの証明も同様であり,\ {「x\in B\ ならば常に\ x\in A」を示せばよい.} 本問により,\ 4で割って3余る数の集合と4で割って-1余る数の集合が一致することがわかる. \ $a\in A$とすると,\ $a=2x+5y\ (x,\ y:整数)$}とおける. { }このとき$a=2x+5y=(32-41)x+(33-41)y=3(2x+3y)-4(x+y)$ { }$2x+3y,\ x+y$は整数であるから $3(2x+3y)-4(x+y)\in B}$ { }$a\in Aならばa\in B$}が成り立つから   $A B$ { }$b\in B$とすると,\ $b=3x-4y\ (x,\ y:整数)$}とおける. { }このとき$b=3x-4y=(24-51)x-(22-50)y=2(4x-2y)+5(-x)$ { }$4x-2y,\ -x$は整数であるから $2(4x-2y)+5(-x)\in A}$ { }$b\in Bならばb\in A$}が成り立つから   $A B$ $,\ より {A=B}$} 方針・手順はと同じだが,\ 2x+5y=3○-4△\ (○,\ △:整数)の変形が容易ではない. まず,\ 2x+5yの係数である{2と5をそれぞれ3○-4△\ (○,\ △:整数)の形で表す.} つまり,\ 3○-4△=2,\ 3○’-4△’=5となるような整数の組(○,\ △),\ (○’,\ △’)を考える. 実はこのような整数の組は無限に存在するので,\ そのうちの1つを頑張って探せばよい. 難しそうに思えるが,\ 次の法則を利用するとすぐに見つかる. 「0から他方の文字の係数より1小さい整数までの中に,\ 式を満たす整数が必ず1つ存在する」 例えば,\ ○の係数3に着目し,\ △に0,\ 1,\ 2を代入することで必ず整数の組を見つけることができる. 実際,\ △=1とすると○=2が導かれる.\ 解答では,\ (○,\ △)=(2,\ 1),\ (○’,\ △’)=(3,\ 1)とした. △の係数4に着目して○に0,\ 1,\ 2,\ 3を代入してもよいが,\ 候補が少ない方を優先すべきである. 2=32-41,\ 5=33-41と表せることがわかるので,\ これを{3と-4でくくり直せばよい.} 本問の背景には,\ 整数分野で学習する次の定理がある. 「整数a,\ bが互いに素であるとき,\ 全ての整数nが\ n=ax+by\ (x,\ y:整数)で表される」 つまり,\ {整数a,\ bが互いに素であるとき,\ {ax+by|x,\ yは整数}は整数全体の集合と一致する.} 結局,\ 本問の{2x+5y}と{3x-4y}の係数の2,\ 5,\ 3,\ -4に本質的な意味は何もない. 別に{6x+7y}や{9x-11y}など,\ 互いに素(最大公約数が1)ならば何でもよかったのである. {2x+5y}={3x-4y}={6x+7y}={9x-11y}={整数全体}\ というわけである. [