足し算や引き算では,\ {キリのいい数を積極的に利用する}と計算が楽になる. 単純だが応用範囲が極めて広く,\ この先ずっと役に立つ計算テクニックである. 本問はすべての数がキリのいい数(100の倍数)と近い数である. そこで,\ それぞれの数を{キリのいい数とそれとの差に分割}し,\ 別々に計算すると楽である. なお,\ 294=300-6であるが,\ -294=-300-6\ としてはならない. {294の前にあるマイナスは300だけでなく-6にもかかってくる}からである. よって,\ {-294=-(300-6)=-300+6}\ としなければならない. かっこをはずすとき,\ かっこの前の-と6の前の-とで+になるわけである. 同様に,\ -105=-100+5\ は誤りで,\ {-105=-(100+5)=-100-5}\ である. 本問のようにキリのいい数に近い数ばかりの計算の他,\ 次のような計算でも威力を発揮する. 628+999=628+(1000-1)=(628+1000)-1=1628-1={1627} 1537-999=1537-(1000-1)=(1537-1000)+1=537+1={538} 今までは999をみて「繰り上げや繰り下げが面倒くさいなあ」などと思ってきたかもしれない. これからは「999だ!ラッキー!瞬殺できる!」と思えるようになるだろう. 下表は,\ 5人の生徒の試験の点数について,\ 各点数から基準となる60点を引いた 値を表したものである.\ この5人の平均点を求めよ. 基準60点との差 & 4 & $-2$ & $-3$ & 8 & 1 } 下表は5人の生徒の身長である.\ この5人の平均身長を求めよ. 生徒 & A & B & C & D & E 身長(cm) 仮平均の利用 dy}{${(真の平均})=(基準(仮平均)})+(差の平均})}$} 差の平均は $(4-2-3+8+1)5}=85=1.6}$ { }$求める平均点は 60}+1.6}={61.6\ (点)}$ 基準を150cm}とする.\ 各生徒の身長から基準の150cmを引くと 生徒 & A & B & C & D & E 基準150cmとの差 & { }差の平均は 平均は\ {(平均)=(合計)(個数)}\ で求められることを小学校で学習した. ここでは,\ 平均をもう1つの方法で求める. {ある基準との差を考え,\ その差の平均を基準に足す}方法である. この基準のことを{仮平均}(かりへいきん)という. 問題で基準との差が与えられているから,\ この差の平均を求めて基準の60点に足せばよい. こうすることで,\ 実際の各生徒の点数を求めずとも平均を求めることができる. 一応普通の方法も示しておく. 各生徒の点数は 次のように計算できることを考えると,\ 仮平均を利用して平均を求められることが納得できる. \ (仮平均)+(差の平均) 問題で基準が設定されていない場合は{自分で基準を設定し,\ 差を求める}とよい. このとき,\ {真の平均を予想し,\ それに近くキリのいい値を基準にする}と後が楽になる. 本問の場合,\ 真の平均は150付近と予想されるから150を基準とした. このような平均の求め方は常に利用できるが,\ 常に効果的とは限らない. 各値のばらつきが大きい場合(129,\ 223,\ 528,\ 382,\ 609)は差を求めること自体が面倒である. この場合は普通に平均を求めるのがよいだろう.