逆滴定(アンモニアNH₃の定量、二酸化炭素CO₂の定量)

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back-titration
ある量のアンモニアを0.50mol/Lの硫酸100mLに完全に吸収させた後,\ メチルオレ ンジを指示薬にして0.40mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液で滴定したところ,\ 滴定量 は200mLであった.\ 吸収させたアンモニアの体積は標準状態で何Lか. 通常,\ 中和滴定は反応しやすい液体同士で行われる. {気体や固体を滴定}するときは{逆滴定}という方法が用いられる. 今,\ 物質量が未知の塩基性気体NH₃がある(). まず,\ {過剰の硫酸にすべてのNH₃を完全に吸収(中和)させる}(). 1回目の中和反応 {2NH₃ + H₂SO₄ (NH₄)2SO₄} {NH₃と中和せずに余った硫酸の物質量を{NaOH}水溶液の滴定で決定する}(). 2回目の中和反応 {H₂SO₄ + 2NaOH Na2SO₄ + 2H₂O} 結局は中和であるから,\ {({H+}のmol)=({OH-}のmol)}\ という根幹に変わりはない. よって,\ {余った硫酸の物質量(mol)から最初のNH₃の物質量を逆算できる}わけである. 通常塩基は酸で滴定するが,\ 最終的に塩基で滴定することになるため{逆滴定}という. {H₂SO₄}と{NaOH}が出す{H+}と{OH-}の物質量は,\ 単純に\ (価数)(モル濃度)(体積)\ で求まる. {硫酸が2価の酸}であることに注意してNH₃の物質量を求め,\ 体積に換算すればよい. {Na2SO₄}は強酸と強塩基の正塩だが,\ 混在する(NH₄)2SO₄}は強酸と弱塩基からなる正塩}である. 最終的な中和点が酸性側に片寄るため,\ {フェノールフタレインを指示薬として用いることはできない.} 標準状態で10Lの空気を採取し,\ 0.050mol/Lの水酸化バリウム水溶液200mLに通じ て,\ 採取した空気中の二酸化炭素を完全に吸収させた.\ 十分時間が経過した後,\ 上澄み 液20mLをとり,\ 0.010mol/Lの塩酸で滴定したところ,\ 滴定量は19.6mLであった. 最初の空気中の二酸化炭素の体積パーセントを求めよ.  上澄み液20mL中の二酸化炭素の物質量を$x$[mol]とする.  溶液200mL中に含まれている二酸化炭素の標準状態における体積は \ 今,\ 物質量が未知のCO₂がある(). まず,\ 過剰の水酸化バリウム水溶液にすべてのCO₂を完全に吸収させる(). 1回目の中和反応 {CO₂ + Ba(OH)₂ BaCO₃ v + H₂O} 二酸化炭素は水と反応して炭酸になる. {CO₂ + H₂O H₂CO₃} その後,\ {H₂CO₃ + Ba(OH)₂ BaCO₃ v + 2H₂O}\ のように中和すると考えればよい. CO₂と中和せずに余った水酸化バリウム水溶液の物質量を塩酸の滴定で決定する(). 炭酸バリウム{BaCO₃}は沈殿するから,\ 上澄み液を取り出してを滴定するのが普通である. 2回目の中和反応 {Ba(OH)₂ + 2HCl BaCl₂ + 2H₂O} 当然,\ {({H+}のmol)=({OH-}のmol)}\ を立式する. つまり,\ {(CO₂の{H+}のmol)+({HCl}の{H+}のmol)=({Ba(OH)₂}の{OH-}のmol)}\ である. 今回は上澄み液を取り出して滴定しているから,\ {Ba(OH)₂}の体積が20mL}であることに注意する. また,\ {CO₂(炭酸{H₂CO₃})は2価の酸}\ なので,\ {CO₂1molは{H+}を2mol放出する}ことに注意する. {Ba(OH)₂}は当然2価の塩基である. こうして求まるCO₂の物質量はあくまで上澄み液20mL}中に含まれている分である. よって,\ {200mL中には10倍のCO₂が含まれている}ことに注意して体積に換算する. 結局,\ 空気10L}のうちCO₂は0.00448L}であったとわかる.