関数とその逆関数のグラフの共有点

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y=f(x)$とその逆関数$y=f^{-1}(x)$のグラフは,\ 直線$y=x$に関して対称である. よって,\ ${y=f(x)}$と${y=x}$の共有点ならば,\ ${y=f(x)}$と${y=f^{-1}(x)}$の共有点である. しかし,\ この逆は成り立たない(右下図). つまり,\ $y=f(x)$と$y=f^{-1}(x)$の共有点が常に$y=f(x)$と$y=x$の共有点とは限らない. 言い換えると,\ ${y=f(x)}$と${y=f^{-1}(x)}$は,\ ${y=x}$上以外にも共有点をもつ可能性がある. $y=f(x)$と$y=f^{-1}(x)$の共有点の座標は,\ 以上に注意して求めることになる. 3つの解法を示すが,\ それぞれ長所・短所があるので,\ 実際の問題で確認してほしい. ${y=f(x)}$と${y=x}$の共有点を求め,\ グラフを図示して他にもないかを確認する. $と${x=f(y)}$を連立する.} どのような場合に直線y=x上以外の共有点をもちうるかを知っておくことは重要である. y=f(x)とy=f^{-1}(x)が共有点(a,\ b)\ (a b)をもつとき,\ b=f(a)かつb=f^{-1}(a)\ が成り立つ. つまり,\ {b=f(a)かつa=f(b)}が成り立つ. これは,\ {直線y=xに関して対称な2点(a,\ b),\ (b,\ a)がy=f(x)上にある}ことを意味する. またこのとき,\ {f(x)は単調減少関数}となるはずである. \ $y=f(x)$と$y=f^{-1}(x)$のグラフの共有点の座標を求めよ.} $y=x²-1$の値域は グラフより,\ $y=x²-1$と$y={x+1}$は,\ 直線$y=x$上にただ1つの共有点をもつ.} 共有点の座標は\$   逆関数は\ の両辺を2乗して整理すると 共有点の座標は y=xと連立し,\ グラフを図示して他に共有点をもたないことを確認するのが簡潔である. グラフが単純で,\ y=x上以外の共有点をもたないことを容易に示せる場合に有効な解法である. y=x上以外の共有点をもつ場合,\ 当然y=xと連立しても求まらないことが弱点である. 別解1は,\ y=f(x)とy=f^{-1}(x)を普通に連立するものである. 発想は単純だが,\ √がある場合は次数が高い方程式となり,\ 解くのが困難になることが多い. 本問は4次方程式となるが,\ たまたま容易に因数分解できるので解くことができる. 両辺の2乗によって同値性が崩れるので,\ 求まった解が元の方程式を満たすかを確認する必要がある. 問題から,\ そもそもx0であることにも注意する. 別解2では,\ y=f^{-1}(x)が要はx=f(y)であることに着目し,\ x=f(y)と連立している. やや高度だが,\ {逆関数y=f^{-1}(x)を求める必要がなく,\ 対称性も利用できる本質的な解法}である. 対称な2式の連立では,\ {和と差で組み合わせる}のが基本であった. ただし,\ 本問は差からx=yが導かれるので,\ それと元のを連立すれば済む. \$のグラフの共有点の座標を求めよ. の値域は y={1-x}は単調減少関数であるから,\ 直線y=x上以外の共有点をもつ可能性が否定できない. よって,\ y=xと連立する解法をとるべきではない.\ 一応,\ グラフも示しておいた. 本問の場合は,\ グラフから明らかに点(0,\ 1),\ (1,\ 0)も共有点にもつとしてよいかもしれない. 前問のように,\ 上に凸と下に凸の関数ならば,\ 共有点の個数はグラフから明らかである. しかし,\ 上に凸同士または下に凸同士の関数の場合,\ 共有点の個数や位置は明確に判断しにくい. 一番最初に示したような複雑なグラフならなおさらである. よって,\ 図から明らかとすると論理的な不備を生じる可能性がある. ゆえに,\ 単調減少関数とその逆関数の共有点は,\ 数式的に求めることが推奨される. 常にy²0より自動的に1-x0であるから,\ 1-x0を付け加える必要はない.