最小2乗法② ∫(x-asinx)²dxの最小値(三角関数による多項式の近似とフーリエ級数展開)

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フーリエ級数のf(x)の式中のΣのk=1はn=1の間違いですm(_ _)m

項数が大きくなるほど近似の精度が高くなっていきます。

問題を解くだけならば,\ 単純に積分した後,\ 単純に平方完成して最小値を求めるだけである. 積分区間が対称であるから,\ {偶関数・奇関数を考慮}すると,\ 各項はすべて偶関数である. x,\ sin mxは奇関数で,\ (奇関数)(奇関数)=(偶関数)\ だからである. sin²mxは2倍角の公式の逆,\ sin mxsin nxは積和の公式を利用,\ xsin mxは部分積分である. 最後,\ {aとbのそれぞれに平方完成}すると最小値が求まる. 最小二乗法では,I=∫-π/2{π/2{sin x-(ax+b)}²dx\ を最小にするa,\ bを求めた. この結果は,\ y=sin x(-{π}{2} x{π}{2})がy={24}{\ π³}x\ で最も良く近似できることを意味していた. 数学の世界には,\ 常に逆を考える人がいる. {「三角関数が整式で近似できるのならば,\ 逆に整式を三角関数で近似できるのではないか」}と. 本問は,\ y=asin x+bsin 2xがy=x\ を最も良く近似できるときのa,\ bを求める問題である. そして,\ {y=2sin x-sin 2x\ がy=xを最も良く近似できる}ことがわかったわけである. より複雑に近似する1つの理由は,\ 周期関数のみで表すと物理的な応用性が広がるからである. y=asin x+bsin2x+csin3x\ のように項を増やしていくとより高精度で近似できるようになる. 本問をn項にまで一般化した問題が次である.前問をn項に一般化した問題である. 展開して出てくる\ sin mxsin nxとxsin nx\ の積分計算をあらかじめ行っておくのが,\ である. m-n=0の可能性があるため,\ この場合を分けて積分計算する. x=0,\ π\ のとき,\ すべての整数kについて\ sin kx=0\ である. (整関数)(三角関数)型であるから部分積分する.\ sin²mxが偶関数であることも考慮する. cosπ=-1,\ cos2π=1,\ cos3π=-1,より,\ {cos nπ=(-1)^n}\ である. まず,\ 次の公式を用いて展開する. これを各項に代入する.\ 異なる三角関数の積の定積分はすべて0であるから無視した. 結局,\ sin²nx\ と\ xsin nx\ の項のみの定積分が残る. 後は,\ a₁,\ a₂,\ ,\ a_n\ それぞれについて平方完成すればよい.\ なお,\ {(-1)^{n+1²=1\ である. やや冗長になったので,\ 本問をΣを用いて記述してみる. 本問から,\ y=x\ を最も良く近似するのが次のような式であるとわかったわけである.  グラフによる比較   上の問題をさらに無限項にまで一般化したものが次のフーリエ級数展開である.   三角関数を無限個足し合わせることで,\ 近似ではなく完全に一致するのである. 上の問題は,\ このフーリエ級数展開のb_nを求める問題だったわけである. フーリエ級数展開における係数a_n,\ b_nの表現は,\ {三角関数の直交性}を背景としている. 異なる三角関数の内積はすべて0になるのであった. ここで,\ x=a₁cos x+a₂cos2x++b₁sin x+b₂sin2x+\ とする. このとき,\ 三角関数の直交性を利用して各係数を求めることができる. 例えば,\ 係数b₂を求めたければ,\ 両辺にsin 2xを掛けてから両辺を積分すればよい. なお,\ に\ x={π}{2}\ を代入して両辺を2で割ると,\ 他で取り上げるライプニッツ級数が得られる. さらに,\ フーリエ級数展開によれば,\ 上の問題でn→∞\ としたとき,\ I=0となるはずである. このとき,\ (最小値)=23π³-4πΣ{1}{k²}=0\ より,\ Σ{1}{k²}={\ π²}{6}\ が得られる. これは,\ ゼータ関数\ \zeta(s)=Σ{1}{n^s}\ の特殊な場合\ \zeta({2})\ である.