$-\,1≦ x≦2\ のとき,\ y=2x-3\ の値域を求めよ.$ \\
順像法と逆像法
とりあえず,\ 中学生的に求めてみる.
$y=2x-3$は傾きが正の直線で,
この問題と解答を集合の観点でとらえ直す.
まず,\ $xについての集合\ A=\{x\,|\,-1≦ x≦2\\ がある.$
集合$Aと互いの関係がy=2x-3}であるyについての集合B}$を求める問題である.
例えば,\ $Aの1つの要素x=2}に対応}するBの要素はy=1}である.$
これを,\ $「\,元x=2\,}による\,写像y=2x-3\,}の\,像(順像)はy=1\,}である」}という.$
$Aの全ての元に対応する像全体の集合が,\ B=\{y\,|\,-5≦ y≦1\$というわけである.
上では,\ 集合$A$の要素からそれに対応する集合$B$の要素を考えて値域を求めた.
このような考えで集合$B$を求める方法を順像法という.
別に目新しい手法というわけではなく,\ 今までの手法が実は順像法だっただけである.
本項では,\ 逆像法という新しい考え方を紹介する.
実は,\ 一部の問題で知らぬ間に利用してきていたのだが,\ 改めてその本質を学習する.
逆像法の核心が次である.
$Aの要素があってはじめて,\ それに対応するBの要素が存在できる.$
逆にいえば,\ $Bの要素には必ず対応するAの要素が存在するはずである.$
例えば,\ $Bの要素y=-\,5}には,\ Aの要素x=-\,1}が対応}している.$
これを,\ $「像y=-\,5}\,の\,逆像}\,は\,x=-\,1}である」}という.$
この$逆像を利用して,\ 集合Bを求めることができる.$
まず,\ $yの値を1つ決める.}$
逆像$xが存在するならば,\ そのyは集合Bの要素といえる.$
例えば,\ $y=-\,1}とする.\ このときy=2x-3より,\ x=1$である.
$x=1は-1≦ x≦2を満たすから,\ 集合Aの要素である.}$
逆像$x=1が存在するから,\ y=-\,1は集合Bの要素である.$
$x=3は-1≦ x≦2を満たさないから,\ 集合Aの要素ではない.}$
逆像$が存在しないから,\ y=3は集合Bの要素ではない.$
このように,\ $逆像が存在するか否かでyを分類していけば,\ 集合Bがわかるのである.$
しかし,\ $実数yは無限にあるので,\ 1つずつ確認するわけにはいかない.$
そこで,\ 実数$y$の値を文字$k$でおき,\ 一般化して考えることになる.
$逆像xが存在するようなkの範囲を求めれば,\ それが値域といえる.$
$k$に対応する逆像$x$が存在すれば,\ その$k$は集合$B$の要素である.
$y=k$のとき,\ $y=2x-3$より$x=k+3}{2}$である.
この$x$が$ -\,1≦k+3}{2}≦2$,\ つまり$-\,5≦ k≦1$を満たすとき,\ 逆像$x$が存在する.}
これは,\ $集合B\,(値域)が-5≦ y≦1}$であるということに他ならない.
逆像法}による解答を改めて以下に示す.
$y=2x-3を満たすxが-1≦ x≦2に存在するようなyの範囲を求める.}$
先に述べたようにy=kとおいてもよいが,\ 最終的にはkをyにして答えることになる.
であるならば,\ 最初からyのままで計算すれば済む.
yの範囲が,\ もう一方の文字xの存在を追求して求まる}という構造が重要である.
本問に限っては,\ 逆像法の必要性や有り難みは感じられない.
真に重要なのは,\ 「2つの集合の間の対応関係」が根幹を成す点である.
この視点で,\ 値域・軌跡・通過領域・変換の各問題を統一的に理解できる.
次項以降の具体的な問題で,\ これらが実質的に同じ問題であることを認識してほしい.