微分方程式は高校数学では発展扱いですが、上級者は大学入試では変数分離形は誘導なしで出題されうると考えておいたほうがよいです。

未知の関数${y}$とその導関数$dy}{dx},\ {d²y}{dx²},}$を含む等式を微分方程式という.  その微分方程式を満たす関数を解,\ 解を求めることを解くという.  微分方程式に含まれる導関数の最高次数を階数という.  例えば,${dy}{dx}=x$は1階微分方程式,${d²y}{dx²}+{dy}{dx}=x$は2階微分方程式である.  すべての解を一般的に表すものを一般解という.\ 通常,\ 階数と同じ数の任意定数が含まれる.  初期条件を与えて任意定数を定めた解を特殊解という.  本項では,\ 最も簡単な直接積分形と次に簡単な変数分離形を学習する.  とはいっても,\ 次に示す通り,\ 直接積分形は気付かぬうちに学習済みのはずである.  直接積分形\ $dy}{dx}=f(x)}$  $y’=2x$の解は\ $y=∫2xdx=x²+C\ (C:任意定数)$  さて,\ 真に重要なのは,\ 大学入試で頻出する変数分離形の微分方程式である.  変数分離形\ $dy}{dx}=f(x)g(y)}$  変数分離形は,\ 左辺と右辺に変数${x,\ y}$を分離できる型で,\ 分離後に両辺を積分する 場合分けなど細かい注意点が複数あるので,\ 以下の問題で確認してほしい.  y{dy}{dx}=x-1 → ydy=(x-1)dx → 両辺を積分(不定積分なので{積分定数Cを加える})  Cを両辺に加える必要はない.( )+C₁=( )+C₂\ と( )=( )+Cは同じ(C=C₂-C₁).  分母をはらうと(x-1)²-y²=-2Cとできるが,\ {-2Cを改めてAとおいて簡潔な形にする.}  積分定数Cは任意定数(すべての定数)なので,\ Aも任意定数である. 変数分離するためには両辺をyで割る必要があるので,\ {y=0とy0の場合分け}を要する.  y=0のとき{dy}{dx}=0であるから,\ 明らかに与えられた微分方程式を満たす.  y0のとき,\ 変数分離して両辺を積分する.\ 1yを積分すると{絶対値がつく}ことに注意する.  {絶対値をはずすとがつく.}e^{2x+C}からはe^Cが分離でき,\ {e^Cは定数なので改めてAとおく.}  常にe^C>0であるから,\ {A=e^C0}である.  さらに,\ {A=0のときy=Ae^{2x}=0}となることを考慮すると,\ とをまとめることができる.  本問の形(y’=ay)の微分方程式が変数分離形で最も重要な型であり,\ その解はy=Ae^{ax}\ となる. 両辺をxで割ることになるので,\ x0の確認も必要である.  x=0のとき(右辺)=y=0となるから,\ y0ならばx0である.  log をはずすためには,\ 右辺を1つのlogにしなければならない.  対数の性質\ log M+log N=log MN\ より log x+C=log x+log e^C=log xe^C  よって,\  y=e^C xとなる.\ 以下のようにして,\ {両辺の絶対値も一方にをつけてはずせる.}  絶対値は2乗ではずせるから  x= yx²=y²(x+y)(x-y)=0x=y  以下のように,\ Cだけ残してlogを合体していく方法もある. y²-y=y(y-1)=0,\ つまりy=0,\ 1の場合を分ける必要がある.  分母が因数分解できる場合,\ {部分分数分解}してから積分するのであった.  {y-1}{y}=Ae^x → y-1=Ae^xy → (1-Ae^x)y=1 → y={1}{1-Ae^x}  A=0のときy={1}{1-Ae^x}=1より,\ y=1はまとめられるが,\ y=0はまとめることができない. {積分区間に変数xを含むタイプの積分方程式}である.  この型は,\ {両辺をxで微分する}のが基本であった.{d}{dx}∫a}{x}f(t)dt=f(x)\ を利用するためである.  多くは直接積分形の微分方程式になるが,\ 中には変数分離形に帰着するものもある.  両辺をxで微分した後,\ f(x)をyとおいてわかりやすい形に書き換えるとよい.  logy+2}=12x²+C y+2}=e^{1/2x²+C} y+2=e^Ce^{1/2x²} y=e^Ce^{1/2x²}-2  変数型積分方程式では,\ {両辺のxに定積分が0になる値を代入する}必要もあった.  本問の場合,\ x=0を代入するとf(0)=0が導かれる.\ これが微分方程式における{初期条件}となる.  一般に,\ 微分すると定数分の情報が失われるので,\ 初期条件があってはじめて必要十分条件になる.  最後に初期条件から特殊解を求めて完了である. 第1象限にある曲線$C$上の任意の点Pにおける接線は,\ 常に$x$軸,\ $y$軸の正の部分と  点Q,\ Rで交わり,\ 点Pが線分QRの中点となる.\ 曲線$C$が点(4,\ 2)を通るとき,  曲線$C$の方程式を求めよ.  点Pの座標を$(x,\ y)$とすると 接線の方程式は $Y=y'(X-x)+y}$  $y’0$より $x$軸との交点は\ $(x-{y}{y’}\ ,0)$, $y$軸との交点は\ $(0,\ y-xy’)$  2つの交点の中点は $({x-{y}{y'{2},\ {y-xy’}{2})$  点Pが中点であるから $x={x-{y}{y'{2},y={y-xy’}{2}$ [-9zh] 曲線C上の点P}(x,\ y)が満たすべき条件を立式すると,\ それが曲線Cの方程式である.  軌跡を求めるときと同様の考え方である.  まず,\ 接点P}における接線の方程式を求める必要がある.  点 Pの座標を(x,\ y)としたので,\ 接線の方程式はX,\ Yを用いて表した.  点 P(x,\ y)における傾きは,\ y’に(x,\ y)を代入したものであるから,\ それはy’ということである.  y’=0のとき,\ 接線がx軸と平行になって問題の条件を満たさない.\ よって,\ y’0である.  y=0,\ x=0としてx軸,\ y軸との交点が求まり,\ 2交点を足して2で割ると中点の座標も求まる.  (中点)=(点 P)の等式を作成すると,\ これが変数分離形の微分方程式である.  2つの等式(微分方程式)ができるが,\ 整理すると同じ等式であることがわかる.  後は解を求めるだけである.\ x>0,\ y>0より,\ 場合分けをしたり絶対値をつけたりする必要はない.  log y=-log x+C log y+log x=C log xy=C xy=e^C  初期条件(4,\ 2)を代入し,\ 任意定数を定めて完了である. 
  
  
  
  