x≦ y≦ zを満たす自然数x,\ y,\ zの組のうち,\ の値が最大になるものを求めよ.\ また,\ そのときの最大値を求めよ.$ \\
対称式と単位分数型の不定不等式$
本項の解答・解説は,\ 前項の内容が理解できていることを前提とする.
基本方針は前項で扱った方程式(=)の場合と同じである.
大小関係が設定されているので,\ 後は最大数または最小数に置換して不等式を作る}と絞り込める.
別解は,\ 具体的な値で実験することを前提としたものである.
2変数になれば,\ 分母をはらうことでaxy+bx+cy+d=0型の不定不等式に帰着する. \\
各因数の範囲を考慮すると,\ (y-2)(z-2)≧2となる.
結局,\ (y-2)(z-2)=2と(y-2)(z-2)=3を満たす(y,\ z)の組を求めることになる.
1x+1y+1z<1,\ \ x≦ y≦ z\ を満たす自然数x,\ y,\ zの組は無限にある.
その中から,\ 1x+1y+1z\,の値が最大となるものを特定しなければならない.
初学者は,\ 不等式条件付き3変数関数の最大問題などと難しく考えてしまうかもしれない.
しかし,\ x,\ y,\ zが整数である本問では難しく考える必要は全くなく,\ 単純な発想で解答できる.
分母のx,\ y,\ zの値が小さいほど\,1x+1y+1z\,の値が大きくなる.
よって,\ 小さいx,\ y,\ zの組合せから順に\,1x+1y+1z\,の値を調べていけばよい}だけの話である.
このような発想は,\ 整数分野の最大・最小問題では非常に有効}である.
とにかく,\ まず具体的な値で実験し,\ それを元に解答を作成する. を満たさない.,を満たすにはz≧7でなければならない.
実際の試験では,\ 可能な限り「明らか」という表現を避けるのが基本である.
不等式を用いてまとめて記述する}方法を習得してほしい.
(x,\ y)=(2,\ 3,\ 7)が存在したからといって,\ (x,\ y)=(2,\ 4)を考えなくてよくなるわけではない.・・・\ は,\ 考えるまでもなく明らかである.
しかし,\ (2,\ 3,\ 7)と(2,\ 4,\ 4),\ (2,\ 4,\ 5),\ (2,\ 4,\ 6)の大小は,\ 確認する必要がある.
解答では,\ (2,\ 4,\ 5),\ (2,\ 4,\ 6),\ ・・・\ と(2,\ 5,\ 5以上),\ (2,\ 6,\ 6以上),\ ・・・\ をすべてまとめて扱った.
さらに,\ 41}{42}≒0.976と\,19}{20}=0.95の比較により,
同様に,\ (2,\ 3,\ 7)と(3,\ 3,\ 3),\ (3,\ 3,\ 4),\ (3,\ 3,\ 5),\ (3,\ 3,\ 6)の比較も必要である.
(3,\ 3,\ 4)が存在するので,\ 結果的には(3,\ 3,\ 5),\ (3,\ 3,\ 6)を計算する必要はない. 11}{12}≒0.92
残すはx≧4の場合だが,\ 明らかに(3,\ 3,\ 4)>(4以上,\ 4以上,\ 4以上)\ である.
すべての場合が尽くされ,\ (2,\ 3,\ 7)のとき最大値をとることが確定する.