ハイレベルなので上級者用である。
関数f(x)は常にf”(x)<0を満たす.$ $任意の実数a,\ b,\ t\ (00\ (i=1,\ 2,\ ,\ n),\ a₁+a₂++a_n=1\ であるとする.$ $任意のn個の実数x₁,\ x₂,\ ,\ x_nに対して,\ 次の不等式が成立することを示せ.$ $x₁ > 0,\ x₂0 > ,\ x_n0\ とするとき,\ 次の不等式が成立することを示せ.$ ${x₁+x₂++x_n}{n}[n]{x₁x₂ x_n}$ $ゆえに,\ 増減表は次のようになるから,\ F(a)0\ が成立する.$ 不等式の証明なので差が0以上であることを示せばよいが,\ {aを変数とみる}ことがポイントである. bでもほとんど同じである.\ tを変数とみて示すことも可能だが,\ 思いの外大変である. F(a)をaで微分する. {f(ta+(1-t)b)}’=f'(ta+(1-t)b){ta+(1-t)b}’=f'(ta+(1-t)b) t (合成関数の微分) t0より > ,\ {F'(a)の符号はf'(ta+(1-t)b)-f'(a)の符号に依存}する. この符号変化はさらに微分してもわからず,\ f'(x)が単調減少であることを利用する必要がある. f'(x)が単調減少であることは,\ xが増加するにつれてf'(x)が減少することを意味している. つまり,\ {f'(ta+(1-t)b)とf'(a)の大小関係は,\ ta+(1-t)bとaの大小関係と逆}になる. ta+(1-t)b > a\ とすると\ (1-t)b(1- > t)a よって1-t > 0より b a > このとき,\ f'(ta+(1-t)b)0,\ q>0,\ p+q=1}を満たすとき {f(pq+qb) pf(a)+qf(b)} p0,\ 0,\ p+q=1\ より,\ 00,\ a₁’+a₂’++a_n’=1\ となり,\ 適用条件を満たしている. 以上を理解できていれば,\ 後は前問と同じである. f(pa+qb) pf(a)+q(b)で2個のf(x)に分割した後,\ 仮定でk個のf(x)に分割する. さて,\ 本問の不等式はをさらに拡張したものである. この不等式を{イェンゼンの不等式}という. 相加相乗,\ コーシー・シュワルツ,\ ヘルダーなど様々な不等式の元になる重要な不等式である. $より log{x₁+x₂++x_n}{n}{log x₁+log x₂++log x_n}{n$ $よって \ log{x₁+x₂++x_n}{n}1nlog x₁x₂ x_n$ $ x₁+x₂++x_n}{n}[n]{x₁x₂ x_n$} $[l} イェンゼンの不等式からn変数の相加平均と相乗平均の関係が導かれる. 念のため,\ 適用条件f”(x)<0を確認してから不等式を適用した. 不等式\ f(ta+(1-t)b) tf(a)+(1-t)f(b)(00\ (x>p)\ がわかる. これを元に増減表を作成すると,\ {F(x)はx=pで極小値0をとる}から,\ F(x)0\ がいえる. 両辺を足し合わせた後,\ a₁+a₂++a_n=1\ を適用する. これは,\ 下図において接点のx座標をa₁x₁+a₂x₂++a_nx_nとしたことを意味している. ${不等式\ f(x) f'(p)(x-p)+f(p)\ の図形的意味$ $関数f(x)上の点(p,\ f(p))における接線の方程式は y=f'(p)(x-p)+f(p)}$ $f(x)が上に凸であるとき,\ f(x)は常に接線の下側にある}から$ $この不等式は,\ 「上に凸」の別表現となっている.