円の極線の詳細は次のページにあります。

以下はGeoGebraによる作図です。
- 点Aを動かしてみる。
- 直線BCを動かしてみる。点B、点Cを動かすと直線の傾きを変更できますし、点B、点C以外の部分をもつと直線全体を動かすことができます。直線が原点を通るように移動するとどうなるでしょう。都合上、点Bが原点に合わせやすいです。
- 円Dを動かしてみる。点E、点F、点Gを動かすと円の半径を変更できますし、点E、点F、点G以外の部分をもつと円全体を動かすことができます。円が原点を通るように移動するとどうなるでしょう。都合上、点Eが原点に合わせやすいです。
原点Oと異なる点P$(x,\ y)$に対し,\ Oを端点とするPを通る半直線上にあり, \\[.2zh] \hspace{.5zw}$\mathRM{OP\cdot OQ}=4$を満たす点Q$(X,\ Y)$を考える. 点P$(x,\ y)$の座標を$X,\ Y$を用いて表せ反転(円に関する鏡像変換)}}}} \\\\[.5zh] 定点Oを中心とする半径$r$の円がある. \\[.2zh] $\bm{\textcolor{red}{\mathRM{Oと異なる点Pを,\ 半直線OP上にあり,\ \textcolor{blue}{\mathRM{OP\cdot OQ=r^2}}\,を満たす点Qに移す.}}}$ \\[.2zh] このとき,\ 「\textbf{\textcolor{cyan}{点P}}と\textbf{\textcolor{magenta}{点Q}}はこの\textbf{\textcolor[named]{ForestGreen}{円に関して対称}}である」という. \\[.2zh] このような変換を\textbf{\textcolor{blue}{「反転」}}といい,\ $\bm{\mathRM{O}を反転の中心,\ rを反転の半径}$という. \\\\ まず,\ \mathRM{OP\cdot OQ=r^2}\,より,\ \mathRM{OP=rのときOQ=rである.} \\[.2zh] これは,\ \bm{円周上の点は円周上の点に移る(同一の半直線上なので結局動かない)}ことを意味する. \\[.2zh] 直線に関する対称移動において対称軸上の点が移動しないのと同じである. \\[1zh] また,\ \mathRM{OP=\bunsuu{r^2}{OQ}}\ より,\ 線分\mathRM{OPと線分OQの長さは反比例の関係にある.} \\[.8zh] よって,\ \bm{\mathRM{点Pと点Qは,\ 一方が円の内部にあれば,\ 他方は円の外部にある.}} \\[.2zh] さらに,\ \bm{\mathRM{点Pと点Qは,\ 一方が原点に近づくほど他方は無限遠まで離れていく.}} \\[.2zh] つまり,\ \bm{円の中心は,\ 円の外部の無限遠に対応する.} 点\mathRM{Q}が半直線\mathRM{OP}上にある条件はベクトルで考えるとわかりやすい. \\[.2zh] もしもこの条件を\ \bekutoru{OQ}=k\bekutoru{OP}\,とすると,\ (X,\ Y)=(kx,\ ky)となる. \\[.2zh] こうすると,\ 後で(x,\ y)=に変形する必要があり,\ 二度手間になる. \\[.2zh] よって,\ \bm{\bekutoru{OP}=k\bekutoru{OQ}}\,としたわけである. \\[.2zh] 後は,\ \mathRM{OP\cdot OQ=4}からkを求めると,\ (x,\ y)が(X,\ Y)で表される. \\[.2zh] このときX^2+Y^2\,で割ることになるので,\ (X,\ Y)\neqq(0,\ 0)をあらかじめ確認しておく必要がある. \\[1zh] 最初の段階で成分で表して考えたが,\ 実は最後までベクトルのまま処理するのがスマートである. \\[.2zh] \bekutoru{OP}=(\mathRM{OP}の長さ)\times(\bekutoru{OQ}\,の単位ベクトル)\ として計算する. \\[.5zh] ベクトルを未学習でも,\ \mathRM{OP:OQ=k:1}と設定して立式すれば同じことである. \mathRM{OP=kOQ} \\原点Oを中心とする半径2の円に,\ 円外の点P$(a,\ b)$から2本の接線を引く. \\[.2zh] \hspace{.5zw}2つの接点の中点をQ$(X,\ Y)$とするとき,\ $\mathRM{OP\cdot OQ}=4$が成り立つことを示せ. \\[.2zh] \hspace{.5zw}また,\ 点Q$(X,\ Y)$の座標を$a,\ b$を用いて表せ. \\ 接点S,\ Tにおける接線の方程式は $s_1x+s_2y=4,\ \ t_1x+t_1y=4$ \\[.2zh] これが点P$(a,\ b)$を通るから \ \ \,$s_1a+s_2b=4,\ \ t_1a+t_1b=4 \cdots\cdots\,\maru1$ \\[.2zh] これは,\ \textcolor{red}{2点S,\ Tが直線$ax+by=4$上にある}ことを意味する. \\[1zh] 点Qは,\ \textcolor{forestgreen}{直線OP:$ay-bx=0$と直線ST:$ax+by=4$の交点}である. \\[.5zh] \bm{点\textbf Pが円の外部にあるとき,\ 点\textbf Qは直線\textbf{OP}と点\textbf Pの極線(2接点を通る直線)の交点}となる. \\[.2zh] 反転の問題は,\ このような図形的観点から出題されることも多い. \\[1zh] まず,\ 以下のような基本的な図形の性質から,\ 点\text{P,\ Q}が上図のような位置関係となることがわかる. \\[.2zh] 「\mathRM{\,PS=PT\,}」「円の接線は接点を通る半径と垂直」「円の弦の垂直二等分線が円の中心を通る」 \\[1zh] \bm{三角形の相似}を利用して,\ \mathRM{OP\cdot OQ=4}が導かれる.\ \ (直角かつ\mathRM{\angle POS=\angle SOQ}より2角が等しい) \\[1zh] 点\text Qの座標を2接点の座標を求めた後にその中点として求めようとすると面倒なことになる. \\[.2zh] 直線\mathRM{OP}と極線の交点として求めるとよい. \\[.2zh] 極線には非常にうまい求め方があり,\ この図形と方程式分野で学習済みである. \\[.2zh] 2接点を文字でおいて接線の方程式を求め,\ 点\text Pを通る条件を立式する. \\[.2zh] 円x^2+y^2=r^2\,上の点(x_0,\ y_0)における接線の方程式 x_0x+y_0y=r^2 \\[.2zh] \maru1は,\ \bm{ax+by=4に(s_1,\ s_2),\ (t_1,\ t_2)を代入した式とみなす}ことができる. \\[.2zh] 図形的には,\ 2点\text S(s_1,\ s_2),\ \text T(t_1,\ t_2)が直線ax+by=4上にあることを意味する. \\[.2zh] 2点を通る直線はただ1本なので,\ \bm{直線\textbf{ST}の式はax+by=4以外ありえない}というわけである. \\[1zh] 直線\text{OP}の方程式は,\ a\neqq0のときy=\bunsuu bax\,である.\ \ a=0のときはx=0となる. \\[.8zh] 分母をはらった形ay-bx=0にしておくことで,\ 場合分けが必要なくなるのであった. \\[.2zh] 点\text P(a,\ b)は円外の点であるから(a,\ b)\neqq(0,\ 0),\ つまりはa^2+b^2\neqq0である. 原点と異なる点P$(x,\ y)$に対し,\ 点Q$\left(\bunsuu{4x}{x^2+y^2},\ \ \bunsuu{4y}{x^2+y^2}\right)$を対応させる. \\[.8zh] \hspace{.5zw}点Pが次の図形上を動くとき,\ 点Qの軌跡を求めよ. \\[1zh] \hspace{.5zw} (1)\ \ 原点を通る直線 $y=\bunsuu12x (原点を除く)$ \\[1zh] \hspace{.5zw} (2)\ \ 原点を通らない直線 $2x+y-6=0$ \\[.8zh] \hspace{.5zw} (3)\ \ 原点を通る円 $\left(x-\bunsuu23\right)^2+\left(y-\bunsuu13\right)^2=\bunsuu{5}{9} (原点を除く)$ \\[1.3zh] \hspace{.5zw} (4)\ \ 原点を通らない円 $(x-1)^2+\left(y-\bunsuu12\right)^2=\bunsuu14$ (1)\ \ 求める軌跡は,\ \textcolor{red}{以下を満たす実数$(x,\ y)$が存在するような点$(X,\ Y)$の集合}である 「反転」といっても,\ 所詮は\textbf{座標平面上の変換}にすぎない. \\[.2zh] (x,\ y)を消去して条件を満たす点(X,\ Y)の集合を求めれば,\ それが点(X,\ Y)の描く軌跡である. \\[1zh] 問題で(X,\ Y)=の形の式が与えられた場合,\ (x,\ y)=に変形するところから始める必要がある. \\[.2zh] このとき,\ \bm{一旦X^2+Y^2\,を計算する}という処理方法を覚えておかなければ面倒なことになる. \\[1zh] 最後,\ A=\bunsuu CB\ \Longleftrightarrow\ AB=C\ は成り立たないので,\ 安易に分母のX^2+Y^2\,をはらってはならない. \\[.8zh] 正しくは,\ \bm{A=\bunsuu CB\ \Longleftrightarrow\ AB=C\ \ かつ\ \ B\neqq0}\ である. \\[.8zh] B\neqq0がなければ,\ ←\ の方向に変形できないからである. \\[1zh] 一般に,\ \bm{原点を通る直線は,\ 反転により原点を通る直線(自分自身)に移される}(原点は除く). 一般に,\ \bm{中心を通らない直線は,\ 反転により中心を通る円に移される.} \\[.2zh] 直線の無限遠が円の中心に向かって丸まってくるのをイメージできるだろうか. \\[.2zh] 円の中心は,\ 円の外部の無限遠と対応している. 一見複雑だが,\ うまく処理すればそこまで面倒ではない. \\[1zh] 一般に,\ \bm{原点を通る円は,\ 反転により原点を通らない直線に移される.} \\[1zh] 本問の反転前の円は,\ (2)の反転後の円である. \\[.2zh] \mathRM{OP\cdot OQ=r^2}\,という変換において,\ \mathRM{点P,\ Q}は対等である. \\[.2zh] よって,\ \mathRM{点Pが点Qに移るとき,\ 点Qは点Pに移る.} \\[.2zh] ゆえに,\ 本問は(2)の逆の変換を行ったことになる. 一般に,\ \bm{原点を通らない円は,\ 反転により原点を通らない円に移される.} \\[.2zh] 本問は円x^2+y^2=4の内部の円であるから,\ 円x^2+y^2=4の外部の円に移る. \\[.2zh] 反転の前後の点がどのように対応しているかをよく確認しておいてほしい(相似拡大ではない). 反転図形は以下のようにまとめられる. \\[1zh] 原点を通る直線} \to \textcolor{magenta}{原点を通る直線(自分自身)} \\[.2zh] \ \textcolor{cyan}{\underline{原点を通らない直線}} \to \textcolor{magenta}{\uwave{原点を通る円}} \\[.2zh] \ \textcolor{cyan}{\uwave{原点を通る円}} \to \textcolor{magenta}{\underline{原点を通らない直線}} \\[.2zh] \ \textcolor{cyan}{原点を通らない円} \to \textcolor{magenta}{原点を通らない円} 直線と円が紛らわしいが,\ \textbf{\textcolor{purple}{直線を半径が無限大の円とみなす}}考え方がある. \\[.2zh] この考え方の下では,\ 反転は常に円を円に移す(\textbf{\textcolor{red}{円円対応}}である)といえる.