楕円\ {x²}{a²}+{y²}{b²}=1\ (a0,\ b0)の第1象限の点{P}における接線がx軸,\ y軸と交$ $わる点を{A,\ B}とするとき,\ 線分{AB}の長さの最小値とそのときの点{P}の座標を求め$ $点{P}の座標は(acosθ,\ bsinθ)\ (0θ{π}{2})}とおける.$ $点{P}における接線の方程式は {cosθ}{a}x+{sinθ}{b}y=1}$ $よって {A}({a}{cosθ},\ 0), {B}(0,\ {b}{sinθ})}$ ${AB}²={a²}{cos²θ}+{b²}{sin²θ}=a²(1+tan²θ})+b²(1+{1}{tan²θ)$ $AB}²}=a²+b²+a²tan²θ+{b²}{tan²θ$ $ここで,\ 0θ{π}{2}\ より\ tanθ0\ であるから,\ (相加平均)(相乗平均)}より$ $a²tan²θ+{b²}{tan²θ}2{a²tan²θ{b²}{tan²θ}=2ab$} $よって {AB}²=a²+b²+a²tan²θ+{b²}{tan²θ\ a²+b²+2ab}=(a+b)²$ $a²tan²θ={b²}{tan²θ}\ かつ\ tanθ0,\ つまりtanθ={ baのとき等号が成立する.$ $ P(acosθ,\ bsinθ)}={(aab{a+b,bb}{a+b)}\ のとき {最小値\ a+b}$} 一見すると,\ 接線とx軸とy軸で囲まれた三角形の面積の最小問題と同様の解法が有効に思える. しかし,\ 絶対に無理とは言わないまでも,\ どの方法も普通にやると行き詰まる. よって,\ 本問はこの解法({媒介変数表示と相加相乗平均を利用})を暗記しておくべきである. 楕円上の点に着目して議論する場合,\ 楕円の媒介変数表示も有効である. 楕円の式\ {x²}{a²}+{y²}{b²}=1\ と三角関数の相互関係\ cos²θ+sin²θ=1\ を見比べる. xa=cosθ,\ yb=sinθ\ より,\ {楕円の媒介変数表示\ (x,\ y)=(acosθ,\ bsinθ)}\ が導かれる. 媒介変数表示により,\ 長さが{θの1変数関数に帰着}する. この後普通に最小を求めようとすると数III}の微分をすることになる. しかし,\ {cos²θ\ とsin²θ\ をいずれもtan²θ\ で表す}ことで,\ 相加相乗が適用できる形になる. このとき,\ 三角関数の相互関係\ {1+tan²θ={1}{cos²θ},1+{1}{tan²θ}={1}{sin²θ\ を利用する. A=a²tan²θ,\ B={b²}{tan²θ}\ として,\ {A+B2{AB}\ (A0,\ B0)}\ を適用する. 同時に長さの最小も求まるが,\ これで安心してはいけない.\ {等号成立条件を確認}する必要がある. a+b\ はa+b以上を意味するだけで,\ 最小値がa+bまでは意味しないからである. 等号が成立するような\ θ\ が存在して初めて最小値がa+bと断定できる. 相加平均と相乗平均の関係の等号成立条件は\ {A=B}\ である. tan⁴θ={b²}{a²}\ より,\ tanθ\ の値が導かれる.\ θは求まらないが問題はない. {P}の座標は\ cosθ\ と\ sinθ\ さえ求まれば表せるからである.