1次分数関数とその逆関数が一致する条件

関数$f(x)={ax+b}{cx+d}\ (c0,\ ad-bc0)$の逆関数$f^{-1}(x)$が$f(x)$と一致するための 条件を求めよ. 1次分数関数とその逆関数が一致する条件 $y={ax+b}{cx+d}={ ac(cx+d)+b-{ad}{c{cx+d}= ac+{b-{ad}{c{cx+d}$\ より  値域は$y ac}$ 分母をはらうと$(cx+d)y=(ax+b)$   整理すると$(cy-a)x=-dy+b$ $y ac$より$cy-a0}$であるから $x={dy-b}{-cy+a}$ よって,\ $y={ax+b}{cx+d}$の逆関数は $y=f^{-1}(x)={dx-b}{-cx+a$ $f(x)=f^{-1}(x)$のとき ${ax+b}{cx+d}={dx-b}{-cx+a$ 分母をはらうと $(ax+b)(-cx+a)=(dx-b)(cx+d)}$ 整理すると   $-acx²+(a²-bc)x+ab=cdx²+(d²-bc)x-bd$ 係数比較すると $-ac=cd$かつ$a²-bc=d²-bc$かつ$ab=-bd$ $c0$より   $a+d=0}$かつ$(a-d)(a+d)=0}$かつ$b(a+d)=0}$ このとき,\ $f(x)$の定義域$x- dc$と$f^{-1}(x)$の定義域$x ac$は一致する.} $$ 求める条件は ${a+d=0}$} [定義域が一致することを利用] $f(x)={ax+b}{cx+d}$の定義域は $x- dc}$ $f^{-1}(x)={dx-b}{-cx+a}$の定義域は $x ac}$ 定義域が一致するための必要条件は $- dc= ac}$   つまり$-d=a}(a+d=0})$ このとき,\ $f^{-1}(x)}={d}x-b}{-cx+a={-a}x-b}{-cx-d={ax+b}{cx+d}=f(x)}$となる. $$ 求める条件は ${a+d=0}$} まず,\ なぜc0,\ ad-bc0という条件があるのかを確認しておく. c=0のときy={ax+b}{d}\ (ad0)となるから,\ 軸と平行でない直線である(分数関数ではない). ad-bc=0,\ つまりb-{ad}{c}=0のとき,\ y= ac+{b-{ad}{c{cx+d}= ac\ (定数関数)となる. 定数関数は1対1の関数ではないから,\ 逆関数は存在しない. つまり,\ {ad-bc0は1次分数関数の逆関数が存在するための条件}である. 逆関数は,\ x=にしてからxとyを入れ替えて求めるのであった. x=にするときに両辺をcy-aで割る必要が生じるが,\ これは値域から0とわかる. 1次分数関数の値域は,\ 基本形y={k}{x-p}+q\ に変形したとき,\ y qである. ところで,\ x={-dy+b}{cx-a}\ ではなく\ x={dy-b}{-cx+a}\ としたのには理由がある. 実は,\ 1次分数関数y={ax+b}{cx+d}\ は,\ 行列A=\gyouretu{a}{b}{c}{d}に対応している(高校範囲外). 逆行列はA^{-1}={1}{\Deruta}\gyouretu[r]{d}{-b}{-c}{a}であり,\ これと対応するように符号を調整したわけである. 逆行列の存在条件は\ \Deruta=ad-bc0であり,\ 1次分数関数の逆関数の存在条件と一致する. また,\ 行列において,\ ad-bcとa+dはそれぞれ行列式,\ トレースと呼ばれ,\ 特別な意味をもつ. 高校数学の所々でad-bcやa+dを見かけるが,\ 大抵は行列が背景にある. 例えば,\ 3頂点(0,\ 0),\ (a,\ b),\ (c,\ d)の三角形の面積は\ 12ad-bc}\ となるのであった. 一般に,\ 関数の一致条件は,\ {定義域が一致してかつその定義域内で恒等式となる}ことである. 式が同じでも定義域の一致を要する.\ 例えば,\ y=x²\ (x0)とy=x²\ (x0)は別物である. 注意すべきは,\ {恒等式となるための条件だからといって安易に係数比較してはならない}ことである. つまり,\ {ax+b}{cx+d}={px+q}{rx+s}\ が恒等式だからといってa=p,\ b=q,\ c=r,\ d=s\ とは限らない. これは,\ {2x-1}{3x+2}={4x-2}{6x+4}\ のような場合がありえるからである. 結論から言えばa=kp,\ b=kq,\ c=kr,\ d=ks\ (k0)が一致の条件だが,\ 無断使用はできない. 結局,\ {一旦分母をはらって多項式の恒等式に帰着させ,\ 係数比較する}のが安全かつ確実である. c0なので両辺をcで割ることができ,\ -ac=ad-a=d\ となる. このとき,\ 他の2式も満たす.\ 最後,\ 定義域が一致することを確認して完了する. 本問の結果a+d=0は覚えておくとよい. 別解は,\ {定義域が一致することが必要条件である}ことを利用した解法である. このときf^{-1}(x)=f(x)となるから,\ 十分条件でもあることがわかる. 1次分数関数の場合には非常に強力な解法である. 逆関数y=f^{-1}(x)のグラフは,\ y=f(x)のグラフと直線y=xに関して対称になるのであった. よって,\ {f(x)とf^{-1}(x)の一致条件は,\ 図形的には直線y=xに関して対称}になることである. c0という条件がない場合,\ つまりc=0のときに一致する条件も考えてみよう. ad0のとき\ x={dy-b}{a}\ より y=f^{-1}(x)={dx-b}{a} これとf(x)={ax+b}{d}\ が一致するための条件は,\ ad= daかつ bd=- ba\ である. つまり (a+d)(a-d)=0かつb(a+d)=0 a+d=0のとき,\ 当然2式は成り立つ. このときy=-x- ba\ であり,\ 図形的にはy=xと垂直な直線となる(y=xに関して対称). あるいは,\ a=dかつb=0の場合も2式は成り立つ.\ このとき,\ y=xそのものとなる. 結局,\ c=0でもc0でも,\ a+d=0ならばf(x)とf^{-1}(x)は一致することがわかる. 以上から,\ ad-bc0のときにf(x)とf^{-1}(x)が一致する条件は以下のようにまとめられる. (c0\ かつ\ a+d=0)\ または\ (c=0\ かつ\ a+d=0)\ または\ (c=0\ かつ\ a=d\ かつ\ b=0) \ {a+d=0または(a=dかつb=c=0)}
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