整数m,\ nに対して積分\ I_{m,\ n}=∫0}{2π}cos mxcos nxdx$を求めよ. $自然数nに対して積分\ J_n=∫0}{2π}(Σ kcos kx)²dx$を求めよ. [北海道大] {積和の公式}で次数を下げて積分する型である. これを一般化した問題だが,\ 角度に文字を含むときは場合分けが必要になる. つまり,\ 積分すると分母に表れるm+nとm-nが0になる場合を分けなければならない. 通常は「自然数m,\ n」だが,\ 本問は「整数m,\ n」なのでより面倒である. {m+nとm-nがそれぞれ0か否かで4つの場合に分ける}ことになる. 「自然数m,\ n」ならば常にm+n0なので,\ m-n=0の場合のみ分ければ済む. m+n=0\ かつ\ m-n0m=-n\ かつ\ -2n0m=-n0 Σの正体が不明であれば,\ とりあえず和の形で書き出す. n個の項の和の2乗になるが,\ これの展開は(a+b)²から順に考えると次のようになる. (a+b)²=a²+b²+2ab (a+b+c)²=a²+b²+c²+2(ab+bc+ca) (a+b+c+d)²=a²+b²+c²+d²+2(ab+ac+ad+bc+bd+cd) 以上から,\ {各項の2乗と互いに異なる項の積}を積分すればよいことがわかる. より,\ m,\ nを自然数に限れば,\ {m=nのときすべてπ,\ m nのときすべて0}である. 結局,\ 互いに異なる項の積の積分はすべて0になるから,\ 各項の2乗の積分だけが残る. 最後,\ 1+2++n=Σk={n(n+1)}{2}\ のようにまとめておく. 連続関数は,\ 無限個の成分をもつベクトルとみなすことができる. これは,\ 無限にある実数$x$についての$f(x)g(x)$をすべて足し合わせたものである. そして,\ この操作は積分するということに他ならない. 結局,\ 関数の内積が\ $f(x)}{g(x)}=∫-∞}{∞}f(x)g(x)dx$}\ と定義できるのである. は,\ $f(x)=cos mx,\ g(x)=cos nx\ (0 x2π)$\ の内積を計算する問題である. ${m n\ のときに内積が0$になる.\ このとき,\ ${cos mxとcos nx\ は直交する$という. $cos$同士だけでなく,\ $sin 同士や\ sin と cos$の間にも直交性が存在する. $m,\ nは自然数とする.$ 異なる三角関数の内積は\ 0 & sin3xsin2x,\ cos3xcos2x,\ sin3xcos2x 同じ三角関数の内積は\ 高校ではベクトルを向きをもつ量と学習するが,\ より一般的には{単なる数の組}ととらえられる. ベクトルをこうとらえると,\ 2次元・3次元からn次元・無限次元への拡張も不思議なものではない. sin mxやcos mxは2πの周期性をもつから,\ 積分区間は[0→2π]でも[-π→π]でも同じである. なお,\ ここでいう「直交性」は,\ グラフが直角に交わることとは別の話である. は次の計算をn個に拡張し,\ さらに関数に置き換えたものである. 異なる三角関数(ベクトル)の内積はすべて0になるから,\ 結局同じ三角関数の内積の和になる.