2変数不等式の証明5つの発想

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2変数不等式の証明は,\ 様々な解法が考えられる.\ どの解法が優位ということはない. いずれの発想も重要であり,\ 解法のストックとしてもっておきたい. [比を置換して1変数関数に帰着させる] 本問の式の形は,\ 最初からあからさまに{比の置換を示唆する式}であるから,\ この解法は自然である. しかし,\ 一見しただけではこの解法がとれるかがわからないこともある. 例えば,\ 本問も\ 1b<{log b-log a}{b-a}<1a\ という形で出題されうる. {2変数が互いに対等}なときは,\ 適切な変形によって比で表せないかを考えてみよう. 一般に,\ 文字を置換するときは{置換後の文字の範囲を確認}する必要がある. 本問では元々a0)で割ることで,\ 1< ba=t\ であることがわかる. 後は微分で証明する.\ t>1より単調増加が示せ,\ かつf=0も確認してf(t)>0が示される. g(t)も同様である.\ 単調増加(f'(t)>0)だけではf(t)>0とはいえないので注意. }]$ [一方の文字を変数とみる] $[l} aを定数,\ bを変数xとして証明する.\ やるべきことは本解と同様である. 本問はaでもbでも大差はないが,\ 通常は{導関数が簡単になるほうを変数にする}のがよい. さて,\ 00\ より 1b<{log b-log a}{b-a}<1a}$   $f(x)=log x}\ とすると,\ f(x)はx>0で連続で微分可能な関数である. f'(x)=1x$ 平均値の定理より ${log b-log a}{b-a}=1c}\ (a0で単調減少 log ba=log b-log a\ であることに着目すると,\ 平均値の定理の利用が思い浮かぶ. 実は,\ 本問は「平均値の定理の不等式への応用」の項目で取り上げた問題と同一問題である. よって,\ ここではこれ以上の解説はしない. すべての実数x,\ yに対して\ x²+y² axy\ が成立するようなaの値の範囲を求めよ.$ [比を置換して1変数に帰着させる] $x=0}\ のとき,\ y²0\ となるから,\ aの値によらず成立する.$ $x0}\ のとき,\ 両辺をx²で割る}と 1+( yx)² a yx$ $ yx=t}\ とおいて整理すると t²-at+1 0$ $常に不等式が成り立つ条件は 判別式\ D=a²-40}\ より -2 a2$ $ ,\ より {-2 a2}$} $[l} x²,\ y²,\ xy\ はいずれも2次式であるから,\ この不等式は{同次式}である. 一般に,\ 同次式は比の置換が可能である. 比の形にするために両辺をxで割る必要があるから,\ その前に場合分けをする. 置換後は{2次不等式が常に成り立つ条件}に帰着する. (2次不等式が常に成り立つ)=(2次関数のグラフ x軸)=(D0) 相加平均と相乗平均の関係の利用] $x²0,\ y²0より,\ 相加平均と相乗平均の関係}を適用すると$ 同次式では相加平均と相乗平均の関係の利用が有効であることも多い. {a0,\ b0\ のとき a+b2{ab {( )²}= }\ であることに注意する.\ 絶対値をはずすために場合分けをする. また,\ xyで割ることになるので,\ xy=0の場合も分ける. xy<0のときは,\ 両辺をxyで割ると不等号の向きが逆転する. {2変数が互いに対等で,\ 2文字を左辺と右辺に分離できる}場合に有効な解法である. aを右辺に,\ sin bを左辺に移動するが,\ いずれも範囲内では正なので不等号の向きは変わらない. f(a)とf(b)は,\ {関数f(x)のx=aとx=bにおけるy座標とみなす}ことができる. よって,\ {f(x)が単調減少であることを示せば,\ f(a)>f(b)が示されたことになる}のである. f(x)が単調減少であることを示すには,\ f'(x)<0を示せばよい. f'(x)の分母x²0は明らかなので,\ {符号な不明な分子のみを取り出してさらに微分}する. g(0)=0\ も確認してはじめてg(x)<0,\ つまりf'(x)<0が示される. この解法は,\ 「a^bとb^aの大小比較」の項目において\ y={log x}{x}\ を利用したのと同じである.