英語名は「Le Chatelier’s principle」なので「ル・シャトリエの原理」である。ル・シャトリエはフランスの化学者。

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ある可逆反応が平衡状態にあるとする.} \\[.2zh] \textbf{\textcolor{red}{濃度,\ 圧力,\ 温度などを変えると,\ \underline{平衡はその変化を緩和する方向に移動}する.}} 外部から与えた変化}   平行移動の方向} \\\hline \textcolor{blue}{濃度を増やす}{濃度が減少}する方向 \\\hline \textcolor{blue}{濃度を減らす}濃度が増加}する方向 \\\hline \textcolor{blue}{圧力を上げる}気体の分子数が減少}する方向 \\\hline \textcolor{blue}{圧力を下げる}気体の分子数が増加}する方向 \\\hline \textcolor{blue}{温度を上げる}吸熱反応}が起こる方向 \\\hline \textcolor{blue}{温度を下げる} 発熱反応}が起こる方向 \\\hline \textcolor{blue}{触媒を加える}移動しない} \\\hline  \textbf{\textcolor{blue}{化学工業への応用(アンモニアの製法;ハーバー・ボッシュ法)}} \\[.5zh]   アンモニアを合成するには,\ 次の\textbf{\textcolor{magenta}{平衡を右に移動}}させてやればよい.発熱反応}}であるから,\ \textbf{\textcolor{red}{低温にする}}と右に移動する. \\[.2zh]   \textbf{\textcolor[named]{ForestGreen}{右辺のほうが分子数が少ない}}から,\ \textbf{\textcolor{red}{高圧にする}}と右に移動する. \\[.2zh]   ルシャトリエの原理を考慮すると,\ \textbf{\textcolor{red}{低温・高圧条件}}が望ましいわけである. \\[.2zh]   しかし,\ \textcolor{cyan}{低温にしすぎると反応速度が減り,\ 反応が進まない}. \\[.2zh]   また,\ \textcolor{cyan}{高圧にしすぎると反応容器が耐えられない}. \\[.2zh]   ハーバーらは数千種の物質の中から適切な触媒を見つけ出し,\ 速度低下の問題を解決した. \\[.2zh]   ボッシュは特殊な二重構造の反応容器を作成し,\ 容器の耐性の問題を解決した. \\[.2zh]   最終的に,\ 400~600℃,\ 200~400気圧,\ 触媒(\ce{Fe3O4})によって工業化された. 20世紀初頭,\ 人類は人口増加に伴う食糧難に見舞われていた. \\[.2zh] これを解決するため,\ 窒素肥料の原料となる\ce{NH3}\,の合成が化学者の最大の課題であった. \\[.2zh] 空気中に大量にある\ce{N2}\,を何とかして窒素化合物に変えたかったのである(\textbf{空中窒素の固定}). \\[.2zh] しかし,\ \ce{N#N}\,は強固な三重結合をもつために反応性が乏しい物質である. \\[.2zh] そこで,\ ルシャトリエの原理を応用し,\ なおかつ触媒も開発して工業化に成功したわけである. \\[.2zh] ハーバー・ボッシュ法は窒素肥料の大量生産を可能にし,\ 「空気からパンを作る」とも比喩される. \\[.2zh] 一方で,\ 窒素化合物は爆薬の原料にもなるため,\ 第1次世界大戦を長引かせたという負の側面ももつ. \\[.2zh] ハーバー・ボッシュ法の開発は化学史だけでなく,\ 人類史にも残る出来事なのである. 次の平衡状態にカッコ内の条件変化を与えると平衡はどちらに移動するか. (1)\ \ \ce{NH3 + H2O NH4+ + OH-} (\ce{NaOH}を加える) \\[.5zh] (2)\ \ \ce{2SO2 + O2 2SO3} (加圧する) \\[.5zh] (3)\ \ $\ce{H2}+\ma thRM{I}\ce{_2}\c\ce{2H}\mathRM{I}$ (減圧する) \\[.5zh] (4)\ \ $\ce{N2 + 3H2 2NH3}+92$\,kJ (加熱する) \\[.5zh] (5)\ \ $\ce{3O2 2O3}-285$\,kJ (冷却する) \\[.5zh] (6)\ \ \ce{N2 + 3H2 NH3} (触媒を加える) \\[.5zh] (7)\ \ \ce{C\,(固) + H2O\,(気) CO + H2} (加圧する) \\[.5zh] (8)\ \ \ce{N2 + 3H2 2NH3} (体積を小さくする) \\[.5zh] (9)\ \ \ce{N2 + 3H2 2NH3} (温度・体積一定でアルゴンを加える) \\[.5zh] (\scalebox{0.8}[1]{10})\ \ce{N2 + 3H2 2NH3} (温度・全圧一定でアルゴンを加える) \\ (1)\ \ \ce{OH-}\,の濃度が増加するから,\ \bm{\ce{OH-}\,を減らす}方向(左)に移動する. \\[.2zh] (2)\ \ \bm{分子数が減少する}方向(右)に移動する(左辺3個,\ 右辺2個). \\[.2zh] (3)\ \ 両辺ともに分子数2個であるから移動しない. \\[.2zh] (4)\ \ \bm{吸熱反応}が起こる方向(左)に移動する. \\[.2zh] (5)\ \ \bm{発熱反応}が起こる方向(左)に移動する. \ce{3O2}+285\,\text{kJ}\ce{<=> 2O3} \\[.2zh] (6)\ \ 触媒は反応速度を速くするだけで平衡には影響しない. \\[.2zh] (7)\ \ \bm{分子数が減少する}方向(右)に移動する.\ \bm{固体は圧力に関係しない}ので\ce{C}\,(固)はカウントしない. \\[.2zh] (8)\ \ 「体積小さく」は「\bm{加圧}」を意味する.\ \bm{分子数が減少する}方向(右)に移動(左辺4個,\ 右辺2個). \\[.2zh] (9)\ \ アルゴンは可逆反応とは関係のない物質であるから\ce{N2},\ \ce{H2},\ \ce{NH3}\,の物質量は変化しない. \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ また,\ 体積一定であるからモル濃度[\ce{N2}],\ [\ce{H2}],\ [\ce{NH3}]も変化しない. \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ さらに,\ 物質量・体積・温度が一定ならば各気体の分圧p_{\ce{N2}},\ p_{\ce{H2}},\ p_{\ce{NH3}}も一定である. \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ \ce{Ar}\,の分だけ全圧は増えるが,\ 平衡に関係する3物質の合計の圧力は変化しないのである. \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ 結局,\ \bm{\ce{N2},\ \ce{H2},\ \ce{NH3}\,の温度,\ 濃度,\ 圧力はいずれも変化せず},\ 平衡は移動しない. \\[.2zh] \text{(\scalebox{0.8}[1]{10})}\ 全圧が一定ならば\bm{\ce{Ar}\,の分だけ\ce{N2},\ \ce{H2},\ \ce{NH3}\,の圧力が減少する}ことになる. \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ よって,\ \bm{分子数が増加する}方向(左)に移動する(左辺4個,\ 右辺2個).