dual-titration

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第1中和点と第2中和点までのイオン反応式は次になる(反応に関与しない\ce{Na+}\,と\ce{Cl-}\,を除いた). \\[.2zh] \ce{CO3^2- + H+ HCO3-}\ (\maru1), \ce{HCO3- + H+ H2CO3}\ (\maru2) \\[1zh] 元々,\ 2価の酸である炭酸\ \ce{H2CO3}\,は,\ 次のように二段階で電離する. \\[.2zh] \ce{H2CO3 H+ + HCO3-}\ (\maru3), \ce{HCO3- <=> H+ + CO3^2-}\ (\maru4) \\[.2zh] ただし,\ 炭酸は\bm{弱酸}であるから,\ \ce{H+}\,が多くなると容易に\ce{H+}\,を受け取る逆反応が起こる. \\[.2zh] つまり\ \ce{CO3^2- + H+ HCO3-}\ (\maru4の逆=\maru1),\ \ \ce{HCO3- + H+ H2CO3}\ (\maru3の逆=\maru2)\ である. \\[.2zh] \ce{H+}\,の授受を考慮すると,\ \ce{Na2CO3},\ \ce{NaHCO3}\,はブレンステッドの定義における塩基,\ \ce{HCl}\,は酸である. \\[.2zh] よって,\ 2つの反応は広い意味での\bm{中和反応}といえる. \\[1zh] ここで,\ 炭酸は第1電離(\maru3)に比べて第2電離(\maru4)が非常に起こりにくい. \\[.2zh] 言い換えると,\ \bm{\maru1\,(\maru4の逆)は\maru2\,(\maru3の逆)に比べて圧倒的に起こりやすい.} \\[.2zh] この場合,\ \bm{\maru1の中和が完全に終了した後で\maru2の中和が始まる.} \\[.2zh] すると,\ \bm{第1中和点と第2中和点で2回の\text{pH}ジャンプが生じる滴定曲線}になる. \\[.2zh] 第1中和点は塩基側,\ 第2中和点は酸性側に寄る. \\[.2zh] よって,\ 指示薬はそれぞれ\bm{フェノールフタレイン,\ メチルオレンジ}が適切である. \\[1zh] 硫酸は炭酸と同じく2価だが,\ 強酸であるから第1電離も第2電離も起こりやすい. \\[.2zh] よって,\ 第1電離と第2電離による中和が同時に起こり,\ 第2中和点の\text{pH}ジャンプのみが生じる. \\[.2zh] また,\ シュウ酸は2価の弱酸だが,\ 第1電離と第2電離の起こりやすさはあまり違わない. \\[.2zh] この場合も\text{pH}ジャンプは第2中和点のみで起こる. \\[.2zh] 2価の弱酸で,\ かつ第1電離と第2電離の差が大きいからこそ炭酸は二段階で中和するのである. \\[1zh] 最後に,\ \bm{\ce{Na2CO3}\,の二段階中和の量的関係}を確認する. \\[.2zh] 化学反応式より,\ \bm{X\,\text{mol}\,の\ce{Na2CO3}\,の第1段階の中和にはX\,\text{mol}\,の\ce{HCl}\,が必要}である. \\[.2zh] \ce{Na2CO3}:\ce{HCl}=1:1\ で反応するからである.\ また,\ このときX\,\text{mol}\,の\ce{NaHCO3}\,が生じる. \\[.2zh] 同様に,\ \bm{X\,\text{mol}\,の\ce{NaHCO3}\,が中和する第2段階の中和にもX\,\text{mol}\,の\ce{HCl}\,が必要}である. \\[.2zh] 結局,\ \bm{第1中和点までと第1中和点から第2中和点までの\ce{HCl}の滴下量は等しくなる.} 水酸化ナトリウムと炭酸ナトリウムの混合水溶液20\,mL\,を0.10\,mol/L\,の希塩酸で滴 \\[.2zh] \hspace{.5zw}定したところ,\ 第1中和点までに30\,mL,\ 第2中和点までに40\,mL\,を要した.\ 混合水溶 \\[.2zh] \hspace{.5zw}液中の水酸化ナトリウムと炭酸ナトリウムのモル濃度を求めよ.   [東京大・改] \\ 二段滴定\maru2(\ce{NaOH}\ +\ \ce{Na2CO3})}}}} \\\\[.5zh]  混合水溶液中の\ce{NaOH}を$x$\,[mol/L],\ \ \ce{Na2CO3}\,を$y$\,[mol/L]\ とする. \\[1zh] 水酸化ナトリウム\ 0.10\,\text{\textbf{mol/L}},\ \ 炭酸ナトリウム\ 0.050\,\text{\textbf{mol/L}}}$} \\\\[1zh] \ce{NaOH}の固体を空気中に放置しておくと,\ 空気中の\ce{CO2}\,と反応して表面に\ce{Na2CO3}\,が生じる. \\[.2zh] この混合物の水溶液を中和滴定すると,\ \ce{NaOH}と\ce{Na2CO3}\,の物質量比などを求めることができる. \\[1zh] さて,\ 強塩基\ce{NaOH}が放出する\ce{OH-}\,は容易に\ce{H+}\,を受け取り中和される. \\[.2zh] \ce{OH-}\,が\ce{H+}\,を受け取る強さは,\ \ce{CO3^2-}\,が\ce{H+}\,を受け取る強さより大きい. \\[.2zh] よって,\ \bm{塩基としての強さは\ \ce{OH-}\ce{CO3^2-}\gg\ce{HCO3-}}\ である. \\[.2zh] ゆえに,\ \bm{\ce{NaOH}\ →\ \ce{Na2CO3}\ →\ \ce{NaHCO3}\ の順で中和される}ことになる. \\[.2zh] ただし,\ \ce{NaOH}の中和が完了しても,\ 残りの\ce{Na2CO3}\,の加水分解でかなり強い塩基性を示す. \\[.2zh] よって,\ フェノールフタレインでも\ce{NaOH}の中和の完了を知ることはできない. \\[.2zh] \bm{フェノールフタレインでわかるのは\ce{Na2CO3}\,の中和の完了}である. \\[.2zh] その後,\ \bm{メチルオレンジで\ce{NaHCO3}\,の中和の完了を知る}ことになる. \\[1zh] X\,\text{mol}\,の\ce{NaOH}とY\,\text{mol}\,の\ce{Na2CO3}\,の混合物を滴定する. \\[.2zh] このとき,\ \maru1と\maru2が完了するところが第1中和点,\ \maru3が完了するところが第2中和点となる. \\[.2zh] よって,\ \bm{第1中和点までに必要な\ce{HCl}の物質量はX+Y\,\text{\textbf{mol}}}\,である. \\[.2zh] また,\ \bm{第1中和点から第2中和点までに必要な\ce{HCl}の物質量はY\,\text{\textbf{mol}}}\,である. \\[1zh] 実際の計算は,\ 2回の中和の量的関係をそれぞれ立式する. \\[.2zh] \ce{NaOH}は当然1価の塩基,\ \bm{\ce{Na2CO3},\ \ce{NaHCO3}\,も各段階だけでみると1価の塩基}である. \\[.2zh] 後は,\ 単純に公式\ acV=bc’V’\ にあてはめればよい. \\[.2zh] \bm{第1中和点から第2中和点までの\ce{HCl}の滴下量は\ 40-30=10\,\text{\textbf{mL}}}\ であることに注意すること. 炭酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムの混合水溶液20\,mL\,を0.10\,mol/L\,の希塩酸で滴 \\[.2zh] \hspace{.5zw}定したところ,\ 第1中和点までに10\,mL,\ 第2中和点までに40\,mL\,を要した.\ 混合水溶 \\[.2zh] \hspace{.5zw}液中の炭酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムのモル濃度を求めよ. \\ 二段滴定\maru3(\ce{Na2CO3}\ +\ \ce{NaHCO3})}}}} \\\\[.5zh]  混合水溶液中の\ce{Na2CO3}を$x$\,[mol/L],\ \ \ce{NaHCO3}\,を$y$\,[mol/L]\ とする. \\[1zh]   1段階目の中和では $1\times0.10\,\text{mol/L}\times\bunsuu{10}{1000}=\textcolor{red}{1\times x\times\bunsuu{20}{1000}}$ \\[.5zh]   2段階目の中和では $1\times0.10\,\text{mol/L}\times\bunsuu{40-10}{1000}=\textcolor{cyan}{1\times (x+y)\times\bunsuu{20}{1000}}$ \\[1.5zh] \centerline{$\therefore \bm{炭酸ナトリウム\ 0.050\,\text{\textbf{mol/L}},\ \ 炭酸水素ナトリウム\ 0.10\,\text{\textbf{mol/L}}}$} \\\\[1zh] 塩基としての強さ\ \ce{CO3^2-}\gg\ce{HCO3-}\ より,\ \bm{先に\ \ce{Na2CO3}\,のみが中和}して\ce{NaHCO3}\,ができる. \\[.2zh] X\,\text{mol}\,の\ce{Na2CO3}\,が中和するとき,\ \bm{X\,\text{mol}\,の\ce{HCl}を消費してX\,\text{mol}\,の\ce{NaHCO3}\,が生成}する. \\[.2zh] ここまでが第1段階の中和である. \\[.2zh] 新たにできたX\,\text{mol}と最初からあるY\,\text{mol}の\bm{計X+Y\text{\textbf{mol}}の\ce{NaHCO3}\,が第二段階の中和}をする. \\[.2zh] このとき,\ \bm{X+Y\,\text{\textbf{mol}}\,の\ce{HCl}が消費}されることになる. \\[.2zh] 二回の中和の量的関係を立式すると,\ \ce{Na2CO3}\,と\ce{NaHCO3}\,のモル濃度が求まる.