対称式の不定方程式x+y+z=xyzと単位分数型の不定方程式

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x+y+z=xyzを満たす自然数x,\ y,\ zの組を求めよ.$ \\[1zh]
\hspace{.5zw}$(2)\ \ \bunsuu1x+\bunsuu1y+\bunsuu1z=\bunsuu32\ を満たす自然数x,\ y,\ zの組を求めよ.$ \\
対称式と単位分数型の不定方程式}}$}} \\\\
 対称式の不定方程式は,\ 以下の2段階の作業によって値を絞り込むことがポイントになる. \\[.5zh]
  [1]\ \ \textbf{\textcolor{cyan}{自分で文字に大小関係を設定する.}} \\[.5zh]
  [2]\ \ \textbf{\textcolor{red}{式の全てまたは一部を最大の文字または最小の文字に置換し,\ 不等式を作る.}} \\\\\\
 (1)\ \ $\textcolor{cyan}{x\leqq y\leqq z}\ とする.$ \\[.5zh]
パターン問題なので解法暗記すべきだが,\ チャレンジ精神さえあれば初見でもある程度食らいつける. \\[1zh]
まず,\ 一見して,\ \bm{x,\ y,\ zはあまり大きな値ではない}ことに気付けるだろうか. \\[.2zh]
\textbf{和(1次式)よりも積(3次式)のほうが基本的に値が大きくなる}ことに着目すると気付ける. \\[1zh]
一見して気付けなくても,\ \bm{具体的な値で実験}してみればよい. \\[.2zh]
以後は,\ x,\ y,\ zの値が大きくなればなるほどxyzの方が勢いよく大きくなり,\ 差が開く一方である. \\[.2zh]
以上から,\ x,\ y,\ zのうち少なくとも1つは1であろうことが予想できる. \\[.2zh]
さらに,\ x=y=1のとき2+z=zとなってしまうから,\ \bm{x,\ y,\ zのうち1は1つのみ}とわかる. \\[.2zh]
このような実験により,\ 初見でも(1,\ 2,\ 3)を特定してかなりの部分点を稼ぐことが可能である. \\[1zh]
実際には,\ 対称式の場合には非常に効率よく絞り込める方法があるので習得しておく必要がある. \\[.2zh]
\bm{自分で文字に大小関係を設定する}のである.\ \bm{対称式なら,\ 大小関係を設定しても一般性が失われない.} \\[.2zh]
さらに,\ \bm{右辺または左辺の文字を最大数または最小数に置換し,\ 不等式を作成する.} \\[.2zh]
以下の4通りの置換の仕方が考えられるが,\ 試してみるまではどれが正解かはわからない. \\[.8zh]
\maru1\ \ xyzを最大数zで置換する.  x+y+z=xyz\leqq z\cdot z\cdot z=z^3 \hspace{.3zw}→ x+y+z\leqq z^3 \hspace{0zw}× \\[.2zh]
\maru2\ \ xyzを最小数xで置換する.  x+y+z=xyz\geqq x\cdot x\cdot x=x^3 → x+y+z\geqq x^3 × \\[.2zh]
\maru3\ \ x+y+zを最大数zで置換する.  xyz=x+y+z\leqq z+z+z=3z \hspace{.3zw}→ xy\leqq3 ○ \\[.2zh]
\maru4\ \ x+y+zを最小数xで置換する.  xyz=x+y+z\geqq x+x+x=3x → yz\geqq3 \hspace{.1zw}× \\[.8zh]
実験の結果,\ \maru1,\ \maru2では何もわからない.\ また,\ \maru4では絞り込めない. \\[.2zh]
結局,\ \maru3の方針が正解であるとわかる. \\[1zh]
最後,\ \textbf{自分で設定した大小関係を解除して答えなければならない}ことに注意する. \\[.2zh]
3つの異なる数字を並び変えることになるから,\ 3\kaizyou=6通りの答えが出てくる.
大小関係を設定し,\ \bm{左辺の全ての文字を最小数xに置換する}と絞り込むことができる. \\[.2zh]
もちろん,\ 実際に試してみるまでは,\ 最小数xと最大数zのどちらに置換すべきかはわからない. \\[.2zh]
xの値が絞られるので,\ 同様にしてyの値も絞り込めばよい. \\[.2zh]
(1,\ 4,\ 4)の並び方は\,\bunsuu{3\kaizyou}{2\kaizyou}=3通りである(同じものを含む順列).\ (2,\ 2,\ 2)は当然1通りである. \\\\
別解は,\ 大小関係を設定する解法を知らない場合を想定したものである. \\[.2zh]
単位分数(分子が1の分数)は,\ 分母が大きくなるほど小さくなる. \\[.2zh]
よって,\ x,\ y,\ zはあまり大きな値ではないはずである. \\[.2zh]
このような実験から,\ x\geqq3\ かつ\ y\geqq3\ かつ z\geqq3のときは\,\bunsuu32\,に届かなくなることがわかる. \\[.8zh]
これの否定は,\ x\leqq2\ \dot{ま}\dot{た}\dot{は}\ y\leqq2\ \dot{ま}\dot{た}\dot{は}\ z\leqq2\ である. \\[.2zh]
結局,\ 対称性よりx=1,\ 2の場合を考えれば十分ということになる. \\[1zh]
単位分数型は,\ \bm{2変数ならば分母をはらうとaxy+bx+cy+d=0型に帰着}する. \\[.2zh]
この型は,\ 無理矢理\bm{(文字式)\times(文字式)=(整数)}に変形して解くのであった. \\[.2zh]
 yz-2y-2z=0 y(z-2)-2z=0 y(z-2)-2(z-2)-4=0 (y-2)(z-2)=4 \\[.2zh]
自分で設定した大小関係を元に因数の範囲を考慮すると,\ 候補を減らすことができる. \\[1zh]
本解では,\ 自然にx\leqq2が導かれ,\ xの値を絞り込むことができた. \\[.2zh]
一方,\ 別解は実験でx,\ y,\ zが全て3以上では成立しないことに気付く必要があり,\ 聡明さに欠ける. \\[.2zh]
本問においては,\ 本解が優位というわけである. \\[.2zh]
しかし,\ 対称性がない問題や大小関係の設定でうまく絞り込めない問題では別解が優位になりうる. \\[1zh]
単位分数型の不定方程式は,\ 分母をはらった2xy+2yz+2zx=3xyzのような形でも出題される. \\[.2zh]
この場合,\ \bm{xyz\neqq0を確認した上で両辺をxyzで割って単位分数の形にして考える}とよい. \\[.2zh]
1つの項に1つの文字となり,\ 扱いやすくなる. \\[.2zh]
2xy+2yz+2zx=3xyzのまま(1)と同様にして求めることもできるが,\ 置換に工夫が必要になる. \\[.2zh]
x\leqq y\leqq zのとき,\ 3xyz=2xy+2yz+2zx\leqq 2yz+2yz+2zy=6yzより,\ 3xyz\leqq6yzである. \\[.2zh]
よって,\ x\leqq2である. (xをyに置換し,\ 1項目のyをzに置換してすべての項をyzに統一した)
x\leqq y\leqq zとして値を絞り込むことも可能だが,\ 対称性がない本問では一般性が失われてしまう. \\[.2zh]
すると,\ x\geqq y\geqq zなどの場合を別個に考慮する必要が生じ,\ 非常に面倒である. \\[.2zh]
そこで,\ 前問別解のように考えると,\ x\geqq2,\ y\geqq2,\ z\geqq2のとき\ \bunsuu1x+\bunsuu{1}{2y}+\bunsuu{1}{3z}\leqq\bunsuu{11}{12}\,となる. \\[.8zh]
つまり,\ x,\ y,\ zのうち少なくとも1つが1でなければならないことがわかる. \\[.2zh]
よって,\ x=1,\ y=1,\ z=1の場合をそれぞれ求めればよいことになる. \\[.2zh]
2変数であれば,\ axy+bx+cy+d=0型に帰着させることができる. \\[1zh]
実は,\ 本問は\bm{自然数条件を用いるだけで絞り込める}ので,\ ここではその方針で解答した. \\[.2zh]
以前扱ったx+2y+3z=10を満たす自然数x,\ y,\ zを求める問題と同様である. \\[1zh]
[2]では\bm{余りにまで着目}すると,\ 余分な組合せをあらかじめ除外することができる. \\[.2zh]
5y-3は,\ 5y-3=5(y-1)+2より,\ 5で割ると2余る数である. \\[.2zh]
5z-2は,\ 5z-2=5(z-1)+3より,\ 5で割ると3余る数である. \\[.2zh]
これを満たす積が6になる自然数の組合せは(2,\ 3)のみである.