(2)で「エタンの生成熱をQとする」とありますが、燃焼熱の誤りですm(_ _)m
反応熱の総和は, 反応前後の物質の種類と状態のみで決まり, 変化の経路にはよらない 下のエネルギー図の熱量のうち,\ $Q$({CO}の生成熱)は実験で測定することが困難である. {C}(黒鉛)を燃焼させると,\ {CO}と同時にCO₂も生じてしまうからである. 一方で{C}や{CO}からCO₂が生じるときの燃焼熱は実験で正確に測定できる. そこで,\ ヘスの法則に基づき,\ ${Q=394-283=111$kJ\ と計算で求めることになる. エネルギー図はわかりやすいが書くのが面倒であることが多い. 未知の反応熱は熱化学方程式を数学の連立方程式と同様に扱って求める. 熱化学方程式はエネルギーに関する等式であるから,\ 数学の方程式と同じような変形が可能である. つまり,\ 両辺を何倍かしたり,\ 移項したり,\ 複数の式を足した引いたりできる. このことを利用すると,\ 数学の連立方程式と同様の手法で未知の反応熱を求めることができる. まず,\ 判明済みの反応熱を熱化学方程式で表す(,\ ). 次に,\ 未知の反応熱をQ[kJ/mol]}として最終目標の熱化学方程式を作成する(). メタンCH₄,\ 炭素,\ 水素の燃焼熱は891kJ/mol,\ 394kJ/mol,\ 286kJ/molである. メタンの生成熱を整数値で答えよ. 一酸化炭素,\ 水素の燃焼熱は283kJ/mol,\ 286kJ/mol,\ 一酸化炭素,\ エタン{C₂H₆} の生成熱は111kJ/mol,\ 85kJ/molである.\ エタンの燃焼熱を整数値で答えよ. %[立命館大] 次の熱化学方程式からエチレン{C2H4}の燃焼熱を求め,\ 整数値で答えよ. ${2C(黒鉛) + 2H₂(気) = C2H4(気)}-52$kJ ${C(黒鉛) + O₂(気) = CO₂(気)}+394$kJ $H₂(気)+12O₂(気)=H₂O(液)+286$kJ CH₄}(気)} + {2O₂}(気) = CO₂(気) + {2}H₂O(液) + 891kJ {C}(黒鉛)} + {O₂(気)} = CO₂(気) + 394kJ H₂(気)} + 12O₂(気) = H₂O(液) + 286kJ メタンの生成熱を$Q$とすると ${C(黒鉛) + {2}{H₂(気) = CH₄(気)} + QkJ} $ ,\ ,\ からを作ることを考える.\ このとき,\ {1つの式にしかない物質に着目}するとよい. の右}辺にはCH₄(気)がある.\ これはの左辺にしかないので「{-}」をするしかない. 複数の熱化学方程式にまたがっている物質CO₂,\ H₂O,\ O₂は自動的に消去されるから無視してよい. 実際には反応熱のみを計算すればよい. {CO(気)+12O₂(気)=CO₂(気)}+283\ {H₂(気)}+12O₂(気)=H₂O(液)}+286k₀ {C(黒鉛)}+12O₂(気)={CO}(気)+111kJ}\ {2C(黒鉛)+{3H₂}(気)={C₂H₆}(気)}+85kJ} エタンの生成熱を$Q$とすると 2CO₂}(気)}+{3H₂O}(液)}+QkJ} $} すべての熱化学方程式を作成し,\ 1つの式にしかない物質に着目してを作ることを考える. CO₂,\ H₂O,\ {C₂H₆}はそれぞれ,\ ,\ にしかない. よって,\ 「{+2}」,\ 「{+3}」,\ 「{-}」とすればよいことがわかる. ここで,\ ,\ ,\ にはCO}と{C}も1つしかなく,\ この3式だけではうまく消えない.} そこで,\ を用いて{CO}と{C}を消去しなければならない. {C₂H₆}+{2CO}+52O₂={2C}+{2CO₂}+{3H₂O}+1339kJ} ⑥ 後はと⑥からを作ることを考える.\ 各式を見比べると「{⑥+2}」とすればよいとがわかる. すべての物質の生成熱が判明時にのみ適用可能な便利公式(反応熱)=(右辺の生成熱の総和)-(左辺の生成熱の総和)}$ エチレンの燃焼熱を$Q$とすると ${C2H4(気)+{3O₂}(気)={2CO₂}(気)}+{2H₂O}(液)}+QkJ}$} もちろん,\ やと同様に考えて求めることも可能である. ここでは全ての物質の生成熱が与えられた場合にのみ使用可能な公式を使えるようにしておこう. 最も重要なポイントは,\ {問題の熱化学方程式をみてすべてが生成熱であることを見抜けるか}である. 見抜くことさえできれば公式を適用するだけである.