希薄溶液の性質② 冷却曲線と凝固点降下度Δt=Km

depression-freezing-point
凝固点降下{${Δ t}$}  \ 不揮発性の物質が溶けた溶液の凝固点は純溶媒より低くなる. 凝固点降下度${Δ t}$ 純溶媒の凝固点と溶液の凝固点の差.  非電解質の希薄溶液では,\ 溶質の種類に関係なく},\ ${Δt}$は溶液の質量モル濃度${m}$に比例する. モル凝固点降下と 0℃(凝固点)の水(純溶媒)では,\ (凝固する分子数)=(融解する分子数)が成立している. しかし,\ 不純物(溶質)があると,\ 同じ0℃で(凝固する分子数)(融解する分子数)となってしまう. 溶質に妨げられて液体の水がスムーズに凝固できないイメージである. よって,\ (凝固する分子数)=(融解する分子数)が成立するにはさらなる低温が必要になるのである. 凝固点降下度の式は,\ 沸点上昇度の式と形も意味も全く同じである. K_{\text f}のf}は,\ 凝固点freezing point}を意味している. 純溶媒と溶液の冷却曲線}凝固開始点} {(5.7,5.9)}[sw]{凝固終了点} {(0,3.13)}[w]{溶液の凝固点} {(0,6)}[w]{純溶媒の凝固点} {(\xmax,-0.1)}[sw]{冷却時間 {(0,\ymax)}[sw]{温度 {(0,4.65)}[w]{凝固点降下度} {(-.6,4.35)}[w]{${Δ t}$} {(4.5,6.15)}[n]{純溶媒の冷却曲線 {(4.5,3)}[n]{溶液の冷却曲線} 液体が凝固点に達しても直ちに凝固は始まらず,\ 更なる温度低下が続く.   {A→B} \ この状態を過冷却という.   B→C 凝固が始まると,\ 凝固熱が一気に放出されて温度が上がる.   C→D 冷却による吸熱と凝固による発熱がつり合って一定温度を保つ.  過冷却しないと仮定したときに凝固が始まるはずの点Aが凝固点である.   D→  溶媒の凝固が終わると凝固熱が発生しなくなるので,\ 再び温度が低下し出す. 溶液では溶媒のみが凝固していくので,\ 残りの溶液の濃度が上昇していく.   凝固点降下度が濃度に比例して大きくなり,\ 温度は減少していく.   過冷却しないと仮定したときに凝固が始まるはずの 凝固するには,\ 分子が規則正しく配列する必要がある. しかし,\ 冷却速度が速すぎたりする場合,\ この配列が間に合わずに固体になれないまま温度が下がる. 過冷却しないと仮定すると,\ 直線CD},\ C}’D}’の延長線上の点A,\ A}’で凝固が始まるはずである. この点の温度が真の凝固点であり,\ その差が凝固点降下度である. 水100gに非電解質Aを6.84g溶かした水溶液の凝固点を測定したところ,\ $-0.37$℃ であった.\ Aの分子量を整数値で答えよ.\ 水のモル凝固点降下を1.85K・kg/molとする. 質量モル濃度から凝固点降下度が求まるが,\ 逆に{凝固点降下度を測定して分子量を決定}できる. 凝固点降下度は0.37K}であるから,\ 分子量をMとおいてΔt=Kmを立式し,\ 逆算すればよい. 硫酸ナトリウム十水和物16.1gを水100gに溶かした水溶液の凝固点を小数第2位ま で求めよ.\ ただし,\ 水のモル凝固点降下を1.85K・kg/mol,\ 硫酸ナトリウムは完全に電 離するものとする. ${Na2SO₄}=142,H₂O=18$ {Na2SO₄}・{10H₂O}を水に溶かすと,\ Na2SO₄}が溶質になり,\ {10H₂O}は溶媒の扱い}になる. つまり,\ {Na2SO₄}・{10H₂O}=322のうちの\ {Na2SO₄}=142が溶質,\ {10H₂O}=180が溶媒となる. これを考慮して{Na2SO₄}・{10H₂O}16.1g}中の{Na2SO₄}とH₂Oの質量が求まる. 結局,\ 水溶液中の溶質の物質量は{7.10g{142g/mol,\ 溶媒の質量は\ 100+9=109g}={109}{1000}kg}\ となる. さらに,\ Na2SO₄ 2Na+ + SO₄²-}\ と電離}することも忘れずに考慮して凝固点降下度が求まる. 100gの水に塩化カルシウムを2.22g溶かした水溶液の凝固点は$-1.0$℃であった. 水溶液中の塩化カルシウムの電離度$α$を求めよ.\ モル凝固点降下を1.85K・kg/molと する. ${CaCl₂}=111$   質量モル濃度を$m$[mol/kg]\ とする. 100\%電離するとはいえないから,\ 単純に3としてはいけない. 一部が電離して{Ca²+},\ {Cl-}となり,\ 一部は{CaCl₂}のまま残っている. 質量モル濃度を文字でおいて表を作成し,\ {電離後の全濃度を求める.} 後はΔt=Kmに代入すればよい. このように,\ 凝固点降下度を測定して電離度を決定できるわけである. 酢酸はベンゼン中で一部が二量体を形成する.\ 100gのベンゼンに酢酸を1.2g溶かし た溶液の凝固点が4.9℃であるとき,\ ベンゼン中の酢酸の会合度$β$を求めよ.\ ただし,\ ベンゼンの凝固点を5.5℃,\ モル凝固点降下を5.12K・kg/molとする.$CH₃COOH=60$   質量モル濃度を$m$[mol/kg]とする. 複数の分子が1個の分子のように振る舞う現象を{会合},\ その割合を{会合度}という. また,\ 二分子が会合してできる物質を{二量体}という. ベンゼン中の酢酸は水素結合によって一部が二量体を形成する. 電離の場合とは逆に,\ {会合すると逆に濃度が減少する}ので,\ この影響を考慮する必要がある. 電離度の場合と同様に表を作成して{会合後の全濃度を求め},\ Δt=Kmに代入すればよい.
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