光子気体と光の圧力

スポンサーリンク
一辺の長さが L の立方体容器内に、振動数 ν の単色光が閉じ込められている。容器内には N 個の光子があり、各光子は速さ c でさまざまな方向に運動し、容器の壁で完全弾性衝突をする。光子1個の運動量の大きさを p、プランク定数を h とする。 図のように座標軸をとり、x軸に垂直な一方の面(x=L)を壁Aとする。ある光子の速度と運動量のx成分の大きさをそれぞれ cx、px とする。 (1) cx を px、p、c を用いて表せ。 (2) この光子が壁Aで反射してから再び壁Aで反射するまでの時間 Δt を求めよ。また、十分に長い時間 t の間に壁Aで反射する回数 n を求めよ。 (3) 光子が壁Aで1回反射するときに壁Aが受ける力積の大きさ I を px で表せ。また、この光子が壁Aに及ぼす時間平均の力 f を cx、c、p、L を用いて表せ。 (4) N個の光子の運動方向は偏りなく分布している。各光子の速度の x、y、z 成分の大きさを cx、cy、cz とする。N個の光子についての cx² の平均値を c を用いて表せ。 (5) 壁Aが N 個の光子全体から受ける時間平均の力 F を N、c、p、L を用いて表せ。また、壁Aが受ける圧力 P を N、h、ν、容器の体積 V を用いて表せ。 (6) 光子全体の単位体積あたりのエネルギーを u として、光の圧力 P を u を用いて表せ。 本問は、熱力学で学習する気体分子運動論と同様の考え方を用いる問題である。必要に応じて、気体分子運動論を復習してから取り組むとよい。 解答 (1) 光子の速度と運動量は同じ方向を向くから、成分の比について cx/c = px/p よって cx = (px/p)c θを用いて表すなら、 px = p cosθ より cosθ = px/p したがって cx = c cosθ = (px/p)c (2) x方向の往復距離は 2L であるから、 Δt = 2L/cx よって、十分に長い時間 t の間に壁Aで反射する回数は n = t/Δt = cxt/(2L) (3) 反射によって、光子のx方向の運動量は px から −px に変化する。 よって、光子が壁Aから受ける力積は (−px) − px = −2px 作用・反作用の法則より、壁Aが光子から受ける力積の大きさは I = 2px 時間 t の間に壁Aが1個の光子から受ける力積の大きさの総和は、 2px × cxt/(2L) = pxcxt/L (1)より、 px = (p/c)cx であるから、 pxcxt/L = pcx²t/(Lc) 力積の総和が ft に等しいから、 ft = pcx²t/(Lc) よって、 f = pcx²/(Lc) 力積とは、物体に力がある時間はたらいたときの「時間平均の力 × 時間」であり、その値は運動量の変化量に等しい。 運動量も力積も向きをもつベクトルであるから、正負に注意する。光子が壁Aから受ける力積は、 (反射後の運動量)−(反射前の運動量)= −2px となる。 (4) 各光子の速度 c とその x、y、z 成分について三平方の定理を用いると、 cx² + cy² + cz² = c² N個の光子について平均をとると、 平均(cx²) + 平均(cy²) + 平均(cz²) = c² c は一定値なので、平均(c²)=c² である。 運動方向には偏りがなく、x、y、z方向は等価であるから、 平均(cx²) = 平均(cy²) = 平均(cz²) よって、 3平均(cx²) = c² したがって、 平均(cx²) = c²/3 (5) (3)より、1個の光子が壁Aに及ぼす時間平均の力は f = pcx²/(Lc) である。 N個の光子についての時間平均の力 f の平均値は、 平均(f) = p平均(cx²)/(Lc) よって、N個の光子全体が及ぼす時間平均の力は、 F = N平均(f) = Np平均(cx²)/(Lc) = Np/(Lc) × c²/3 = Npc/(3L) 壁Aの面積は L² であるから、 P = F/L² = Npc/(3L³) 圧力 [Pa] = 力 [N] / 面積 [m²] また、 p = hν/c V = L³ より、 P = Nhν/(3V) (6) 光子全体のエネルギーは N・hν であるから、 u = Nhν/V したがって、 P = u/3 質量 m の気体分子では、並進運動のエネルギー密度を u とすると、 P = (1/3)(Nm/V)平均(v²) = (2/3) × {N × (1/2)m平均(v²)}/V = (2/3)u となる。 気体分子では、圧力の式に現れる m平均(v²) が、1個あたりの平均運動エネルギー (1/2)m平均(v²) の2倍である。 一方、光子では、圧力の式に現れる hν が、そのまま光子1個のエネルギーに等しい。 この違いによって、 気体分子では P = 2u/3 光では P = u/3 となる。
スポンサーリンク
スポンサーリンク
高校物理 原子物理
シェアする
受験の月をフォローする
タイトルとURLをコピーしました