不等式の証明④:exに関する不等式と関数の強さ比較

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x>0のとき,\ e^x>1+x+{x²}{2}\ が成り立つことを示せ.$ $lim[x→∞]{x}{e^x}\ を求めよ.$   e^xのマクローリン展開式(大学で学習)は e^x=1+{x}{1!}+{x²}{2!}+{x³}{3!}+ x>0のときは各項が正なので,\ これを途中で打ち切った式はe^xよりも小さいはずである. 本問の不等式はこのような観点で導かれたものである. 証明は基本的な手法で容易にできる. ただし,\ 1階微分では符号が識別できないので2階微分が必要になる. f”(x)>0とf'(0)=0からf'(x)>0がわかり,\ さらにf(0)=0からf(x)>0が示される. の極限は,\ の不等式を利用してはさみうちの原理にもちこむパターンである. e^x>{x²}{2}\ の逆数をとると {1}{e^x}<{2}{x²}   両辺にx(>0)\ を掛けると {x}{e^x}<2x 1+x+{x²}{2}\ から\ {x²}{2}\ のみを取り出したのを不自然に感じただろうか.\ lim[x→∞]{x}{e^x}=0\ と予想される. 0<{e^x}{x}\ は明らかなので,\ 後は極限が0になる関数で上から\ {x}{e^x}<2x\ などとはさめばよい. これは\ e^x>12x²\ を示すことと同値である. つまり,\ 不等式からたまたまはさめたのではなく,\ はさむためにまず不等式を証明したのである. もっとも,\ の不等式をそのまま使っても問題はない. {1}{e^x}<{1}{1+x+{x²}{2 より {x}{e^x}<{x}{1+x+{x²}{2(x>0) lim[x→∞]{x}{1+x+{x²}{2=lim[x→∞]{1x}1}{x²}+1x+12}=0(不定形なので分母分子を分母の最高次x²で割る) $nを0以上の整数とする.$ 数学的帰納法$          $f’_{k+1}(x)>0}\ より,\ f_{k+1}(x)\ はx>0において単調増加関数}である.$       さらに\ $f_{k+1}(0)=0}\ より,\ f_{k+1}(0)>0}\ (x>0)\ が成立する.$ ,\ より,\ {0以上の全ての整数nについて与不等式が成立する.}$} はさみうちの原理}より  前問を一般化した問題であり,\ 数学的帰納法を用いる以外はほぼ同様である. n=1からではなくn=0からの数学的帰納法であることに注意する. 絶対必要ではないが,\ 下線部を記述しておくと目標が明確になり,\ 部分点を稼ぎやすくなる. 前問と同様に微分して示す.\ {f_{k+1}(x)を微分すると仮定したf_k(x)が現れる}ことがポイントになる. も前問と同様の発想で求められる. {x}{e^x}\ のとき\ {x²}{2}\ を用いたので,\ {x^n}{e^x}\ ならば\ {x^{n+1{(n+1)!}\ を用いればよい. で示したのは\ e^x>1+{x}{1!}++{x^n}{n!}\ だが,\ これは0以上の全ての整数nについて成立する. よって,\ e^x>1+{x}{1!}++{x^{n+1{(n+1)!}\ も成り立つといえ,\ これを利用することになる.   指数関数・整関数・対数関数の強さ比較    ${lim[x→∞]{x^n}{e^x}=0\ は,\ {e^x\ がx^n\ よりも圧倒的に速く発散することを意味している.$    $x^{1000}だろうがx^{10000}だろうがe^xのほうが速く発散するわけである.$    $lim[x→∞]{x^n}{e^x}=0\ を利用して整関数と対数関数の発散の速さも比較できる.$ [1zh    $これは,\ {xがlog xよりも圧倒的に速く発散することを意味している.$    $結局,\ x→\ ∞$の世界での強さは\ ${(指数関数)\gg(整関数)\gg(対数関数)$\ となる.    $さらに,\ lim[x→∞]{(log x)^n}{x}=0\ を利用して次の極限も示される.$ 特に,\ n=1のときの\ lim[x→∞]{x}{e^x}=0,lim[x→∞]{log x}{x}=0,limx→+0}xlog x=0\ が重要である. この流れの証明の仕方をおさえておいてほしい.