3次方程式が整数解をもつ条件

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※ 当ページの内容は基本的には数Ⅱを学習済みであることを前提としています。

x^3-(a+1)x^2+2ax-a=0$が3つの整数解をもつような整数$a$の値を求めよ.
(2)\ \ $x^3-px^2+11x-q=0\ が3つの連続する正の整数解をもつ.$
(2)\ \ }このとき,\ 定数$p,\ qの値を求めよ.$               {\normalsize [\,早稲田大\,]}
(3)\ \ $x^3+mx^2+(m-2)x-5=0$が正の整数解をもつような整数$m$の値を求めよ.
(4)\ \ $k$は整数であり,\ $x^3-13x+k=0$が異なる3つの整数解をもつ.
\ \ $k$とこれらの整数解をすべて求めよ.               [\,一橋大\,] \\
次方程式の整数解$
 (1)\ \ 与式を因数分解すると
$x^2-ax+a=0$の2つの整数解を$α,\ β$とする.
解と係数の関係}より 
高次方程式は,\ まずは因数分解できないかを考える.}
もし因数分解できたならば,\ より次数が低い方程式の問題に帰着する.
文字を含む式の因数分解では,\ 最も次数が低い文字で整理する}のが基本であった.
aで整理して -a(x^2-2x+1)+x^3-x^2=-\,a(x-1)^2+x^2(x-1)=(x-1)\{-\,a(x-1)+x^2\}
x=1を解にもつことが確定するので,\ 後はx^2-ax+a=0が2つの整数解をもてばよい.
2次方程式の整数解問題の扱いについては前項で示した通りである.
すべての解が整数解の場合,\ 解と係数の関係を利用する}と簡潔に済むのであった.
 ax^2+bx+c=0の2解を\,α,\ β\,とすると α+β=- ba,\ \ αβ= ca
 (2)\ \ $3つの連続する正の整数解をm-1,\ m,\ m+1\ (m≧2)}とおく.$
$x^3-px^2+11x-q=0において解と係数の関係}より$
因数分解できないので,\ 3次方程式のまま扱うしかない.
まず,\ 連続する正の整数解を文字でおく.
後は,\ すべての解が整数であることから解と係数の関係を適用してみると容易に求まる.
ax^3+bx^2+cx+d=0の3解を\,α,\ β,\ γ\,とすると
2次方程式の整数解と同様,\ 少なくとも1つの解が整数ならば整数解を文字でおいて代入する.}
後は,\ 単純な不定方程式の問題として整数解を求めればよい.
本問の場合,\ 定数項を分離すると(文字式)×(文字式)=(整数)に変形できる}から容易である.
整数となるための必要条件は\
不定方程式では,\ 次数が低い文字について解く}という発想も重要なのであった.
(分母)=α^2+α≠0を確認した上で1次のmについて解く.
分数式は,\ まず筆算の整式の割り算(数II})を行うなどして分子の次数を分母よりも低くする.}
分数式が整数となる条件は,\ 当カテゴリですでに学習済みである.
(分子)=0\ または\,分子}≧分母}\,が必要条件}となることを利用して絞り込むのであった.
本問の場合は\,α>0を考慮すると絶対値はがはずせるので簡潔に済む.
 (4)\ \ [\,解と係数の関係の利用\,]
異なる3つの整数解を$α,\ β,\ γ$とおく.
解と係数の関係}より
対称性と$α+β+γ=0$より,\ $β≧0$としても一般性を失わない.
解と係数の関係を適用すると4変数の不定方程式となるが,\ kは第3式にしかない.
よって,\ 実質的に2式\,α+β+γ=0と\,αβ+βγ+γα=-\,13の3変数の不定方程式を解けばよい.
解法は複数考えられるが,\ ここでは最も単純な1文字消去}する方法を示した.
1文字消去により2次式となる.\ 因数分解ができなければ平方完成}してみるとよいのであった.
(2乗)+(2乗)=13より\,β\,はあまり大きな値ではないはずであり,\ 不等式を作成して絞り込める.
さらに,\ α+β+γ=0より\,α,\ β,\ γ\,のうち少なくとも1つは0以上であることも利用する.
β\,が5つに絞られるから,\ 後はしらみつぶしするだけである.
原点対称なので,\ $k≧0$として考える.
容易に定数分離ができる場合,\ グラフを用いた図形的な考察も有効}である.
ただし,\ 3次関数の場合は整式の微分(数II})の知識を要する.
-\,x^3+13x=kの実数解は,\ 図形的にはy=-\,x^3+13xとy=kの共有点のx座標}である.
まずは,\ 変化しないy=-\,x^3+13xのグラフを図示する.
そもそも,\ 異なる整数解を3個もつためには,\ 共有点を3個もつ必要がある.}
よって,\ kのとりうる値の範囲は極大値から極小値の間に限られる.
共有点を3個もつとき,\ グラフの水色,\ 橙色,\ 緑色の部分とそれぞれ1個ずつ共有点をもつ.}
これにより,\ β\,の値を絞り込むことができる. より,\ 原点対称性も利用すると\,β\,の値が3個にまで絞られる.
f(-\,x)=-\,f(x)の図形的意味は,\ -\,xのときのy座標とxのときのy座標の符号が逆である.
α\,や\,γ\,の値を絞り込むこともできるが,\ この場合は両端の限界±2√{13}{3\,を求めておく必要が生じる.
上図ではわかりやすさのために示しておいたが,\ 実際にはこの値を求めるのは少し面倒である.
そこで,\ ±\,2√{13}{3\ を求めなくて済む\,β\,に着目するとよいわけである.\ 極値を求める必要もない.
実は裏技的知識(3次関数の対称性)があれば直ちに求まるので,\ α,\ γ\,に着目するのも悪手ではない.
x^3-13x=0    \ x(x^2-13)=0
x^3-13x+12=0  β=1より(x-1)を因数にもつから (x-1)(x-3)(x+4)=0
x^3-13x+18=0  β=1より(x-2)を因数にもつから (x-2)(x^2+2x-9)=0
最後,\ 原点対称性に注意して答える.