素数の性質を利用する不定方程式

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pを2とは異なる素数とする.\ \ m^2=n^2+p^2\ を満たす自然数の組(m,\ n)がただ1組$ $存在することを証明せよ.                      \ \ [\,静岡大\,]$ 不定方程式 \\   素数の定義}  2個の正の約数(1と自分自身)をもつ自然数   $[1]$\ \ 素数の定義より,\ $素数pの約数は±1と± pに限られる.$   $[2]$\ \ 偶数の素数は2のみ  逆に言えば,\ 3以上の素数は全て奇数   素数の性質は他にもあるが,\ 不定方程式でよく利用するのはこの2つの性質である.   $ここで,\ pは奇素数であるから,\ p^2+1,\ p^2-1は正の偶数}である.$   $よって,\ p^2+1}{2},\ p^2-1}{2}\ は自然数となる.$   $以上から,\ 自然数の組(m,\ n)がただ1組存在する}ことがわかる.$ まず,\ 「存在することを証明せよ」という問題文をみてビビってはならない. 高校数学では,\ 「存在することを証明せよ」が「求めよ」に等しい}ことが多い. 本問も,\ 所詮は頻出の不定方程式\ x^2-y^2=k型}であり,\ 単に(m,\ n)を求めればよいだけである. この型は,\ (文字式)×(文字式)=(具体的な整数)}に変形し,\ 組合せを考えるのであった. 通常,\ 右辺には文字が含まれていてはならず,\ 具体的な整数でなければならない. kのような文字の場合,\ 整数の積としての表現が(±\,1)×(±\,k)のみとは限らないからである. 仮にk=6=(非素数)とすると,\ k=2× k2\ (=2×3)などと表現することもできてしまう. k=9のときのk=3× k3\ (=3×3)など,\ 整数の積としての表現の仕方は無限にある. 文字が含まれていても,\ それが素数ならば整数の積としての表現の仕方は有限になる.} 素数pを整数の積で表すとき,\ (±\,1)×(±\,p)}以外ありえないからである. 本問の場合,\ (m+p)(m-p)=n^2\,と変形しても意味がなく,\ =p^2=(素数の積)とする必要がある. 一見同じだが,\ 素数を意識した変形ができるか否かが問われている. 積がp^2\,となる組合せは  繰り返しになるが,\ pが素数なので組合せがこの6組のみといえる}ことに注意してほしい. x^2-y^2=k型は,\ 各因数の範囲と大小関係を考慮}すると候補を絞り込めるのであった. m>0,\ n>0よりm+n>0がいえ,\ さらにp^2>0よりm-n>0もいえる. 加えて,\ 因数の差を計算}してみることで大小関係もわかる. 結局,\ m+n>m-n>0を満たすのは(m+n,\ m-n)=(p^2,\ 1)のみである. (m,\ n)が求まるが,\ 見かけ上分数になっており,\ これが自然数であることを示す必要がある. (m,\ n)が自然数の組であるためには,\ 分子p^2±1が2の倍数でなければならない.} ここで,\ 条件「\,pが2とは異なる素数」が効いてくる. あえて2を除外しているのは,\ p=2のときは成り立たないからであろう. 他の素数では成り立つが2では成り立たないのならば,\ その要因を偶奇性に求めるのは自然}である. pは奇数なのでp^2\,も奇数であり,\ このときp^2±1は偶数である. $p,\ q,\ r$を$pp,\ n>pがほぼ明らかである. もう少し丁寧に示すと解答のようになる. 各因数の範囲と大小関係を考慮すると,\ 結局組合せは2通りに絞られる. m^3+n^3=p$を満たす自然数$m,\ n$と素数$p$を求めよ. 因数の範囲を考慮するだけで組合せが1通りに絞られるが,\ その後がやや面倒である. m+n=p,\ m^2-mn+n^2=1はいずれも対称式(mとnを入れ替えても同じ式)である. 対称式の連立方程式は,\ 対称性を維持したまま解く}のがスマートなのであった. まず基本対称式m+n,\ mnを求める. そして,\ 基本対称式をなす2数m,\ nを求めるには,\ m,\ nを解にもつ2次方程式を作成する.} m,\ nを解にもつ2次方程式の1つは(t-m)(t-n)=0,\ つまりt^2-(m+n)t+mn=0である. pが具体的な整数ならば,\ m+nとmnの値を代入して解けば,\ これでm,\ nの値が求まる. 本問の場合は文字pが含まれているので,\ tとpの2次の不定方程式となる. 2次の不定方程式は,\ 判別式}によって範囲を絞り込める可能性があるのであった. さらにpが素数という強力な条件により,\ p=2しかありえないことがわかる.