
ある量のアンモニアを0.50\,mol/L\,の硫酸100\,mL\,に完全に吸収させた後,\ 指示薬A \\[.2zh]
\hspace{.5zw}を用いて0.40\,mol/L\,の水酸化ナトリウム水溶液で滴定したところ,\ 滴定量は200\,mL\, \\[.2zh]
\hspace{.5zw}であった. \\[1zh]
\hspace{.5zw}(1)\ \ アンモニアを硫酸に吸収させたときの化学反応式を示せ. \\[.8zh]
\hspace{.5zw}(2)\ \ 硫酸と水酸化ナトリウム水溶液の中和の化学反応式を示せ. \\[.8zh]
\hspace{.5zw}(3)\ \ 指示薬Aとして適切なのはメチルオレンジとフェノールフタレインのどちらか. \\[.2zh]
\hspace{.5zw}\phantom{(1)}\ \ 理由も示せ. \\[.8zh]
\hspace{.5zw}(4)\ \ 吸収させたアンモニアの体積は標準状態で何Lか. \\逆滴定(アンモニア\,\ce{NH3}\,の定量)
(1)\ \ $\bm{\ce{2NH3}\,+\,\ce{H2SO4}\,\ce{->}\,\ce{(NH4)2SO4}}$ \\\\[.5zh]
(2)\ \ $\bm{\ce{H2SO4}\,+\,\ce{2NaOH}\,\ce{->}\,\ce{Na2SO4}\,+\,\ce{2H2O}}$ \\\\[.5zh]
(3)\ \ \textbf{メチルオレンジ} \\[.5zh]
\phantom{ (1)}\ \ 理由:\textbf{強酸と弱塩基由来の正塩\ce{(NH4)2SO4}\,は加水分解して弱酸性を示すため,\ } \\[.2zh]
\phantom{ (1)}\ \ \textbf{中和点が酸性側に偏る.\ よって,\ 酸性側に変色域をもつ指示薬を用いる.} \\\\[1zh]
(4)\ \ アンモニアの物質量を$x$\,[mol]\,とする. \\[1zh]
通常,\ 中和滴定は反応しやすい液体同士で行われる. \\[.2zh]
\bm{気体や固体を滴定}するときは,\ \bm{逆滴定}という方法が用いられる. \\[1zh]
(1)\ \ 物質量不明の塩基性気体\ce{NH3}\,(\maru1)を\bm{過剰の硫酸に完全に吸収(中和)させる}(\maru2). \\[1zh]
(2)\ \ \bm{\ce{NH3}\,と中和せずに余った硫酸を\ce{NaOH}水溶液で滴定する}(\maru3). \\[1zh]
(3)\ \ 中和点では,\ \ce{(NH4)2SO4}\,と\ce{Na2SO4}\,の混合溶液になっている. \\[.4zh]
\phantom{(1)}\ \ \bm{\ce{Na2SO4}\,は強酸と強塩基由来の正塩}であるから加水分解はせず,\ その水溶液は中性である. \\[.4zh]
\phantom{(1)}\ \ メチルオレンジの\text{pH}変色域3.1\,~\,4.4 フェノールフタレインの\text{pH}変色域8.0\,~\,9.8 \\[1zh]
(4)\ \ 結局は中和なので,\ \bm{(酸の\ce{H+}\,の\text{\textbf{mol}})=(塩基の\ce{OH-}\,の\text{\textbf{mol}})}\ という根幹に変わりはない. \\[.2zh]
\phantom{(1)}\ \ よって,\ \bm{余った硫酸の物質量(\text{\textbf{mol}})から最初の\ce{NH3}\,の物質量を逆算できる}わけである. \\[.4zh]
\phantom{(1)}\ \ 通常塩基は酸で滴定するが,\ 最終的に塩基で滴定することになるため\bm{逆滴定}という. \\[1zh]
\phantom{(1)}\ \ 実際の計算も(酸の\ce{H+}\,の\text{mol})=(塩基の\ce{OH-}\,の\text{mol})\ を立式するにすぎない. \\[.2zh]
\phantom{(1)}\ \ つまり,\ \bm{(\ce{H2SO4}\,の\ce{H+}\,の\text{\textbf{mol}})=(\ce{NH3}\,の\ce{OH-}の\text{\textbf{mol}})+(\ce{NaOH}\,の\ce{OH-}\,の\text{\textbf{mol}})}\ である. \\[.4zh]
\phantom{(1)}\ \ \ce{H2SO4}\,と\ce{NaOH}が出す\ce{H+}\,と\ce{OH-}\,の物質量は,\ 単純に\ (価数)\times(モル濃度)\times(体積)\ で求まる. \\[.4zh]
\phantom{(1)}\ \ \bm{硫酸が2価の酸}であることに注意して\ce{NH3}\,の物質量を求め,\ 体積に換算すればよい.標準状態で10\,Lの空気を採取し,\ 0.050\,mol/L\,の水酸化バリウム水溶液200\,mL\,に通じ \\[.2zh]
\hspace{.5zw}て,\ 採取した空気中の二酸化炭素を完全に吸収させた.\ 十分時間が経過した後,\ 上澄み \\[.2zh]
\hspace{.5zw}液20\,mL\,をとり,\ 0.10\,mol/L\,の塩酸で滴定したところ,\ 滴定量は19.6\,mL\,であった. \\[1zh]
\hspace{.5zw}(1)\ \ 二酸化炭素を水酸化バリウム水溶液に吸収させたときの化学反応式を示せ. \\[.8zh]
\hspace{.5zw}(2)\ \ 塩酸と水酸化バリウム水溶液の中和の化学反応式を示せ. \\[.8zh]
\hspace{.5zw}(3)\ \ 最初の空気中の二酸化炭素の体積パーセントを求めよ. \\
逆滴定(空気中の二酸化炭素\,\ce{CO2}\,の定量)}}}} \\\\\\
(1)\ \ $\bm{\ce{CO2}\,+\,\ce{Ba(OH)2}\,\ce{->}\,\ce{BaCO3}\,+\,\ce{H2O}}$ \\\\[.5zh]
(2)\ \ $ \bm{\ce{2HCl}\,+\,\ce{Ba(OH)2}\,\ce{->}\,\ce{BaCl2}\,+\,\ce{2H2O}}$ \\\\[.5zh]
(3)\ \ 上澄み液20\,mL中の二酸化炭素の物質量を$x$\,[mol]\,とする.
\phantom{ (1)}\ \ 溶液200\,mL\,中に含まれている二酸化炭素の標準状態における体積は \\[.5zh]
(1)\ \ 物質量不明の酸性気体\ce{CO2}\,(\maru1)を\bm{過剰の\ce{Ba(OH)2}\,水に完全に吸収させる}(\maru2). \\[.4zh]
\phantom{(1)}\ \ 二酸化炭素は水と反応して炭酸になる. \ce{CO2}\,+\,\ce{H2O}\,\ce{->}\,\ce{H2CO3} \\[.4zh]
\phantom{(1)}\ \ その後,\ \ce{H2CO3}\,+\,\ce{Ba(OH)2}\,\ce{->}\,\ce{BaCO3}\,+\,\ce{2H2O}\ と中和すると考え,\ 両辺から\ce{H2O}を除く. \\[1zh]
(2)\ \ \bm{\ce{CO2}\,と中和せずに余った水酸化バリウム水溶液を塩酸で滴定する}(\maru3). \\[1zh]
(3)\ \ \bm{炭酸バリウム\ce{BaCO3}\,は白色沈殿}となるから,\ 上澄み液を取り出してを滴定するのが普通である.
\phantom{(1)}\ \ \bm{\ce{CO2}\,(炭酸\ce{H2CO3})は2価の酸}\ なので,\ \bm{\ce{CO2}\,1\,\text{\textbf{mol}}\,は\ce{H+}\,を2\,\text{\textbf{mol}}放出する}ことに注意する. \\[.4zh]
\phantom{(1)}\ \ 200\,\text{mL}中の\ce{CO2}\,の体積を求めるから,\ 上澄み液20\,\text{mL}\,中の\ce{CO2}\,の物質量を10倍する.
