1993年、東京工業大学前期で出題された問題が次である。
いわゆる整数値多項式の難問である。
本問に関するエピソードを、次の書籍から抜粋する。
全員が0点に近い状態であったため、採点者は「平均点が0点という報告は出来ない。nについての帰納法で証明すると書いたら点数を与えよう」と考えて、30点満点のうち10点を与えた。
日本語で1行記述しておくだけで30点満点で10点もらえたという話である。
自然数nの問題で困ったらとにかく「帰納法で証明する」と記述しておいた方がよいということだろうか。
「難問では方針が正しければ方針点として最大で総点の1/3を与える」という東工大の教官の発言が元であるとも聞いたが、実際のところはわからない。
そして、15年後の2008年、全く同じ問題がAO入試で出題された。
東京工業大学に合格するためのスレ@Wikiから数学科の教授の話とされるものを引用しておく。
なぜI-2で過去問と同じものを出したか。
→93年の問題では、配点を小さくして出題をしたが、そのためか手をつけない受験生が多かった。また、学力低下の指摘があったりするが、それを確認するためにも採用をした。一般の入試問題なら、時間などの制約上手をつけないで終わる…ということもあるが、AOならそういうこともないので、学力を確認できる。
東工大の問題は一般化されているために難問であるが、整数値多項式の問題自体は整数分野の重要パターンの1つであり、2次や3次の特殊な場合はたびたび出題される。
特に、次の名古屋大学(1997年)と新潟大学(2011年)の過去問は実質同じ問題であるために有名である。
東工大および名古屋大・新潟大の問題の解答・解説はこちら。