食酢中の酢酸のモル濃度と質量パーセント濃度

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aceticacid-concentration
市販の食酢中の酢酸の濃度を調べるために次の実験を行った. (操作1)ある質量のシュウ酸二水和物の結晶${H₂C2O4}{2H₂O}$を水に溶かして, {(操作1)}0.050mol/Lのシュウ酸標準溶液100mLを調製した. (操作2)操作1の標準溶液10mLを濃度未知の水酸化ナトリウム水溶液で滴定した {(操作2)}ところ,\ 終点までに11.3mLを要した. (操作3)食酢を水で10倍に薄めた水溶液10mLを操作2の水酸化ナトリウム水溶液 {(操作3)}で滴定したところ,\ 終点までに8.2mLを要した.  操作1で必要なシュウ酸二水和物の結晶は何gか.  ${H₂C2O4}{2H₂O}=126$  操作2の水酸化ナトリウム水溶液のモル濃度を求めよ.  食酢中の酸はすべて酢酸であるとして,\ その酢酸のモル濃度を求めよ.  食酢の密度を1.05g/cm$³$とするとき,\ 食酢中の酢酸の質量パーセント濃度を $CH₃COOH=60$  1Lの食酢の質量は $1.05g/cm³1000cm³=1050$ g { }1Lの食酢に含まれる酢酸の質量は  「食酢中の酢酸の濃度」は,\ 中和滴定の中でトップクラスの出題率を誇るパターンである. 計算が適度な難易度で,\ 実験理由・実験器具・指示薬などについて総合的に問えるからである. 最初から酢酸を{NaOH}水溶液で滴定すればよさそうだが,\ 何故操作1と操作2を行うのだろうか. {NaOH}(固体)は{潮解性(空気中の水分を吸収)}をもつ.\ {空気中の二酸化炭素を吸収する}性質ももつ. よって,\ 質量を正確に量ることが難しく,\ 正確な濃度の{NaOH}水溶液を作ることが困難である. 一方,\ シュウ酸二水和物は純度が高く安定した固体なので,\ 正確な濃度の水溶液が調製できる. %.\ 潮解性・風解性がない.\ 溶質が揮発せず,\ 空気中の水分も吸収しない. そこで,\ まずシュウ酸を調製し,\ このシュウ酸で中和滴定して{NaOH}水溶液のモル濃度を決定する. こうしてモル濃度が判明した{NaOH}水溶液を用いて酢酸の滴定を行い,\ 酢酸のモル濃度を決定する. なお,\ 正確な濃度がわかっている酸や塩基の水溶液を{標準溶液}という. シュウ酸を{一次標準溶液},\ {NaOH}水溶液を{二次標準溶液}という. %{HCl}は揮発性がある.\ {H₂SO₄}は吸湿性があるので空気中の水分を吸収して濃度が変化しやすい. シュウ酸と酢酸は{弱酸},\ {NaOH}は{強塩基}であるから,\ 滴定曲線は塩基性側に片寄る. よって,\ 二度の中和滴定における指示薬はいずれも{フェノールフタレイン}が適切である. 水溶液の調製では,\ 水は後からちょうど100mL}になるよう加えればよいのであった. よって,\ 必要な{溶}質}の物質量}(mol})を考えることになる. 0.05mol/L}を100mL}作るから,\ 必要な溶質(シュウ酸二水和物)は\ 0.05{100}{1000}mol}である. 後は物質量(mol})を質量に換算すればよい.\ 有効数字は0.050に合わせて2桁とする. 単純な中和滴定の計算であり,\ 公式\ acV=bc’V’\ が使える.\ シュウ酸は{2価の酸}なので注意. 同じく単純な中和滴定の計算だが,\ 実験で使用した溶液は食酢を10倍に薄めたものである. 題意は元の食酢中の酢酸のモル濃度であるから,\ {実験結果を10倍}にして答える. 質量パーセント濃度は,\ 溶質の質量\ g}{溶液の質量\ g}100}\ である.\ {1Lを基準}にして考える. 1L}=1000cm³より,\ 1L}の溶液(食酢)の質量は1050g}である. また,\ より1L}の溶液(食酢)中の溶質(酢酸)の物質量は\ {8.2}{11.3}(0.73)mol}である. 誤差を少なくするため,\ 0.73ではなく分数の形にしておく. これにモル質量60g/mol}を掛けると溶質(酢酸)の質量が求まる.\ まだ計算は実行しない. 質量パーセント濃度を求める式を立てた後,\ 一気に計算する. このとき,\ 先に約分とすべての積の計算を行い,\ 割り算は最後の1回にすると誤差が少なくなる.